スピリチュアル・グリーンランド2:ワタリガラスの謎?(笑)

新しいバンドをやる時は、そのバンドについて、またその音楽が生まれた背景について、あれこれ本を読んだり、映画をみたりして勉強するわけなんだけど、その過程がほんとに楽しい。余計な仕事といわれればそれまでだけど、こういうところが文化の仕事のロマンチックなところ。

今回MUSIC FROM GREENLANDのライブで来日するナヌークは、クリスチャンとフレデリックの兄弟がフロントのバンドなんだけど、お兄ちゃんのクリチャンがリードヴォーカルのこの曲もいいでしょ。相変わらずグリーンランド語はさっぱりだけど、Ravensと彼らが英語では説明してるライヴ映像もあったので、つまりワタリガラスってことを歌っているのだろう、と想像する。このPVもそういう感じ。グリーンランド語ではトゥミセタットゥーと聞こえる。そういやワタリガラスといえば、こんなバンドもいたわな…あのバンドのリードシンガーはフェロー出身だった。

ワタリガラスって、あのヘンの地域のシンボルみたいなもん。北欧神話では2羽のワタリガラスが、戦争と死の神のための偵察隊として登場するし、また9世紀からのアイスランドへの入植の歴史を記した物語によれば、最初に入植したひとりはやはりワタリガラスに先導されていた、ということらしい。なんだろう、こう「導くもの」というシンボル。



ニーヴの方のインタビューで読んだけど、グリーンランド人は、自分たちは世界の隅っこに住んでるんだって自覚が生まれた時からものすごくあるんだって。何をするにもまずはデンマークに行かないといけない。そういう辺境の土地。



ナヌークのフロントをひっぱるエルスナー兄弟だけど、私が勝手にお兄ちゃんだと思っているのは、まるっこい方のクリスチャン。いや、兄弟、どっちが年上かなんてメールで聞けばすぐ分かるんだけど、実は質問がたくさん山積していて彼らの回答はいつもまっすぐ返ってこないので、余計なこと話しかける余裕がまったくないんですよ。レスが悪い、ってのともちょっと違う、絶妙なこのさじ加減(笑) 私のメールも要領をえないから、やたらメールがおおくなってしまう。そんな状態なので、どっちが年上?とか余計なことを聞いている暇がない。

「野崎さん、大変ですね」って? いやいや、最高に楽しんでます。こんなの90年代初頭のアイルランド以来かも(笑)いや〜、いいわ。味わい深い。とはいえ、こういうある意味辺境のノリも、きっとあと10年くらいで消滅しちゃうんだろうな…なんて思ったりして。地球はどんどん狭くなりつつある。

そして、この「Ravens」。ナヌークでは、いつも弟(らしき方)が歌うのに、この曲ではお兄ちゃん(だと思われる方)が珍しくリードヴォーカルを取っている最近の私のお気に入り。

今回のこの企画、実はいろいろあって急に決まったもんだから、何もかもがすっちゃかめっちゃか。普段ライブって1年以上かけて作るもんなんですよ。その間、主催者はあれこれ楽しく本読んだりして勉強できるんだけど、そういうワクワクでロマンチックな期間がグリーンランドについては、この1ケ月半ほどで、あっという間に終わってしまうので、ちょっと寂しい。でもちょっと気が早いけど今回の来日がうまくいって、また来日できるといいですよね。そんなことを願いつつ。

今回は特別に無料なんで、とにかくいらしてください! 無料ですが、要事前登録。詳細はこちら



PS
よく見たらナヌークのバイオにクリスチャンがリーダーで弟とバンドを組んだ、って書いてあったね。私ったら、自分でそのバイオ訳しててホームページにあげてるのに忘れてるという… やばすぎる。ま、でもいいんだよ、そんなことは重要ではないから。それより大事なのはみんなと心を1つにして良いライブを作ること! 本当に楽しみ。