出張DAY2 ヴァン・モリソン

ってなわけで、いよいよ公演が始まりました。まずは娘が3曲。上手かったけど、まぁ3曲が限度だよね。でもこの娘が一緒ってのは、ヴァンにとってはいいことなのかもしれない。そうだ、娘が一緒の公演を見るのは初めてかも。

そしていよいよ御大登場。やばい…またサックス抱えてるよ…  で、インストで一曲。なんか、御大すっごいオーラというか、佇まいがもう尋常じゃない(笑)。さすが!   衣装はいつものダークスーツと帽子とサングラス。歩き方はなんかヨレヨレ。ステージが狭くて機材が多いからなのか、普通に足元がやばいのか、分からない。スーツの前は全部ボタンを占めて、ちょっと窮屈そう。そのくせ、肩が大きく取ってあって、ちょっとだけ見える素敵で高そうなシャツの襟の上にのっかている大きな頭を少しでも小さく見せる効果が出ている。でもそれがものすごく不自然。全てを脱いだら一体どんな体型なんだろ!?   それにしても首がまったくない!   そして腕が長いんだよね。なんか妖怪度が、すごい。

そして本当にびっくりしちゃうのが、ライトの演出が全くなし!   1個前の投稿でアップした写真の、星空のようなダサいバックドロップが、演出といえば演出で、あとはいわゆるホテルのボールルームのピーカンなライト。いいのか、これで?!みたいな感じ。でもよく思い出してみれば、フラーフェスはまだ日中だったし、シェパーズブッシュでの公演もそういやライトの演出なしだった。シェパーズブッシュ、傾斜が急で昔の厚生年金みたいなんだ。真っ黒なステージで、衣装も真っ暗で、ライトはひたすら明るいか暗いかの二種類しかなかったように記憶している。これが、ヴァンのスタイルなのか?  それにしてもライトの演出なしで、こんなに距離も近くて、ある意味、素っ裸の…素のままでただ歌うアーティストがそこにいたのだった。

で、2曲目からやっと歌い始めるんだけど、うーん、声出てないよ。そして相変わらずサックス… でもどうやらサックスの調子が悪いらしく、途中スタッフが慌てて出てきてサックスをヴァンから手渡されると、ステージ奥へ引っ込む。サックスがなくなってヴァンは少しずつノリ始める。(サックスはその後無事に戻ってくるが、ヴァンはあまり吹かなかった)

うわ、すごいなーと思うようになったのは5曲目くらいからか。うーん、リハが足りなかいとこうなるんだよねー。でもディナータイムやら何やらで間があいたからしょうがないのかな。そして誰がいったい「あのう…ヴァン先生、もう少しリハで声だしておいたらいいんじゃないでしょうか」とか言えるというのか?

でもとにかく「ジョージア」あたりからはもうヴァン、オンステージという感じのすごい公演でした。

曲は相変わらず決めてない様子。ステージドリンクは2種類。グラスに入れた、おそらく水。そしてマグカップに入った何かを交互に飲んでいる。必ず水を飲んでからマグカップに行く。がーーっっっと歌っていたかと思うと、曲が終わってもいないのに、いきなり後ろにある楽譜?歌詞カード?の白い紙をバラバラとめくり始める。ヴァンは自閉症じゃないかと言った人がいたが、こりゃーもしかして多動症も併発してるかも、と思ったのだった…  私もちょっとそれっぽいから分かるんだ。とにかく妖怪みたいなヴァンがすぐ目の前にいるから、そんなことばかりが気になる。

でも音を決めるところで、マイクを握ってない方の、スーツから伸びた妙に長すぎる腕を振り上げたり振り下ろしたりしてバンドをキメるところは、めちゃくちゃかっこいい。まさにソウルシンガー!

途中ハーモニカを吹いたりもした。ハーモニカを吹く時はワイアレスの金色のマイクを使う。普段はストレートのマイクスタンドのマイクを握りしめて歌うのだが、いきなり前触れもなく歌の途中でハーモニカ用のマイクで歌い出した時はびっくりした。PAの人、すごい!    神業!   その他にも失礼ながらバンドがパニクる様子が面白い。MCが基本無いので、ギターの人などは曲が始まってから次の曲用に慌ててチューニングしたりして。でもヴァンの中の音楽のイメージというか、フローを壊さないように…まぁそういうことなんだろう。とはいえ、ファンサイトに上がったセットリストを見れば、それほど前日とは変わってないようだが…

それにしてもヴァンがthank youと言ったときはびっくりしたよ!    加えて何かをしゃべった!!!   びっくりだよ、もう!!!    喋る声は歌う声に思ったよりも近かった!    ヴァンがステージで喋るの、本当に初めて聴いたよ!   でもなんて言っているかまったく分からず。でも周りの人はドカンドッカン受けてたので、多分面白いこと言ってたんでしょう。唯一分かったのは、「昨晩ビル・コノリーが来て、俺のこと面白いって言ってくれたからさー」みたいな話。喋りながら笑顔を見せたりしてた。すごい!    でも喋る様子はなんかヨレヨレだった。それが歌うとあんなにシャープなんだから、本当すごいわ。

で、調子に乗った客からはリクエストが飛ぶ。それを拾うことはなかったが、後でバックステージでポールみたいに怒ってないか、ほんと心配。心配といえば隣のテーブルの客が結構iPhoneで撮影してたのも気になった。とにかくステージめっちゃ近いから、そういうことが気になる。

最後のNO PLAN Bとか、すごかったよ。でも超盛り上げに盛り上げ、コンサートはそのままストン、と終わってしまった。隣にいたブレンダン氏が、「こういう風に終わるときはアンコールはなし!」とか、早い段階で教えてくれたので、私は納得したが、隣のオーストラリア人夫婦は自分たちが期待するベストヒット的な楽曲が聞けなくて超不満そうだった。今、渦中の「ムーンダンス」はもちろん(ヴァンの公式ページにはあのリイシューは買うな、としばらく告知されていた)、グロリアもなしだったけど、私はそれより演奏が良いのが重要だと思っていたので、まぁ、満足。

ブレンダンさん曰く、今日の公演は相当よかった、とのこと。まぁ、遠くから来た私たちに気を使ってくれたのかも、だけどね。でも私も今まで自分が見たどのヴァンの公演より良いと思った。そしてブレンダンは次のカーディフ公演にも行くそうだ…   時計を見たら演奏時間は1時間45分。娘の分をのぞいても今日のコンサートは充分な長さだった。

まぁ、そんなわけで音楽のマジックが体験したくてわざわざ行ったわけだけど、なんか満足…っていうか、なんだろ…満足じゃないな。納得?   納得って言葉が一番あうかな。なんか納得した。そういう気分だ。

よく私がこのブログに「お金と暇があれば誰にでもできることを羨ましく思ってはいけない」って書いてるけど、それ、本当に正しいわ。今回のこれは金と暇があれば誰でもできること。その代わり決断は速攻で、告知が出たらすぐチケットを買わないとダメなんだけど、金と暇があれば誰でも行ける。おそらく次は4月くらいだろうし、お勧めですよ。まぁ、見渡す限り白い人ばっかで東洋人は私だけだったけどね。でも今回のこれなんか12月でもチケットまだあったみたいだし(ヴァンのFBページによる)、私もこのチケットは普通に取っただけ。だから絶対にヴァンを見るのは不可能じゃない。そして行くなら成功率の高い、このシリーズはお勧め。普通のロンドンの公演とか行くより成功率高いですよ、きっと。

で、私にとってはやっぱりやっぱり自分のアーティストのために一所懸命東京で働いて、で、こっちに彼らを堂々と見に来る、ってのが一番好きだわ、ってことなんだな、と。まぁ、もちろんヴァンのこれは素晴らしかったけど、私にとっては、音楽そのものよりも、どっちかというとそれを確認しに行ったようなもんだった。やっぱりこの仕事に向いてる、私は。…とまぁ、毎度の結論です(笑)   。

また200ポンド払ってヴァンのこれ、見たいか、って?   うーん、今は分からん。でも後からジワジワ来るのかもしれない。NO PLAN B、NO SAFTY NET。ヴァンにも言われちゃったよ、退路を断て、って。

セットリスト
Celtic Swing
Close Enough for Jazz
Rough God Goes Riding
Back on Top
Queen of the Slipstream 
So Quiet In Here 
Choppin Wood 
Keep It Simple
Green Mansions 
I Get a Kick Outta You
Georgia
Enlightenment 
Whenever God Shines His Light
Sometimes We Cry
Bulbs
All in the Game/This Is It/No Plan B- No Safety Net/Burnin Ground/When Heart is Open