映画「6歳のボクが大人になるまで」を観ました

観て来ましたー やっと! 「6歳のボクが大人になるまで」 監督が子役も含む同じ俳優陣を12年かけて撮った…って事で、ちまたでかなり話題の映画。実際ヒットしているらしい。200名ほどの映画館はかなり一杯でした。

でも、内容は、その長く撮影したっていう事以外、あまり大したことないんでねーか、と。

それにしても長い。長かったよ、この映画。2時間半あった。でも前もって覚悟して観たせいか、長さは気にならなかった。話はテンポよく、途中で飽きることはなかった。それだけでもすごい事なのかも。

主役の男の子はホントに味わい深い。小さな子供時代から大人になって声がわりとかもしたりして… そりゃそうだよな。本物がそのまま歳取ってるんだから。

でも…そんな必要どこにあったのかな、って言ったらキツいかな。でも正直そんな感じ。それは制作側の都合じゃないの?って感じ。子役が出てくる映画…例えば「アンジェラの灰」とか、確か子役3人くらいでやってたと思ったけど、それほど悪くなかったよ?

でもって、子供の成長を追いながら脚本を書き換えていったりしているからか、妙に現実味を帯びている。特に派手な事件は起こらないが妙に現実的なのだ。それはこの映画の強みだと思う。でもってアメリカ文化が好きな人には面白いかもしれない。大統領選挙、SNS、ガガ… いろんな懐かしい時事ネタも出て来て、ここ12年のアメリカを振り返ることもできる。そして誕生日におじいちゃんに拳銃もらっちゃうところはテキサスだよなぁ、と呆れる部分もあり。

すべてを見終わった感想は、なんというか家族って大変だなぁ、と。この映画の登場人物の誰にも同情できない。同情するとしたら子供たち…主演の男の子と、その子のお姉ちゃんなんだけど、なんというか、大人は勝手だなぁ、と。お父さんはリベラルで明るいけど子供との約束を忘れたり明らかにお調子者すぎるし、お母さんは離婚後キャリアを積んで、それなりに努力家で成功もして… それでも彼女が素敵だなと思えないのは、愛情というか子供に対する態度にムラがありすぎる。離婚/結婚、パートナーチェンジあれこれ… 親がそれでいいのか?!とか言っちゃう私は…甘いのだろうか。親になったら、自分の人生をある程度は諦めて子供につくせよ…って言っちゃうのはキツすぎるのだろうか。でも… でもある程度、親として覚悟は必要なんじゃないの?と思ってしまう。まぁ、そうね、でも親じゃないから私にはやっぱり分らないのかもね。

しかし、この…私の信頼出来る人たちのほとんどが大絶賛する映画に乗り切れない、この感じ。前にもあったなぁ、と思い出した。コーエン兄弟の「ルーウィン・デイヴィス」にもいまいちノレなかったが、それだ! なんだろう。共通するものは。アメリカの…ちょっとストレートじゃないところにいる人たち? 例えば「ジャージーボーイズ」なんて、ストレートなものには超感動できるのに。っていうか、アメリカ映画っていうだけで私が期待するものが違うのか?

で、今、マチヤマ解説も聞いてみたのだけど…町山さんいわく「この監督がすごいのは、結末を最後まで決めなかったところ、流れを子供に任せたところ」と言う。なるほどね。確かに親がいくら不安定でも子供はたくましく自分の道を見つけて行く。でもって、普段は超共感する町山解説に異を唱えたいのは、途中子役がグレたとしたって監督はなんとかこれを1本の作品に仕上げたと思うよ、ということと、やはりそれは制作側の都合でしょ、って事なのだ。映画単体の話にはまったく関係ない。

最後はハッピーで未来が見えるような気がするエンディングだというのは、言っておこう。



あ、そうそう、それから音楽も素晴らしいです。サウンドトラックはNonesuchからリリースされていて、これが悪いわけがないというメンツ。日本盤は出てないみたいだけど。しかもAmazon日本のサイトにはトラックリストすらないや。トラックリストはここを参考にしてみてください。



PS
とか書いてたら、内本順一さんがこんな風にツイートしてらして、なんか納得。そう、観る人の視点が優しいと、この映画にはいろいろ見えてくるものがあるのかもしれない。こんな風に音楽にも映画にも素敵なガイドが必要。内本さん、ありがとうございます。

両親も不完全で、そんな姿を観ている子供もグラグラ… でもこれは解決するものではなく、生きている限りずっと続く、と。だから人間は愛おしいのだ、と。うーん、さすが!!!