アキ・カウリスマキ「ル・アーヴルの靴みがき」

やっと見てきました、カウリスマキ新作「ル・アーヴルの靴みがき」

舞台はフランス。俳優陣も、奥さん役の女優さんと監督の愛犬をのぞいて,皆フランス人。言葉もフランス語なのに、なぜかカウリスマキが撮るとやっぱりカウリスマキだし、とってもフィンランド的なんだよね〜

フィンランド文化をプロモーションしている私にとって、カウリスマキ監督の作品はMust Seeなわけだけど、実は本心でも嫌いじゃない。というか、どちらかというと本気で好きである。

私はフィンランド文化をプロモーションしているが、可愛いムーミンの小物や、素敵な家具、おしゃれなライフスタイルなんて実は超クソクラエと思っている。ちなみにウチにある大量のそれらのブツは、すべて貰い物で自分でお金を出した買ったものなど一つもない。みんなが憧れるフィンランドなんて、実際この地球上になんて存在しない。アイルランドだって、そうだ。一般的な「おケルト」イメージなんて後ろ足で砂かけていいくらいだ。

でも、カウリスマキ監督は、私がフィンランドを好きだという理由に近い場所に、いつも存在している。ま、そのへんについては、詳しくはまた今度。

なので新作が上陸して、とっても気になっていたのだが、なかなか見に行ける時間がなく、やっと学校での講義終わりに映画館に駆け込み、見ることができた。平日の昼間だというのに割と混んでいた久々のユーロスペース。

ほんと1つ1つの場面がカウリスマキ節、全開ですよ。ホント最高。もしかしたらカウリスマキ作品の中で一番ポップで明るい作品かもしれない。そう感じるのは比較的セリフが多いからかな。でも散らしにあるみたいに「人間讃歌」とか言われちゃうと、ちょっと違うようにも思えるんだよね。アフリカからの不法移民の男の子を助ける,いけてない暮らしの夫婦の物語。最後はおとぎ話みたいな奇跡が起きて、ハッピーエンドということになっているが、なんかそれまでもが監督による斜めな視線のジョークのようにも思えてならない。こんなニュースも伝わってくるのを聞くと、ホントにカウリスマキらしいと思う。いずれにしてもおすすめです、この作品。