ケンソー そしてヴェーセン 続き

それにしても昨日のライブも素晴らしかった。ケンソーの現場で最高なのは、なんだかミュージシャンだけではなく、スタッフまでもが文化祭みたいにキラキラした目でこの公演に参加していることだ。まるで全員中学生に戻ったみたいに。

こんな気持ちになれる現場はほんとに滅多にない。というのは、全員が音楽のためにこの現場に来ているからだ。音楽っていいなぁ!って気持ちの上にすべてが成り立っている。それがホントに素敵だと思う。実はそういう現場、意外と少ない。

もちろんケンソーの音楽の求心力とか、清水さんの人間的素晴らしさとか、いろいろあるのだけど、あれだけの規模なのに基本ケンソーのマネジメント=清水さんとマネージャーのO田さん個人による手打ち公演だ、ということはとても大きい。もちろん私も手伝うし、O田さんが前所属してた事務所も協力するとかわるわけだが、基本自分の手打ち。O田さん、今回40周年本のレイアウトも全部やって(これがデザイナーに発注すれば、それだけお金もすごくかかる=本の値段があがってしまう)、タフなあちこちとの交渉から、メンバーのスケジュールあわせ、スタッフの弁当の手配から、ホントにここに書ききれないくらいのすごい量の仕事をすべてこなし、ホントに素晴らしいと思う。手打ち公演というのは、自分で会場をお金を出して借りて、自分たちでチケットを売って公演をなりたたせる、ということだ。つまり自分たちの責任において行う公演、ということだ。本当に大変だと思う。おつかれ様でした。

ところで、清水さんには今度私が11月に招聘するヴェーセンがはじめて日本に来た時、ずいぶんとお世話になった。ヴェーセンの最初の南青山マンダラの公演が2回とも一杯になったのは、清水さんがブログなどで応援してくれたおかげだ。あの援護射撃があって、ケンソーのファンの人がヴェーセンのチケットを買ってくれたから、ヴェーセンの公演は成功した。ヴェーセンは来日前に発売したCDも対して売れていなかった。でもあのライブを観てもらえればきっと大丈夫だと私も確信していたので、清水さんに応援を頼んだのだ。そして、その後発売したCDには、清水さんのコメントをいただいた。そのコメントが、すごく良くって、ずっとその後チラシなどに何度も使わせていただいている。

 ヴェーセンのライヴには
 セールス至上主義に陥る以前の黄金時代のロックが持っていた
 強靭なエナジーと
 繊細なリリシズムが見事に共存している。
 (ケンソー 清水義央)

そう、実は私はヴェーセンを、最初のころはロックバンドとして売っていきたかった。

アコースティックだけどロックのインストバンド。そのくらいかっこいいから。そのくらいパワーがあるから。でも実際の彼らはどちらかというと大きな音のPAが嫌いで(特にウーロフ先生)それよりも響きの良い部屋で音をならす方が好きだった。私は逆にローゲルの低音がグングン出てくらいのバランスが好きだった。多少の喧嘩と多くの飲み語りを経て、私の音の好みも少しずつ彼らの方向へと移行していき、今、ヴェーセンの日本での公演はほとんどがNO PAのアコースティックサウンドだ。日本での最後のサウンドチェック(PAを使った公演)がいつだったか,本当に思い出せないほどだ。(今、過去の公演履歴を調べたら、最後は2009年の札幌公演だった)が、なんと実は今度のduoの公演では本当に久しぶりにPAを使う。

実は昨年8月にノルウェーで久々にPA入りのヴェーセンを見たが、やっぱりPAが入ると、えっらいカッコいいのだ。うねるような音の壁がリスナーに向って、どーーんと襲いかかってくる…そんな感じ。それはやっぱりPAがないと不可能だ。逆にNO PAの時は音のダイナミクスの繊細さが表現されて、それはそれはたまらないのだが… それはまた別の世界。今回は久しぶりにロックバンドとしてのヴェーセンをぜひ楽しんでいただけたら、と思う。

そうそう、今回、ケンソーのライヴ会場でのCDや本の即売の打ち合わせを清水さんとメールでしていて、会場で折り込みチラシにヴェーセンのチラシを入れてもらうことと、清水さんが私が在庫を持っている76/77とか、ヴェーセンのCDを販売してよい、ということになったのだけど、それに加えて、清水さんが「11月のチケットも持ってきたら」とおっしゃってくださる。私は「いや〜、結構高いし売れないでしょー」と言っていたのだけど、持っていったら実際は3枚も売れた。ホント感謝だ。ケンソーのお客さんは心が広い。いろんな音楽を聞いて知りたいと思っていてくれているに違いない。それが本当に素晴らしいと思う。清水さんとお客さんの信頼関係が最高にいい。

そんなわけでヴェーセン、清水さんに推薦してもらったからには、相当頑張らないといけません。公演は11月。まだ3ケ月あるけど、入場は整理番号順ですから、ぜひチケットはお早めにお求めください。

下の動画は途中で手拍子が起こるけど、さすがヴェーセン。振り切って演奏するところが素晴らしい。主旋律だけではなく彼らの演奏における、1つ1つの楽器の音の絡みを聞いてほしい。そうすれば清水さんの言っていることが分るよ。

 ヴェーセンのライヴには
 セールス至上主義に陥る以前の黄金時代のロックが持っていた
 強靭なエナジーと
 繊細なリリシズムが見事に共存している。
 (ケンソー 清水義央)




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PS
清水さんのブログも更新されました!