「こんなもんでいい」と思ったらそこで終わる

昨日は私の46回目の誕生日で、久しぶりにお祝いしてもらったり、プレゼントをもらったり、すごく良い1日だった。この歳になるとだいたい誕生日なんぞはそのまま普通に終わるのだけど。なんだかテレくさいし、あんまり自分がそういう場の主役になることに慣れていない私なのだ。だいたいは誕生会を仕込む方の側が好きなんだよね。

でもfacebookのおかげで、友人の誕生日を忘れないですむのはホントに便利! いろいろ言う人もいるけど誕生日にメッセージをもらって喜ばない人はいない。かと思うと昨日は朝から国際的な仕事をしている取引先と打ち合わせが続いたのであるが、最初の2つの相手はfbをやっていない(もしくはやっていてもほぼ放置)ので、私の誕生日だということはまったく気がついていらっしゃらないようであった。もっとも、その方がビジネスミーティングの席としては心地良いのだが。ま、どっちにせよfbはフリーランスの強力な味方だなと思う。




打ち合わせと打ち合わせの間には、銀座のマキシム・ド・パリで休憩もした。普段ならせいぜいスターバックスとかタリーズのたぐいで休憩なのだが、今日は誕生日なんだしというわけで一人でナポレオンパイ(今はミルフィーユと言う)を食べる。パリのお菓子と言っているが、パリに行ったって、これほど美味いもんはないだろー。美味すぎて卒倒しそう〜。昼間のマキシムは有閑マダムであふれる銀座マキシム。約2,000円のお茶休憩。とてもリッチな気分。マキシムは紅茶も自動的におかわりが出る。紅茶は高いんだけどまずいタイプの味。紅茶だけは自分が入れた紅茶が一番うまいと思う。

本来の私なら、誕生日はこういう風に自分一人で好きなようにすごし、夜は一人でスタミナ苑に行くか、もしくは大学の後輩よびだして、やなぎで飲むかくらいが一番心地よいし自分らしいのであるが、今年は広告業界のすごい人たちが集まってくれるという…ワクワク。

今回の誕生会だが、そもそもきっかけは、とある仕事でご一緒した某デザイン界の超巨匠、新ちゃん先生こと新村則人大先生によるヒロミ・ゴーのパフォーマンスを私が見たいと言っていたことから始まる。先生とご一緒するのはすでに数度目なのであるが、そこで「新村先生のパフォーマンスは本当にすごい」と言うのをみんなが言うのを聞いて、私も見たい、見たい、と言っていたのだ。fbから「今月の誕生日の友達」という案内メールが来て私の誕生日があると知った巨匠は、私の誕生日にそれをかなえてくれたのだ。ありがとう! 新ちゃん先生。

新村先生は広告界の大巨匠なのであるが、子供みたいにすっごく素敵な人だ。写真や資料、素材を見せたりすると、その時の「ワクワク感」みたいなものがビシバシ伝わってくるのがいい。さすが巨匠と呼ばれる人は、普通の人とはまったく違う。その辺のすれっからしの大人とは違う。実にピュアな方なのだ。ウチのアーティスト陣にも通じる部分があるかなー。

それにしてもすごいパフォーマンスだった。単なる物まねの息を超えていた。私たちが客席(銀座の某豪華カラオケボックス)で待っていると、事務所で着替えメイクもかつらも衣装もバッチリの新村先生登場。まずは黒いスーツ+からすの羽のようなショールをまとい「お嫁サンバ」のパフォーマンス。すごーーーい。ホントにヒロミ・ゴウみたい!! そして曲が「2億四千万の瞳」のイントロが始まると、なんと再び部屋を出て、上は黄色いジャケットに着替え、花束を持って登場。きゃーっっ、かっこいい! そして花束を私に手渡した新村先生の「2億四千万の瞳」が始まりました〜。足をあげ、腰をふり、ものすごいパフォーマンス! アクションもすべてホントヒロミ・ゴーみたい。

いや〜、ホントにすごいわ。想像していたのより、うんとうんとすごかった。そしてやっと見れたヒロミ・ゴー。この妥協なきパフォーマンス。さすが日本のトップ・クリエイター。妥協がない!! それにしても全広告業界垂涎の大パフォーマンスを誕生日にやってもらえるなんて、私は超ラッキーとしか言いようがない。ヒロミ・ゴーの写真はこちらでも公開になっているので、ぜひ! 




実は今読み始めた本「自分の仕事をつくる」の冒頭にこんな話がある。世の中は人の仕事であふれている。あなたの身の回りのもの、すべて、それがすべて誰かの仕事の結果なのだ。そこには「こんなもんでいいか」という物もあれば、妥協なき完成度を極めるものもある。… という話をカメラマンの藤岡直樹さんにしたら「これ、すごく分かる。“こんなもんでいいか”と思ったとたん、撮れなくなるんですよね」とおっしゃられていた。

そうなんだよね。過去、新村先生に「ヒロミゴーやってくださいよ」と何度かお願いしたのであるが、なかなかそれはかなえられなかった。そしてその理由が昨日やっと分かった。これだけの準備と情熱が必要なのだ、という事。メイクもバッチリして眉毛を太くし、かつらをかぶってサングラスをし、ビシッとステージ衣装に着替え、アシスタントの庭野さん(おつかれ様でした)にライトの指示まで出して、新村先生は、いつもの新村先生ではなかった。本当のヒロミ・ゴーだった… 

それにしてもアートの世界で戦うおじさんたちは超すごいと改めて思ったのでした。さすが新村先生の企画。ケーキから何から超一流だった。一人で1/4も食べた… 新ちゃん先生、本当にありがとう。その圧倒的なパフォーマンスにパワーをいただき今日は頑張って仕事してます。その後に流れた串あげ屋でのお話もとても勉強になったよ。

とにかく私が普段いる世界とは、まったくの別世界なので、いろんな事にびっくりしてしまうし刺激になる。これが一流の仕事の世界なんだなと思う。そして、おじさんたちの方も私が一人で好きな音楽に突進するように仕事をしているのを見て面白いと思っているみたいだ。いや〜ホントに楽しかった。



さてウチの経理部長(母親)より恐怖のプッシュ電話が来て、いよいよ経理を終わらせないといけないことになった。ホントウにやばい。