スコットランド/フィンランドな1日

今日はラウーのエイダンより「オレの友達が東京行くから会ってやってよ」と言われ、スコッティッシュ・ミュージシャンのJohn Somervilleというアコ奏者とランチに行った。Treachers' Orchestraは知っている人もきっといるよね。スコットランドの大所帯バンド。バンジョーのイーモンだっけ…を中心としたグループで結構、音もかっこいい。私も何度かパフォーマンスを生で観たことがある。



正直、ちょっとここのところやること山積で忙しかったから、単なる友達ってだけでランチに出るのは余り乗り気がしなかったけど、まぁ、ラウーとかフルックとかいろいろやってる中で、友達が日本に来たら、彼等の代わりにランチくらいご馳走せんとあかんだろ、と言うことで……この商売ってホント面倒だし、こうやって経費が出て行く。でも会ってみたらいい人だったし、何より共通の知り合いの話をするのが楽しく、意外に盛り上がった。ジョンは、今、こういう公演で日本に来ているのだそうだ。全然知らなかった。ここに詳細。フィドルの大竹奏さんのリサイタルの海外からのゲストなのだという。あのパイプの山根さんも出演すると言うじゃないですか! ほぉ〜

それにしても笑えたのは、今日はそのあとフィンランド映画祭の予定だったから、真っ赤なアングリーバードのTシャツを着てランチに行った事。これって、エイダンが一番イヤがる服装だ。「ヨーコは元気だった?」とエイダンがジョンに聞いてきたら「ヨウコはアングリーバードのTシャツを着てあらわれたと言え、奴は怒るから」と言ったら、ジョンは爆笑していた。だいたいエイダンは服装について気を配り過ぎる。クリス・スタウトやハラール・ハウゴーもそうだけど、男の人で必要以上に服に気を使うのはフィドル奏者に多いな。

ま、何はともあれラウーとの出会いのきっかけを聞かれ、いつもの「BBCアワードを取るより私が日本に呼んだ方が早かった」の自慢話もまことに気分が良く、これまたエイダンが「ヨーコが連れっていってくれたあそこが良かった、ここが良かった」というのをジョンに吹聴した事もあって、仕方がないので仕事は忙しかったが、フィンランド映画祭のあと、ラウー御用達のトラム&トレンチバーにまで連れていった。もう夜の9:30だったが、終電まで飲んだよ。ここでもヴェーセンとか、マーティン&デニスとか名前を出すたびに尊敬のまなざしがジョンから向けられるので、私は嬉しかった。それにしても私は自分で言うのも何だけど、自分の仕事をとても愛している(笑) 

今日、ikedahayatoのブログにもあったが、普通仕事は「やりたいこと」「やれること」「やること」のバランスで出来ている。それがぴったり一致するのは野球選手ぐらいらしい。でも自慢しちゃうけど、私もそれがかなり一致している。そりゃーもちろんもう少し儲からないと生活が辛いとかあるけど、本当に信頼を寄せてくれるアーティストとチケットを買ってくれるお客さんに恵まれ、ホントに感謝、感謝である。そりゃーたいへんなこともたくさんあるけど、すべて自分で決めたことだから、イヤなことは1つもない。もちろん決断をくだすときはいつもドキドキだし、ほんとうに仕事がきついときもある。でも、ホントがんばるべー。それこそ実際今、「やりたいこと」「やれること」があるのに、「やること」が山積しているってなもんで…… ほんとやばいよね。頑張らないと。

か思うと、昨日FBで見つけた言葉。ダン・ケネディの普遍の真実「すべての成功の達成は、決断からはじまる。ぱっとしない人生のほとんどは、決断を決定的に欠いている」という言葉にうなづきまくり。そりゃーウチは誰にでも分かるようなヒットはないさ。それに外から見たら明らかな失敗だったり、自分では失敗と気づいてない失敗ももしかしたらあるのかもしれない。でも自分で決断することからは絶対に逃げないできた。毎日決断の連続である。だからやっぱり自分の人生、エキサイティングだな、と思った。うん、いいよ、いいよ。

ジョンとのランチの後はフィンランド映画祭の続き。「星の見える家で」「オールモスト18」の2本を見て来た。2本とも派手さは無いが,地味によかったよ。どちらもおすすめの映画だ。だけど、もう映画祭は終わりおそらく日本語の字幕付きで見る機会はもう無い。

それにしても今年のフィンランド映画祭はプロモーションもうまく行っているように見えたし、すごく盛り上がっているように思えたが、お台場という場所もあったのだろうか、動員は例年に比べ実際のところどうだったんだろう、と思う。今だに映画の世界はビジネスモデルがどんな仕組みになっているのか、まったく理解できない。2,000円もしないチケットで場所代と映画の権利と運営費をペイできるのか、そしてかかわった人全員への労力にたいするペイがあるのか? 今回、実際に字幕にも私でも分かる明らかな誤植も多く、かなりの突貫仕事だったんじゃないのかと想像したりもした。もちろんこういう映画祭はスポンサーがある程度ついて、国もお金を出しているのは当然だ。だが、それにしても、と思う。その点、ウチなんか5,000円以上もするチケットを100枚とか200枚とか売っていたりするわけだから、ホント、今のこの厳しい時代に本当に有り難いよな…と思うわけである。

今日のジョンも言っていたが、今ほどお客さんのお財布を開けさせるのが難しい時代はない。ライブシーンが盛り上がっている、なんて誰が言ったんだろう。みんなどこも苦労の連続だ。若い年代はライブにも行かない。たまたま行っても、それがたいしたものじゃないと、「あぁこんなもんか」と思って、もう二度とライブに行かない。たまたま行ったライブがウチのヴェーセンやマーティン&デニスみたいなすごい公演になる可能性はとても少ない。だから今後ほんとに音楽ビジネスは厳しくなるだろう。

そして、そもそも音楽業界自体が、「一応盛り上がっているようにみせる」ことが仕事の第一前提であるので、みんななんとか表面だけはとりつくろっているが、実態はボロボロだと思う。事態は想像するより深刻で、「いったいこの人、何して食べてんだろう」って人がゾロゾロいる。このすべてがはがれて、実態があらわになったとき、生き残れるミュージシャンやスタッフがいったい何人いるのか? 本当に不安だらけだ。

かと思うと、先日行ったプランクトンさん主催の山中千尋さんの公演なんぞは、ホントにお客さんがたくさん入っていたし、CDもわんさか売れていた。先日のパディのプロモ来日といい、真面目に日々の努力を重ねている人たちを、ほら、ご覧!!という感じだ。

とにかく今日のところはバー・トレンチのロジェさんの作ってくれたシャンディガフ(ホントに他の店のと全然違う!!!)が絶品だったし、今、自分の目の前にある「やること」をこなしていくしかないのだ、と思った。

話は180度変わって、通訳の染谷和美さんの「動物超訳」シリーズが面白い。「友達」じゃない人でも読める設定になっているから、ぜひ皆さんも英語の勉強がてら、こちらへどうぞ。そして彼女のTwitter<犬を詠む>シリーズも良い。今日の一句。

この一歩、この一口を全力で、
明日を憂わず、昨日を悔いず

犬に教えられることは、なんて多いんだろう。人間はダメだな。もう犬に任せるしかないな!

というわけで、何はともあれこの日曜日。もしジョンも出演する奏さんの公演に行ける人は皆さん行ってみてください。渋谷の駅向こうに出来た新しい総合文化センターにて。私ものぞいてみようと思っています。

それにしても映画なんか見てるせいだよね……仕事が山積。もちろん映画もマーケティング、ミュージシャンにご馳走するなど、プロデューサーたるものすべてが仕事なのだが。明日うんとがんばらないと! でも字幕みながらフィンランド語聞いてたら、なんだかフィンランド語が理解できるような気持ちになった(爆)