神本降臨!!! すごい作品。「若き日の哀しみ」ダニロ・キシュを読みました

来た。久々の神本が来た…

最近私の読んだ本の数々も、どれも外れがなかったが、ノンフィクションだったり、話自体がおもしろいということだけであって、そういったたぐいの本と比べると、この本はまるで次元が違っている。

この季節に読むのに最高にぴったりな一冊だ。秋の肌寒くなっていくところから物語が始まる。だから読むなら今がいい。そして、とにかく文章が美しい。原文も良いのだろうが、訳した人も詩人ということで、本当に美しい文章が時間を押し進めるようにして流れて行く。私もペッテリのプロモが終わって、切なくてしみじみと泣けてくる。こういう気持ちの時に最高の本だ。

……いやいや、分かっているのだ、アーティストがいないのが寂しいのではない。頑張った自分の努力が終わったのが寂しいのだ…このポッカリ感は本当に頑張った人じゃないと分からんと思う。だからいいんだ。こういうのはオデが頑張った証拠だから。…と言いつつも、グスグス…

しかし、なぜ普段買わないこのテの本を買ったかというと、たまたま目に入った豊崎社長のこのツイートのせい。社長が薦める本はほとんど間違いないのだが…。社長、いつもお世話になっています!!! いやはや、ホントに素晴らしかった。

もちろん感動とか胸はりさける…って感覚もあるのだけど、それよりも子供時代のピュアな感覚や、すごく綺麗な気持ちがよみがえってくるような感覚を覚えた。まったくもって押しつけがましくないが、ものすごくパワフルな本である。うううう… 泣けるよ。

それにしても、まず読み始めて思ったのは、久々にこういう文章を読んだ、ということ。文章事態を味わうような書き方なので、普段の、なんというか、朝からグノーシーやハフポスや佐々木俊尚さんが運んでくるネット上のニュースや記事を斜めに飛ばすように読んでいる頭に、最初とても辛く感じた。いつものような読み方で文章を目で追っているだけでは、全然頭の中に入ってこない。

まったくもって、なかなか物語の情景が頭に入ってこなくて困った。それでも立ち止まっては改めて何度も同じところを読み、何度も進み/戻りを繰り返し、しばらく進んで行ったら、だいぶ頭の中が落ち着いて来た。そうして味わってみれば、こんなに美しい世界はない、というわけだ。ネットばかりじゃなくて、普段からもっとこういう文章を読まないとダメだ。特に秋は。そして普段から、自分がどのくらい枯れているのか気づく。こういう本に出会うと、ホントに本を読まなくちゃ行けないな、と思う。じゃないと、ジョブズが言うみたいに細部に宿る美しさが分からない人間になってしまう。それじゃ良いものをお客さんに届けることは出来ない。

いやはや神本ですよ、これは。秋の読書はこういうのがいい。この空気感は東欧ならではの哀愁かなぁ… 東欧は音楽も本当に素晴らしいものが多いけど、いつか極めてみたいエリアでもある。今はケルトから北欧に来たけど、その次,行くとしたら絶対に東欧なんだよなぁ。ヨーロッパの冷たい石畳とか、犬とか、少年とか、そういうのを思い浮かべながらゆっくり読むのがいい。




東欧サウンドといえばオデにとっては、これが一番や…今聞いてもかっこいいのう…