新しい職場、転職の春?

実は私はこの仕事を始めるまでは、絶対に同じ職場に3年居ないというくらいの転職野郎だった。転職のコツその1。もちろん前の職場がイヤだから辞めるのだけど、かならず前向きな理由をつけること、「〜がやりたいから辞める」等。「〜がイヤだから辞める」と思っては絶対にいけない。おかげで職場を変わるたび、今の自分に近づいていったと思う。たとえば22年前の職場の自分、19年前の職場の自分など、過去の自分から見たら、今の自分は好きな音楽だけをやって食べていけるという夢みたいな存在だ。だから今でも辛いけど頑張れるんだと思う。

なので、この春、新しい職場になった皆さんも、頑張ってください。環境が変わると本当に大変だ。私もそうだった。新しい職場になれる最初の1ケ月間は朝、起きる時、身体中が痛くて起きられないのだわ。電話の取り方とか職場によってまるで違う。でも、まぁ、たいていは1ケ月すると慣れる。そして3ケ月もすると本当に慣れる。1年たつとバカらしくなって辞めたくなる、でもまぁ少し頑張ろうってんで、2年ちょっとくらい続く。3年目に辞める、と。そういうのが私のパターンだったかな。

これから就職する人に言うと、今は本当に難しいだろうけど、職場は‥‥というか自分自身の経歴の中で、2、3年でいいから大きな職場で働いた経験があった方がいいと思う。つまり、あとは逆で基本ずっと働くには小さい会社の方が絶対に良いと思うのだけど、それでも数年、大きな会社にいた人と、まるで経験のない人では、その後のノビが違うように思う。今、周りで活躍している人を見て、そう思う。もっともそれは私の物差しで言った時で、例外もたくさんいるし、何が正しいのかなんて結果論だし、分からないのであるけれど。

私は最初に入った会社がホントウにすごい会社で、社長、副社長、私の3人、全員女性という環境で、ものすごいスパルタ教育で育てられた。その後はメーカーに入って、一気に会社が大きくなり、ある意味すごいカルチャーショックだったのだけど。いろんな経験をさせてもらって、給料までもらって(笑)本当に職場には恵まれた。

そういやメーカー時代に、良いアドバイスをしてくれたおじさんがいた。メーカー時代、結構憧れていた別のメーカー(そこには私が超あこがれるカリスマ的ギタリストがいた)に誘われたのだ。当時はけっこうバブル?だったし、メーカー間でのスカウトはしょっちゅうあったと思う。でも、ちょうどその時私はメアリー・ブラックに出会い、彼女をなんとかしようと頑張っていた時期だった。その時、島田歌穂ちゃんのマネージャーをしていた中川さんが(今はどちらにいらっしゃるのかな〜。本当に恩人です!)、言ってくれたのだ。「あなたのことを本当に必要としているのなら、ずっと待ってくれるよ。あなたもポッとポジションがあいたので“誰かいないかな〜”ってノリで誘われるのはイヤでしょ」と。私は若かったから、ただただ憧れのミュージシャンがいるメーカーに誘われたのが嬉しかったのだが、今なら中川さんが言ってくれたことの意味がすごく分かる。かくて、私は今でもメアリーとこうやって行動をともにし、誘ってくれたレーベルさんはメジャーに吸収され、その後なくなってしまったのだから、ほんとうに不思議な縁だ。

私もこの歳になって、職業について、けっこういろんな人から相談を受けるのだが、まぁ、でも基本、身体が健康で明るい人ならどこに行っても大丈夫。きっと前向きに頑張れる。