都市楽師プロジェクト、鷲野宏さんインタビュー「求道会館編 3」

「求道会館編2」より続く…

MP:この前、都市楽師プロジェクトさんの公演にうかがった時は、2階から拝見したんですけど、あそこからステージを観るのも面白いわ… 

W:2階はいわゆるバルコニーが左右にあって、真ん中に天井まで開けた広い空間があって、バルコニーの下には柱があって。1Fのフロアから見ると3列に分かれているというか。中心のフロアと左右のバルコニーの下の空間と3列に分かれていて、これを身廊と側廊という考え方をみてとると、ほんとにヨーロッパのキリスト教会堂の様式である、と。バシリカという方式なんです。ステンドグラスまでありますから。



MP:なのに仏教の施設、という

W:一番人がみるだろう壇上のところにいきなり六角形の反りをもった屋根をもつ、日本的なお堂がこつ然と壁から浮き上がってて

「浮き上がっている」ってホントにそうで、壁の奥にもちゃんと六角堂ですから六角形に空間があるというのが、なかなかすごいですが、これによって「和の空間」に一気に寄せているわけですね。あきらかにバシリカ。ステンドグラスがあったりとか 椅子もチャペルにあるような椅子席。3人掛けの椅子がちゃんと並んでいて、これもキリスト教的置き方ですよね。
ホントだ…ピンクとクリーム色でアールヌーボー!

ちなみに六角堂の上に植物文様のアーチ型のレリーフがあるんですけど、それが六角堂の後光のようにさしています。

このアーチの上下の壁の色をみるとピンクとクリーム色に塗られている。これなんかもアールヌーボーの植物的な華やかさというか。楽し気な感じがありますよね。  

MP:不思議。和洋折衷もいいとこですね。  

W:それ以前にヨーロッパの 例えばゴシックとルネッサンスってあまりくっつけない様式なんですよ。様式を自由に選ぶ時代になってもゴシックの建築家とか古典主義の建築家とか分かれていた。お互いに喧嘩しあって普通は一緒にしないんですけど、求道会館では一緒にしちゃった。  

MP:もしかすると日本だからある意味可能だったんでしょうか? ヨーロッパから遠く離れたね。  

W:そうでしょうね。これはやっぱり、あくまで仏教の場所であって、武田五一という建築家もすごいんですけど、お施主様であった近角常観(ちかずみじょうかん)という仏教者がいるんですね。宗教改革を志した大僧侶だったわけですけど、財界とかでもすごく力のある方で、法律とか止めたりする事もできた人だったんですよ。すごい力のある僧侶だった。

彼がそういう考えを表明したり、教えを説く場がほしい、と。いろんな人と対話する場所がほしい、と。 で、求道会館というのを作りたいということで、いろんな財界人にお願いしてお金を集めて作って行くという流れがあったんですね。 

で、何回も挫折するわけですよ。お金が集まらない。でも、いい物がつくりたい。建築としてもこういうの作りたいといろいろ考えて。

そして近角常観っていう空間の使い手と、そして、いろんなことを吸収した、しかも学術的にも大人物である武田五一という人が出会っちゃったわけです。で、建設までに紆余曲折あって長い時間に渡って協働をして、それで作ったからこういうエネルギーに溢れる建物が出来たんだと思います。  

MP:まさに奇跡の出会いですね!  

W:かっこいい話がありまして(ニヤッ)。武田五一は近角常観が「これが設計費用です、お願いします」と言われた時「ありがとうございます、はい、これはすべて寄付します」という具合に、その場で寄付したそうです。  

MP:かっちょいいーーーーー!!! うわ~っ、そういうの、言ってみたいなぁ!  

W:そういうね、つまりは仕事としてやっているんだけど、自分の代表作にもなる作品だからというわけです。お金というわけでなはくて、ホントに近角常観との共同作品なんだ、っていう思いが非常に強かったんだと思う。だからこそ、こういう空間が生まれて、そして今に引き継がれているということなんじゃないかなと・・・。  

MP:へぇー、それは知らなかった。

ヴェーセンの求道会館の公演。まだまだチケット販売しております。本日6日、夜24:00まで販売します。で、そのあとも当日精算で受け付けますので、皆さん、ドシドシお申し込みください。

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ヴェーセン。これまたステキなセッティングでの公演だこと(笑)ハウスコンサートと書いてあるけど、湖のほとり?