小野寺誠「ユーラシア漂泊」を読みました

あっという間に読み終わってしまった。すごい本でした。「ユーラシア漂泊」。この本、もともとカメラマンの石田昌隆さんがtwitterで「68歳のバックパッカー!」と大推薦薦していらしたのだけど、その作者が「白夜のヴァイオリン弾き」の作者と同じ人物だというのをちゃんと認識するのに時間がかかってしまった。マヌケな自分。

フィンランドからJPPを招聘するにあたり日本人でペリマンニ(田舎音楽師)になってしまった小野寺さんの本はとりあえず読んでおこうと思ったのだ。どんな音楽をプロモーションする時も、こういった「お勉強プロセス」は大好き。「白夜のヴァイオリン弾き」を始めとして、小野寺本は4冊も一度に買い込んだ。そして、その「白夜〜」については、ここにも感想を書きましたが、「白夜〜」に引き続き、この「ユーラシア漂泊」も男の勝手なロマンの凝縮された一冊だと言って良いでしょう。

ホント男は勝手なロマンチスト。まぁ〜短気な私は、読んでいてイライラしました。こういう男を世間ではダメ男というのだ。トラさんみたいな感じか? 責任をもたず、すべてから逃げている弱い男。バックパッカーの大変さには同情しません。だってそれは好きでそんな旅をしているのだから。最初に「旅は女とするのが一番楽」といった表記があり、私はまずそこにカチンときた。こういうダメな男に、ひっかかってはいけない。が、しかし小野寺さん、ものすごくモテル。どこにでも女が登場し、女の世話になり、ご本人もチラチラと胸がデカいとか、さりげなくそういうことばかり考えている。しかも小野寺さんの元妻、今の妻、今の彼女、旅先で出会う女‥‥付き合う女はみんなカッコよい女性ばかり。

それにしても、これが男のロマンってやつでしょうか。ほんとツイていけませんよ。と、書くとこの本がよくないと思われるかもしれませんが、いやいや、小野寺さん、ホント素晴らしい文章力で、自分の内面を表現するのがすごくうまい。あっという間に読ませます。そして、ものすごく感動的な本です。私がキリキリしながら読んでいたら
「その通りなんだ、実は おんなの言うことは すべて正しい だからって どうすればいいんだ」
と、小野寺さんに本の中で言われてしまいました(爆)。他にも小野寺さん、名言が多いので、ここに書いておきます。すべて「ユーラシア漂泊」(青灯社)より。

人間ことは、さっぱり分からない。一人ひとりがあまりにも違すぎて、理解を超えるということしか分からない。

たぶん 理解することではなく
許すことだ
そして 許されることだ

ひとは、旅を終えて死ぬのではない。死を迎えて、旅を終えるのである。

だれも傷つけたくない気の弱いじぶん、傷つけないことでだれよりも傷つきたくない卑怯なじぶん。


あと、お金から遠ければ遠いほど自由だっていう文章があって、すっごくいいなと思ったんだけど、けっこう長い本なので、今、見つけられません。とにかくそんな名言がたくさん書かれた、素晴らしい作品でした。旅をつづけるすべての人に。ぜひおすすめです。

以前、日本に住む英国人の友達に「日本のどこが好き?」と聞いたら、彼女はすごく考えて「日本にいる自分が好き」と答えていた。これはすごく正しい。小野寺さんも究極には旅する自分が好きなんだろう。そういう人はずっと旅を辞めることはできない。私もフィンランドが好き、アイルランドが好きとかいろいろ言うが、結局のところは「フィンランドで頑張る自分が好き」なのだと思う。

さーて、小野寺本、あと2冊あるので、これはまた来週あたり営業中に読みます。「ユーラシア漂泊」に夢中になり、今日はほとんど仕事してません。やばい、やばい。