焼津でついに観た、スタッフ・ベンダ・ビリリ 2

いや〜、かっこよかった! 最初の音が出たとたんから、もう超かっこ良かったですよ、ビリリ。なお多少ネタばれもあると思うので、これから行く事を楽しみにしている人は、このブログは、まだ読まない方が良いかもしれません。でも期待している皆さん、あなたの期待以上にビリリはかっこいいですよ。

ホールはかなり大きい。1,000人くらいかしら。後ろに座ってたおばちゃん二人の会話が聞こえてくる。どうやら一人のおばちゃんがビリリを新聞で見かけ、もう一人を誘ったらしい。片方が片方に必死に「こういうバンドでね……」なんて説明するのが聞こえる。そしてステージには鮮やかな赤/黄/緑色の布がかけられ、いやがおうにも期待が高まる。ついに観れるよ、ヨーロッパワールドミュージック界、最大の話題、ベンダ・ビリリが!!

開演は5分押しくらいだったかしら。まずビリリの映画のトレイラーが後方のスクリーンに写しだされる。そして歩けるメンバーが車いすを押し、ついにビリリ、ステージに登場。イェーイ。早くも「リッキー!」なんて声もかかる。お客さんよく知ってるなー。多分オープニングはこの曲だった(間違ってたらすみません)。もう最初っから飛ばしてました。かっこいーーーーーい!!



実際のライブは録音よりもずっとリズムがしっかりしていて、ビートが効いていて、もっともっとカッコ良かった。ライブの方が全然かっこいいじゃん! っていうか、CDはあんな過酷な状況で録音したんだもんね(ビリリの映画参照)。録るだけで、きっと精一杯だったよね。で、もちろん「ビリリのテーマ〜Mwana」「ライナリンリヨ〜ラ〜イナリンリヨ〜」もやったし、「サ〜ラケ〜バー」もやったし、高速「アマンバラエ〜」では、ジュナナが車いすからおりてダンスしお客さんをあおる、あおる。とにかく圧巻のステージ。あっという間に終わってしまった、というのが感想。話題のサトンゲ、ロジェもかっこよかったなー。客席におりたり,ステージを走ったり、彼はまったくもってロックスターの貫禄でした。いや〜っっ、すごい。

それにしても障害とかコンゴの厳しい状況とか、音楽を聞いているとすっかり忘れて、彼らの世界に200%引き込まれちゃうのがすごい。こういうお客を飽きさせない素晴らしいステージング、ウチの連中にも見せたいわぁ。彼らはこういうのはどこで学んだのかしら……と思い、再び思い直す。そうよね、ストリートでやってた連中だもの。音楽が楽しくなくっちゃ、お客が逃げちゃうような状況だったに違いない。だからステージから発せられる「お客さん大好きオーラ」がもう半端じゃない。いっぱいいっぱいパワーをくれる!!

そうそう歌詞の大意が字幕で出るので、歌の意味が理解できるのも嬉しい。最後は「トンカラ(段ボール)」でお客さん総立ち。ダンボールで寝てるんだ〜やっとマットレスが買えた〜みたいな歌詞。「トンカラ」は簡単なダンスもあるので、お客さんもぜひぜひ参加してください。すぐその場で覚えられる。リズム感の悪い日本人でもすぐ習得できる、手だけのダンス(笑)。そりゃー、そうだよね,だって彼ら車椅子に乗ってんだもん。

そして……なんといっても素晴らしいのがメンバーの笑顔。底抜けに明るいのね、彼ら! もう笑顔が最高。最初後ろの方で観ていたのだけど、最後はお客さんが立ったのをいいことに前の方で観ちゃった。リッキーの笑顔がよく見える。ココも可愛い。ジュナナの笑顔はホントにやばいよ。いや〜もうノリノリです。こういうホールさんのおける「ワールドミュージックを聴く」みたいな公演において、こんなに総立ちでノリノリになるのは珍しいんじゃないかしら! お客さん、ほんとうに楽しそうだったなぁ。

終演後は、CDにサイン会。やばいわぁ〜。ほんと彼らかっこいい。そしてニッコニコと愛想がめちゃくちゃ良い。そうだ、「ありがとう」って通じるから、ぜひぜひ話しかけてみて。ステージからも「ありがとう」「ありがとう」っていっぱい言ってた。それにしてもフランス語が出来ればベストなんだけど。「メルシ」だったかしら。サインついでにリッキーとココに握手してもらっちゃった。プランクトンのN本さんが私のことを「友達」と紹介してくれたら、手のひらの内側をくすぐられた。あら、お誘いかしら? うふふ。嫁には行きたいのはやまやまだけど、キンシャサはちょっと無理だわぁ〜。

それにしても、すごい。70……何年だっけ? JBの音楽の遺伝子があそこから続いているんだね。すごいね。アフリカの音楽のことはよく知らないけど、彼らの音楽はとってもポップで聞きやすい。とにかく6人が歌うから、パワーがあるよね。ボーカルもそれぞれに個性があって。もちろんリッキーのつやのある歌声は最高だけど、意外だったのはあのラップのカボセが、Youtubeとかで観るよりも、素敵な歌声だったこと。

最初彼らには本当に何もなかった。音楽しかなかった。でも屈強の魂でここまで来た。彼らは髪も目の色も黒い、黄色い肌のお客さんたちをステージからながめながら、どんなことを考えていたんだろう。そんなことに自分の頭が行ったのは、会場を離れ電車をのりついで、帰りの新幹線の中だった。ステージ観ているときは、そんな事、全然忘れてた。ふと思えば、焼津に行って、段ボールの歌で踊るってのも、めっちゃくちゃシュール(笑)

先日来日してたマリア・カラニエミとも話して盛り上がったのだけど「この世界って、ほんとにアップダウンが激しい。ツアーや仕事のときの派手な世界と、自分の生活である地味な世界と。私たちだって上手くバランスが取れない事が多いのに、彼らみたいなのって、どういう感じなんだろうね」って。そういや彼らの歌にある。「今日は皿から食べた。明日の食べ物の事は分らない」

それにしても、これだけ文化の違う、政情不安定な国から、よくもまぁ呼んだよね。車いす4台と松葉杖みたいなグループを。私なんて今ハーモニウム運ぶのに頭痛めてるってのにさ。本当にたくさんのリスクの中、こんなに素晴らしい音楽を日本に紹介してくれたプランクトンさんと、マネージャーのミッシェルさんに大感謝。本当にありがとう! 元気をもらったよ!!! そしてスタッフ・ベンダ・ビリリ、ありがとう。トレトレ・フォール! カッコ良すぎだよ、まったく、もう!!(笑)