「Eklunda polska No. 3」祭り

「楽曲祭り」=同じ曲を違う演奏者で聞いてみるとよく分かる、良い伝統音楽とつまらない伝統音楽の違い。今日は北欧スウェーデンの楽曲を取り上げます。Eklunda polska No. 3。この曲を通して、何が面白いか、いろいろ聞き比べてみましょう。

まずはスウェーデンの田舎で演奏されてそうなタイプの団体フィドル演奏。ちなみに上手から3人目はノルディック・トゥリーのハンス・ケンネマルク。隣にいる人、フィドラーズ・ビドのケヴィン・ヘンダーソンに似ているけど違うよね? もっと言えば、一番下手の人は、80年代のローゲルの姿によく似ている(笑)(ちなみにヴェーセンは3人ともフィドルが上手い。結成当時はフィドル3台とかよくやっていたらしい)



いや〜田舎くさいとはいえ、やっぱり北欧はこのリズムが抜群に良い! 最近アイリッシュとかって飽きちゃったのはさー、やっぱリズムが面白くないからなんだよねー。なんか同じリズムでグイグイおしてくる伝統音楽ものはさー、いくらメロディが面白くても飽きが来るんだわ。その点、これなんか何度聞いても飽きない。楽しい。聴いていてワクワクする。気持ちが上がる。

で、それが、ちょっとインテリになると、こんな感じになる。アッレ・メレル御大のバンド。面白い。が、しかしこれじゃせっかくのリズムの面白さをつぶしちゃっているように思うんだわ。こういう風に縦にリズムを入れちゃうと、メロディも引き立ってこないよね。マーティン・ヘイズがいつも言うように、もっとメロディの奥にある曲が伝えたいと思っている「曲の気持ち」に耳を傾けないと。90年代のワールドミュージックブームの頃だったら許されたかもしれないけど、今はもうあまりかっこいいとは言えんだろう。



で、今は、やっぱりこうでなくっちゃ!ってのが、ヴェーセンの演奏。あまりに、すごすぎて絶句! 絶句! 絶句! 絶句! こういうのを本当にかっこいいって言うんですよ。皆さん、ヴェーセンのすごさが貴方にも分かりましたか? 他がつまらなく聞こえるでしょ?



ここにはメトロノームみたいに判で押したみたいなリズムはない。グネグネとした音の生き物の動きがあるだけだ。そしてこのスイング感! 

さらにこれなんかさらに進化して、ウーロフの勝手気侭な演奏に、ローゲルとミッケが、よく付いて行ってる。すっごい面白い。本当に生き生きとしている。プレイヤーの凄さだけでなく、この演奏にはメロディの持っている「気持ち」や「ユーモラスさ」が充分に表現されている。これこそ「現代に生きる伝統音楽」という奴なんだわさ。



ヴェーセンの来日公演は11月。詳細はこちら

PS
2014年、10月本人に確認したら、やはり一番上の映像の一番ステージ向って右の男性はローゲルだそうです。可愛いねー(笑)