もうすぐ来日、スヴェング!

さーて、いよいよ次はスヴェングの来日です。もう4度目の来日になるかな… とにかく人気で、1つのツアーが終わると、また公演のオファーがどこからともなく発生し(笑)次のツアーが決まるという。ウチのアーティストたちの中では超優秀なバンド。
ま、ハーモニカだけですべてを演奏するってのが、まず良いですよね。


2003年結成。私は「雑食系」って呼んでます。だってハーモニカだけで、バルカンものから北欧トラッド、フィンランド・タンゴ、哀愁のロシアン・トラッド、宮崎アニメの主題歌まで、ありとあらゆる音楽を演奏してしまうから。普通トラッドのバンドってレパートリーにはすごく「こだわり」がある。たとえばドニゴールの伝統を伝えるアルタン。自作や仲間の楽曲にこだわるルナサ。ほぼ100%自作のヴェーセン。トラッドほとんどのマーティン・ヘイズなどなど。が、このバンドはホントに「こだわり」がない。だから自分たちがいいと思ったら何でも食べる。そして日本ツアーにおいても納豆でももずく酢でも何でも食べちゃう(笑)。「ほや」も食べてたな〜。でも彼等にとっては「もずく」が一番ショックだったらしいけど。


名門シベリウス・アカデミーを基盤とし結成。メロディは2人のソリストが担当。ハーモネッタと呼ばれるコードを弾くハーモニカと、大きな低音ハーモニカによるグルーヴィなリズムも聴きどころ。2年前にはナントの「熱狂の日」に参加し、ハーモニカだけでショパンも演奏してしまった。


このバンドとの出会いは実はとあるフィンランド音楽のコンベンションにて。普段そういうところにいってもろくな音楽に出会えないし、バンドとは突然、恋に落ちるみたいにして出会うのが私のスタイルだから、最初はまったく興味なかった。でもとあるマネジメントのブースで、某アーティスト(女性シンガー)を紹介されたのだけど、彼女の机の上にあった妙なジャケットのスヴェングのファーストアルバムに心を引かれたのだ。「これは何? このサンプルいただいて良いかしら」


普段私はサンプルは極力もらわない。貰うと余計なプレッシャーまで貰ってしまうからだ。相手がよっぽど上手に薦めてくれない限りは、断ったりする事も多いくらい。


でもあのジャケットにはピンと来たんだよね〜。それがスヴェングの「ファーストアルバム」。内容もめちゃくちゃ良かった。当時私はヴェーセンが一段落していて、心にもゆとりがあった。フィンランドはこのように国自体も協力的だから、何かやってみたいと考えていたのも事実。なのでこちらも「新しいバンドをやるゆとり」があったところに上手く出会えたというのが、このバンドを選んだ一番の理由だろう。


そうしてバンドとのコミュニケーションが始まった。最初はマネージャーが付いていたのだが(今はバンド直で仕事している)、いずれにしても非常に協力的で、私はすっかりスヴェングのことが気に入った。なので最初のツアーを組んだが、それはほとんどトライアルと言っていい、小さな小さなプロモーションツアーだった。お互いを見極めるトライアル。私も彼等が長期的に一緒に仕事するに値するバンドなのか見たかったし、彼等もそれは同様だろう。


関西空港で迎えた彼等とは、そこで「はじめまして」だった。これは私にとっては超レアなケース。だいたいはライブが本当に良いのか地元に確認しに行くからだ。でも何故かこのときは時間がなくて、また彼等の前評判も信頼出来る人たちからたくさん聞いていたので、心配もなかったこともあり、ホントに空港で「はじめまして」になってしまった。日本に到着したとたん、彼等は奈良の大仏に小巌さん(ハーモニーフィールズ)が連れていってもらって、ホントにびっくり。感動していた。懐かしいなー。あれから、もう6年くらいたった?


と、まぁ、そんな風にはじまった彼等とも付き合いも、すでに4回目のツアーとなった。彼等は私の最初のフィランドのバンドとなり、今や私もフィンランド相手にたくさんの仕事をするようになったわけ。でも何度も書くが、こんな風に出会ったバンドは珍しいかも。そうして、実は得てして,そういう風に出会ったバンドの方が妙にスムーズに物事が進むのだ。いや、これに比べたら、ポール・ブレイディなんか大嵐ってなもんで(笑)それはまた別の機会に。


何はともあれ今度の来日も本当に楽しみ。あの初来日のとき、武蔵野文化事業団のNさんに何か日本の曲を、と言われ、実は私たちは「恋のバカンス」をバンド側にリクエストしたのだが(あれは実はロシアン・トラッド)、彼等はなんとこの曲をピックアップしてきた。


そして今やこの曲は毎回コンサートのエンディングで演奏される彼等の重要なレパートリーとなった。この曲を生み出したのは、あの時、武蔵野にまったく無名だったスヴェングを呼ぶという勇気ある決断をしてくれたNさんだ。Nさん、ありがとう。





スヴェングの来日公演ですが、チケットの輸送期間を考慮し、そろそろチケットの通信販売を締め切ります〜。ご利用の方はお早めに。詳細はこちら