すべてのジャンルはマニアが潰す

クリスマスにNHK-BSで流れたアイルランド音楽のドキュメンタリーの録画を友人宅でやっと観た。言いたいことはたくさんあるが、余計なことは言わないでおこう。

親日本プロレス?だっけ? 「すべてのジャンルはマニアが潰す」っての。せっかくTVというメディアを通して、普段普通の人の会話には滅多にあがることのないケルトやアイルランド音楽が全国放送で流れたというのに、排他的なコアユーザーが余計なことを言って、せっかくのヒットのチャンスを潰してしまうのは良くない。

とはいえ、やはり黙っていられない事もある。ちょっと前も私の大好きなカズオ・イシグロの「私を離さないで」が、なんとTVドラマになるというニュースにひっくりかえった。設定は日本だという。ありえない!! しかも女優さんも俳優さんもまったく分らない人たち。あー、もうなんかありえない! …と怒りを爆発させていたのだが、それもこれまた余計なことだ。そもそもわたしはあの本が好きすぎて、映画も何もかも嫌いなのであった。好きな本の映画は絶対に上手くいかない。が、あれこれ文句を言うんだったら、おまえが映画つくれよ、だよね。ホント、マニアというのはろくでもないわ…

こんな意見は、おそらく全世界のうちの1%くらいなのだ。あれだけの傑作であっても、あの本を読んだことのある人は、人類の0.00001%(根拠なし)くらいだろう。残りの99.99999999%(根拠なし)のうちの、もしかしたら数パーセント(根拠なし)が興味をしめしてくれる可能性があるというのに、それをつぶすようなことを言ってはいけない。マニアが余計なことを言うと(笑)せっかくテレビドラマを見てイシグロの「イ」の字も知らない人が興味を持ってくれているだろうに、それをすべてダメにしてしまうのだ。

というか、ここで言うマニアの意見はネガティブな意見である必要もない。例えば今、新しいアルバムのプロモーションに忙しいエンヤについて、30年くらい前にクラナドで歌ってた時はあーだとかこーだとか、あれこれマイナーな、別に知らなくても世の中は変わらないよ的な情報を持ち出してきて、今ある情報に被せるように知ったかぶりするのも良くない。そんなこと知らなくたって、今あるこれを純粋に楽しもうよ、それでいいじゃないの、と。っていうか、相手に聞かれるまで、余計な知ったかぶりや情報は迷惑でしかない。それをいい加減、わたしも学ぶべきだ。

それにしても今読んでる「ソマリランド」の本がめちゃくちゃ面白い。今、わたしはケルトも北欧を後にして、極地や辺境に夢中になっているのだが、その流れで探検家のノンフィクションを続けて読みあさっているところだ。とにかくマイブームのお二人:角幡唯介さんも高野秀行さんも、ものすごい文章が上手い。「ソマリランド本」にいたっては、ソマリアの難しい氏族関係を、日本の枕詞をつけて分りやすくしてしまう。分りやすく語る、これはめちゃくちゃ重要だ。こういう絶対に「読者を置き去りにしない」マニア感というのは、ホントにホントにホントに素晴らしいと思う。っていうか、わたしもこのブログの書き方をこれからは改めないといけないと思った。誰が読んでも、知らない人が見ても、分りやすいように書かないと。せっかくのチャンスを逃してしまう。ただでさえ、わかりにくいジャンルなんだから。探検ほどじゃないけれど…

友達が物欲が止まらなくて通販にはまり服をいっぱい買ってしまい…とか言っていたが、物にたいする欲求はいつか覚めるのだが、知識欲はやばいことに止まるところを知らない。気がつくと本をたくさん買って読みあさりネットサーフィンを何時間もしてしまう結果となる。昨日、友達からこれを借りた。南極探検スコット隊の再現。ペンギンカフェのアーサーが出ているという。見るのが楽しみ! やばいよ、極地!!(笑)

さてTHE MUSIC PLANTは、年末年始も休みなく普通に営業していおります。主に経理作業とか事務所のレイアウト替えをやっていますが、チケットもガンガン販売してますので、どうぞご利用ください。


2016年の来日はこんな感じ

3月 ティモ・アラコティラ
フィンランドの偉大な作曲家によるソロピアノの公演



5月 フルック
クール系ケルトバンドの最高峰の一つ。人気です



昨日は友人宅で昼間から忘年会ですっかり飲みまくり食べまくりをしてしまったが、今日中に来年春に北区と一緒に企画しているケルト祭りのテキストと写真などをまとめてデザイナーさんに発注をかけないと… デザイナーさん一家の方は受験生をかかえて、どうせ外出できないから「いつでもドーゾ」とのこと。みんな結構働いているよな。