林田直樹さん@いわき市の文化施設アリオス

福島県いわき市の文化施設アリオスは、いや、もうすごい施設なんですよ。巨大な建物。広大な敷地。そしてありえないほどの豊富な機材。びっくりしたよ〜初めて行った時は。アルタンのツアーのアテンドでお邪魔したことがあるのだけど、本当に立派なすごい文化施設なのです。そんなアリオスは、原発から約40km。もちろん地震、そして原発の被害が及びました。

福島における、この状況はまさに有事だと思う。これ以上悪い状況は戦争しか考えられない。福島の人たちは、まだまだ戦っている。余震だってたくさんある。よくヨーロッパの戦時中の映画で爆撃されながらもコンサートホールに聴衆があつまり、演奏家が崩れる屋根の下で必死でヴァイオリンを弾くというシーンを見ることが出来るのだが、それっていったい何だろう。何がいったいそうさせているんだろう。そして有事における文化施設とは? そして文化、音楽とは? そんな事を考えさせてくれるお話。林田直樹さんのカフェ・フィガロ@BLUE RADIO.COM

文化の仕事をしている人はぜひ聞いた方がいい。1回目の7/26の放送は、こちら。前半は震災直後の大変な様子のお話。そして一部の後半の児玉さんのお話には本当に考えさせられる。結局誰も答えが見えてはいないのだ。ただ自分できっとこうだ、と信じる道を行くしかない。
「ここに4人プロデューサーがいたら4人が4人とも違う意見を言うでしょう」「僕が今日思うのはこんな事。明日はまた違う事を考えるかも」とされながらも、ご自分の考え方を説明する児玉さん。足立さんの「(これは戦争かもしれない、という事をお話ししながら)第2次世界大戦と決定的に違うのは、これは【負けるわけにはいかない】という事」という力強い言葉に、思わず吹き出しながらも、いや本当、本当に感動した。

2回目の8/2放送分では、プロデューサーとは何かという事についての、お二人の考え。こちらもとてもためになるお話だった。お客さんとアーティストとのマッチングがプロデューサーの役割、という児玉さん。足立さんは「僕がだめと言ったときは本当にだめなんだなと分かってもらえる信頼関係」のようなものを話されていたと思う。(これは私も仲良しの文化施設のプロデューサーと仕事をしていて、いつも同じことを感じる。すごく重要事項)

そして足立さんの想像を絶するような被災地当日のお話。アリオスに布団をもった人が押し寄せ、自然に避難施設となっていった。非常用の電源があったから、市役所の機能も一時はアリオスに設置されていた、等。そして、今、少しつず落ち着く中、「日常をとりもどす」「音楽を皆さんと楽しめる場を作って行く。我々アリオスは最大限の努力をしていく。特別は事としては無く我々がもとからもっているミッションとして行く。頑張ろうということばは使わず「平気で乗り切る」、と、足立さん。

そしてアリオスのアウトリーチ・プログラム「おでかけアリオス」の一環として行われたコーコーヤの皆さんの小学校での演奏が流れる。演奏の後ろで子供たちが一緒に歌う声が聞こえる。涙、涙。子供の声っていい。

そんな頑張る福島。頑張るアリオス。東京から常磐線で簡単に来く事ができる。アルタンのおっかけに来たS石さんによれば日帰りも可能!(*下記重要事項あり) というわけで、一番の応援は実際に公演を見に行くことだと思う。番組最後の力強い林田直樹さんのコメントがいつまでも心に残りました。いい番組でした。

PS このブログを読んでくださったS石さんによると、アルタンのおっかけに来たのはS石さんじゃないそうです。あらら。でもさすがS石さん。東京からこの会場に遠征した経験はお持ちで「確か最終は8時台ではないかと…」とのお話。で、時刻表で確認したら、常磐線特急の最終が20:20発。通常の各駅の常磐線20:50発で上野までたどりつくことも可能ですが、確かにこの時間でコンサートを見るのは辛いかもしれません。ホールから駅まで歩くとちょっと距離があるし。それにしても人の記憶というものはいい加減ですな。申し訳ございませんでした。(同日18:30追記)

PPS さらに「細かいこと言ってすみません」とメールをいただいたS石さんによると「でもここはすぐ脇に小川の土手があって気候の良い時は本当に絵に描いたような素敵過ぎるロケーションのホールでしたよ〜」とのことでした。S石さん、ありがとうございます。(同日18:36追記)