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2015年7月31日金曜日

下請けはつらい…

佐々木俊尚さんが今朝こんな記事を紹介してらしたが…


TV,ラジオ制作業界もそうだと思うけど、音楽業界なんて、もっと大変じゃないのか…と思ったよ。どんどん予算が削られ、スタッフを守ってくれるような気丈なクライアントさんはどんどん減って行く。

私も最近は「いいように使われてるよなー、おい」みたいな思いにかられることもしばしば。いや、仕事がもらえるのはありがたいんですよ、ありがたい。

ただ、まぁそれでも私は自分は気持ちの落としどころがあるのが救い。すべての仕事が自分のアーティスト、自分の好きなものをなんとかしたい、というところから発生しているからなんとかなるのだ。これがなければ、正直割りが悪くてやってられない…と思う仕事が多いのだよ。

が、ここで常見陽平さんの書いてたブログを思い出す。ドストエフスキーは、トルストイは割があう、と思って書いてないですよ、と。はい、すみません、確かにそうです(笑)

そうだ。仕事はそういう高尚な気持ちを持って当たらないと…仕事は規模の大小、社会的意味の大小に係らず…。はい。

オリーブの実がなった!
が、周りを見回してみれば、音楽業界の多くの人たちが自分の好きな仕事をやれているわけではない。

先日もウォリス・バードの宣伝活動に、もうMAXにがんばりまくったのだが、「ウォリスいい!」と言って寄って来てくださるライターさんに限って、実際に「ではインタビューしてください」「〜に掲載してください」とか言うと「いいと思うんですけど、自分の自由になる媒体がないんです」と断られる。がっかし…みたいなオチに。

でも、まぁそれが現状だろう。ウォリスのことを好きだ、と言ってくれるだけでもありがたいとしないと…

そんな状況でも誰も文句は言えない…みたいな状況に陥っている。クライアントにとってみれば、下請けは誰でもいいのだから。そんなことは誰でも分かっている。もちろんみんな誰でもできるような仕事をしていては、生き残っていけないのは分かっている。そもそもクライアント仕事で自分のエゴを発揮したところでしょうがない、ってのはある程度大人になれば分かる事だし。クライアント仕事は、自分を発揮するよりも、クライアントさんがハッピーになれるように、とにかくお役にたてるように頑張るのが筋だからだ。

そういう意味ではクライアント仕事は、こちらが手を離した瞬間に終わりだ、とも思う。どんなに理不尽であったとしても、こちらが「や〜めた」と言ってしまったら、それイコール敗北なのかもしれない。先日も某有名音楽ライターの方が「フリーランスはボランティアではない」とキレたツイートをしてらしたが… フリーランスの人間を動かすことについて常識がないクライアントが多すぎるのも事実。それでも、この業界で生き残るためには、必死で頑張らないといけないのか…

特に音楽の仕事は… 多くの人が係りたいと思っている仕事なだけに、そこにみんなが甘えがちなのだ。無料でも係りたい人はいくらでもいる。それが本当のプロフェッショナルを育てる弊害になってもいるのではないか、とも思う。

また別の場所では「この仕事はなめられたら終わりですから」みたいなことを言っていた友人もいて、それも…なんかなぁ、とも思う。そこまで世知辛いのも違うよなぁ、とも思う。でもこの発言をした友達の意図もすごく分かる。すご〜く分かる。

そしてそれはそれとして、クライアント側も、そんな風に周りのフリーの人たちや外注のスタッフに無理を言って自分のプロジェクトを実行しているわけだから、クライアント本人が倒れたら、もう最悪だとしか言わざるを得ない。最近も某有名雑誌が廃刊になったらしいが、そこで食べてたフリーランスの人たちのことを考えると同情を禁じ得ない。いや、余計なお世話だ、とは思うが。

と、まぁ、あれこれ並べてみても、そんなのはすべて正論であっても、だからどうなの、という結論は出ない。いつも思うことだけど正論は人を幸せにしない。いったいこのすさまじい閉塞感の突破口はどこにあるんだろうか、と思う。

あれこれ考えるが、結局のところ解決策があるとすれば、一つ一つの袋小路にはまって小さなところでウダウダ悩むのではなく、自分だけは大きな気持ちを持って、自分の楽しいプロジェクトを世の中に力強く発信していく事でしか、抜け道はないんじゃないか、と思う。あれこれ足下や小さいことが気になるのは、自分の楽しいプロジェクトを持っていない証拠だ。ヒマな証拠だ。

全国のフリーで働く皆さん、自分のプロジェクトを持ちましょう。それは小さくてもいい。お金にならなくてもいい。そしてそれに対して声を大にして発信していきましょう。それ以外、この悪ぅ〜い空気を払拭する方法はないんじゃないかと思う。なんてことを偉そうに書いてみた。他に何かいい対策があるのだとしたら、私も知りたいよ…

辛いのはみんな一緒である。時々「野崎さんは元気でいいですね」とか言われるが、そう言う人こそ本当の私を知らない。ここに書いてることなんて、ホンの一部ですよ。そもそもブログやSNSでネガティブなことを書いて、何かいいことがあるんだろうか。私だって辛いことは山のようにある。でもそれをパブリックの場で言ったところで、それがなんの解決になると言うのだろう。そんなのは意味がないから、ここでは自分のプロジェクトの宣伝をひたすら続けているのだ。

ふふふ、実際私に会ったらここでは絶対に書けない愚痴を死ぬほど聞かせてあげますよぉ〜(笑)

でもって、そういう時こそ元気な音楽だよね。こういうのこそ正論はいらない、理屈はいらない、言葉はいらない。

元気でるわぁ〜  ヴェーセン、また来日しますよ。1年以上先だけどね。



2015年7月30日木曜日

ウチのチラシをデザインしてくれているデザイナーは天才だと思う。

健康診断に行ったら身長が1cmのびて、体重が1kg減っていた。嬉しすぎる。ポールの来日までもうすぐだし、ポールに会うまでに絶対に45kgになるんだ!

そして昨晩嬉しかったのは、久々に会ったプランクトンのK子社長にこのチラシを褒められたこと。イエス!!!
クリックで拡大します
そうなのよ…ウチのチラシはテキストが多いのよ。この量を嫌がらずにレイアウトしてくれるのは、ウチのチラシデザイナー、Tさんだけだと思う。

すみません、文字多くて。きっと私のチラシの、全部の文字を読んでいるのは、この地球上でおそらく私とTさんだけだね…。それでもついついテキストの量は減らせないのよね。言いたい事がいっぱいあるのよ。だから街でコンサートチラシをもらった時、チラシの裏が白いと主催者のやる気が感じられん、と怒る(笑) 


この殺人的なテキストの量をレイアウトするデザイナーの力ってすごいと思う。だって私は何も指示してないんだよ。写真と膨大なテキストの量をTさんに送りつけて「あとはよろしくー」と。それだけ。そしたら今回Tさんは「和洋折衷で行こうかと思います」とか言ってきた。ほぉー

実は、Tさんにイメージを膨らませていただくためにも写真は割と入手した瞬間に送るようにしている。で、Tさんはこのブログとかも本当によく読んでいてくださって、私がウチのアーティストたちをどんなに愛しているか、どんな風に売りたいと思っているのか、すごく理解してくださっているのだ。そして私の仕事を最高にフォローしてくれるのだ。ホントにホントに感謝。

もう10年以上、一緒にやってますからね、コミュニケーションもばっちり。ほんと言葉が通じない仕事相手だと会って2時間話しても言葉が通じないもんだけど…ごちょごちょ(以下自粛)…Tさんとは短いメールでもツーといえばカーって感じ。本当にそれでいかに時間が節約できているか、それが個人オフィスにとってどんなに大事なことか…ほんとに感謝。

過去にはこんなチラシも… ほとんど雑誌のレイアウトに近いかも? すごいテキストの量…解散しちゃったKAN。懐かしいなー。



そしてこのテキストの量もすごすぎる…この天才的で見やすいレイアウト力がなければ、ほとんど読んでもらえない。



そしてこの上品で上質なデザインを見よ!! 縦書きの朱で入れたケルト×和の文字も素敵。藤岡直樹さんの写真も素晴らしかった。しかもクラシックのホールだったから、A4の紙も上質なチラシにしたんだった。かっこいいなーーーー



そして縦書きと横書きの妙といえば、これ。これなんかウルトラCでしょ! すごすぎるよね!!


で、はい、もう一度ハラールのチラシ。良く観ると赤いところにも素敵な和とも北欧とも言えそうな模様が入っているのよ… 芸が細かい!! なんて素敵!!


ハラール、もうすぐ来日するよ。この元気なフィドルが帰ってくる!


来日公演の詳細はこちらです〜 

そしてその前にこれもあった。この斜めのレイアウト、かっこよすぎる!! そして…やっぱりテキスト量が尋常じゃないね…すみません。



ポール・ブレイディのコンサートの情報はここですよー。


ポール…すごい! 早くポールの声が聞きたい!

2015年7月29日水曜日

映画「ベル&セバスチャン」観ました!

「ベル&セバスチャン」という映画、試写で見せていただきました。ありがとうございます。公式HPはここ。FBページはここ

日本では「名犬ジョリィ」という名前でアニメ化されていたそう…そういや、あったな、こういうの。そしてあのグラスゴーの有名ロックバンドの名前の由来でもあるそうな…知らなかった! 単なる偶然に名前が同じなのかと思ってた。

ま、何はともあれフランスでは児童文学の金字塔みたいな物語。TVドラマで人気を博した往年の名作の映画化だから、今回の映画の制作陣のプレッシャーたるや大変なものだったらしいのだけど… いいや、なんのなんの素晴らしいです、この作品。ちなみに本国では同じ制作/俳優陣ですでに第2弾が作られているらしい。

それにしても子供、みなしご、犬、友情、戦争、ナチ、逃げるユダヤ人家族…とお涙ちょうだいネタが満載なのに、アメリカ映画みたいに押しつけがましくないところがいい。そして、それなのにものすごく感動的なのがいい。いいわ、これ。子供に見せたい、と思った。

お母さんをなくした子供。お母さんは山の向こうの「アメリカ」に住んでいるとおじいちゃんに聞かせられる。本当のことを言えないおじいちゃん。本当はお母さんは出産のときに亡くなっているのだ。本当のことを知ってほしくないから男の子を学校にも行かせられない。このおじいちゃん役の俳優さんも抜群だが、子役の男の子が、本当に素晴らしい。

でもって、俳優陣はホントに全然でしゃばらない。そして出しゃばっているものがあるとしたら、もう圧倒的に素晴らしい景色だ。…と思ったら監督さんはなんと「冒険家」で北極圏で犬ぞりとかもやってる人なんだと!! で、クライマックスは吹雪の雪山を越えていくんだけど、氷河とかクレパスとか出てくると…私の人生、どこまでもグリーンランドが追っかけてくる感じだな…!!まったく!(笑)あぁ、早く私も犬ぞりに載りたい!…とか思っちゃうわけですよ。それはともかくとして、そうやって男の子が成長していく姿をこの映画は見せてくれるわけですよ。そう、山の向こうはアメリカじゃなかった。お母さんは死んだのだ、と。

しかし監督はそうやって探検家だったから、すでにアルプスの山とか知り尽くしていて、この映画を制作するにあたって新たなロケハンはまったく必要なかったのだそう。すごいね。この作品前に撮っているのはドキュメンタリーばかりだったのだそうだ。だから過剰な演出がないのね。それが良かった。

そして音楽もいい。今をときめくZAZの音楽。「Belle」


予告編(フランス語/英語字幕)


公開は9月だそうですが、是非チェックしてみてください。

2015年7月27日月曜日

ウォリス・バード、アコースティック・ギターマガジンさんに掲載! 本日発売よ〜


ウォリス・バード、ご紹介いただきました〜 カラー3ページだよ!

アコースティック・ギター・マガジンさん。本日発売。インタビューは五十嵐正さんです。

血のりのギター、2台とも紹介されてまーす(爆)ウォリス、すごい勢いで演奏するから、血がとびちってギターのボディの内部が血だらけになってんだよね…







2015年7月26日日曜日

主催者はブレてはいけない


アイルランドのプロモーターのエイケン・プロモーションズ… ここ2日はダブリンでエド・シーランの84,000人の公演を成功させたようで…


すごいよね。人口400万のアイルランドで84,000人だよ。エド・シーラン人気者だけど、他の国での最大規模公演って何人なのかしら… しかも2日間! 驚異的。


それはともかくアイルランドのメディアは今この話題で一色。


空からも!


これを実現させたエイケン・プロモーションズのピーター・エイケン、すごいよなぁ。彼はポール・ブレイディの2001年のヴィッカー・ストリートでの1ケ月におよぶすごい連続コンサートを成功させた人でもある。ポールのこの伝説の連続ライヴは今回CDとなって発表された。「ザ・ヴィッカー・ストリート・セッションズ Vol.1」だ。

このアルバムに当時のポールのプロモーターだったポール・チャールズがライナーを寄せていて、そこでこのかつて例のないものすごい連続コンサートについてあれこれ裏話を明かしているのだ。で、実はこの企画ももピーター・エイケン(この時は会場側のスタッフだった)と相談する中で、最初1週間分だけ発表して、そのあとでもう1週間追加し、場合によってはさらに追加で発表していこう、という作戦も水面下で検討されていたらしいのだ。確かにチケットの売れを心配するのであれば、それは賢明な作戦でもある。

でも、彼らはそれじゃダメだと結論づけた。ポールが1ケ月、連続でコンサートをやる。これはすごい企画だ。一度に、いっぺんに1ケ月分売り出さないと企画の「声明」としてのインパクトが弱い、と判断したのだ。

すごいよね! いや、ホントさすがだと思う。主催者は…そうやって自分の企画に自信を持たないと駄目だと思う。そしてひるんじゃダメだと思う。自信のある企画だったら、絶対に自信を持ってやるべきだ、と。これはこういう企画なんだよ、と声明を声高らかに打ち出さないとだめなんだ、と。すごいね。それにしても、ピーター・エイケンやるよなぁ。デキる奴はすごいわー、ホントー

会田誠さんの件… たった1件のクレームで…ちょっとショックである。そしてオレも小さいながらこのMusic Plant村を主宰して行く者として頑張らねばならぬと思う。いろいろ嫌なことはいくらでもある。でも企画を発表する者はちゃんと覚悟してのぞまないといけないんだ、と。もちろんピーター・エイケンや、会田さんみたいにすごい人たちと自分を並べるなんて、まったくおこがましいのだが…。でも私も、小さいけど自分の作る企画に対しては同じくらいの覚悟を持ってやっているのだよ、と。そりゃーウチの企画なんぞ荒川土手のイヌフグリみたいなもんだろ。でもイヌフグリでも、自信をもって発表しなくちゃ、ということなんだ。主催者とはそういうもんだ。

「大変ですね」と同情してくれる人も多いけど…。いやいや、主催者である私たちはそうやって自分の好きなことを実現しているんだから、それで幸せなんだよ。この大変さも、喜びも、主催者以外の誰のものでもないんだよ。でもってやるからには自分のアーティストを守る、自分のスタッフを守る、応援してくれるお客さんを守る…それは死守しないとな、と思う。何はともあれ早くポールに会いたい。



「The Vicar Street Sessions Vol.1 」ポールとヴァン・モリソンのデュエットなど、泣きどころ盛りだくさん。お買い物はこちらへ

ポール・ブレイディは、もうすぐ来日します。詳細はここ

赤羽アイルランド講座 今週からスタート


今日から再び赤羽文化センターで、アイルランド講座がはじまりました。これから5週間、これが続きます。

今回は「食」がテーマなのですが、第1回目は、アイルランドの基本を知っていただこうということで、音楽ビデオや映画のトレイラーをかけながらアイルランドを紹介させていただきました。

毎度毎度のケネディのスピーチとドーナル・ラニーの「April 3rd」でスタート。

アイルランドにおいては「移民」「島国」ということをまずは感じていただきたい、ということで。

今回も前回好評だった紅茶などをお出ししました。吉祥寺のヒーローさんで買ってきたジャムなど。ヒーローさんは通販もやってて、こちらの楽天ショップでも購入できます。


文化センターのスタッフが、こんなに可愛いカップも用意してくださいました。

しかし普段プロモーションの仕事をしていると、こういう機会ってちょっと新鮮。

あまりにもアイルランドや外国の文化が自分の人生に密着してきちゃったから、知らない人に説明するということはすごく自分でも勉強になる。

皆さん、私のつたない講義を熱心に聞いてくださって感謝。どうぞよろしくお願いいたします。







映画はあいかわらずこの2本を紹介。比較的DVDが手にはいりやすい2本。




あとはアルタンとか…人魚伝説がアイルランドにもあるよ、と。


リバーダンスも紹介しなくっちゃね!


アイリッシュウィスキーの障り…ということで、このCMも紹介しました。


フルックもかけたよ!


次回はゲスト講師によるアイルランドの紅茶、ウイスキー、ビールなど飲み物あれこれの講座になります。Irish Network Japanの冨山さんと、アイルランド協会の山本さんの「飲んべえ対談」になる予定?! またここに報告しますね!

2015年7月25日土曜日

フラハティ「極北のナヌーク」/カナダのイヌイットの女性アーティスト


最近なぜか惹かれる北極圏。なんでかなーと思うんだけど、それはやっぱり東京みたいな場所に住んでいる病める人間の「シンプルに生きたい」という欲求と、地震とか異常気象とか「この地球はどうなっちゃうんだろ」みたいな心配と… そのすべてを受け止めてくれるからなんだろう。

あと野性の肉とか、大きな犬たちとか。私を惹きつける素敵なものが北極にはたくさんある。

有名なアイルランドを撮影した「アラン」を撮ったフラハティが、こんなのも撮ったんだよね。「極北のナヌーク」やはりアイルランド好きは北極に行き着くのか?(笑)



すごいですよ。80分ほどのドキュメンタリー映画。アラスカに暮らすシロクマさん(ナヌークさん)とその家族の生活を撮ったもの。1920年代のもんですよ。すごいよね。

こっちはがらりと変わって現代的な… カナダのアーティスト。すごいアートフィルムでしょ、これ。ビョークに近いものがある。タニヤ・タガクという人。



彼女の実際のパフォーマンスはこっち。いわゆる「スロートシンギング」なんだけど、普通これってイヌイットの文化では二人の女の人によって歌われるんだって。それを彼女は1人でやっちゃう。すごいね。



最近こういう原始的なもんにすごく惹かれるんだよね。こちらは私が彼女を見つけるきっかけになったガーディアン紙の記事。 ビョークがとっても「飼いならされたもの」に見える…とな(笑)確かにこれは野性の音楽だ。人間の根本的な音楽だ。すごくセクシーでもある。なんかこういうのにハマりだすと… キリがないなぁ! ちなみにこの素敵な彼女はクロノス・カルテットとかとも一緒にやったことがあるらしい。っていうか、さすがクロノス。ヴェーセンもそうだけど、私の興味が行く先々にいつもいる!!?

2015年7月24日金曜日

「国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由」を読みました

いやー こういう本を待ってました! なんかフィンランド、フィンランド、っていってフィンランドがこの地球上の天国みたいな本しか出回ってないから、イヤだったんだよね。

心配のない老後、おしゃれで機能的な家具、女性の社会参画とか、充実した教育とか… そりゃそういうことは人間社会にとって、すごく大事だけど、フィンランドを知れば知るほどわかる。そんな事だけじゃ人間は絶対に幸せになれないんだ、と。

だからフィンランドに関する、こういう冷静な分析が読みたかった。

しかも著者は今をときめく社会学者の古市憲寿先生ですよ! もう!(笑)とても嬉しい。古市さん、ありがとうございます。古市さんはノルウェーにも留学経験があるから北欧とはもともと縁があるのだ。今度ウチのコンサートにもぜひ来てもらいたい!…それはさておき。

古市さんとトゥーッカ・トイボネンさんが、いろんなフィンランド人の論文を紹介しながらフィンランド社会の内側を紹介していく。

そうなんだよね。この世を見渡してみれば、この地球上に手放しで幸せな人など誰もいないことが分かる。フィンランドだって、最初からすべてを持っていたわけじゃない。っていうか、そもそも資源も何もない持たざる国だ。大国の都合に翻弄されてきた歴史。そんな中で、みんなが努力して考えて必死で頑張ったから、今のこの国を作り上げたのだ。だから素晴らしいのだ。最初から存在する単純な楽園なんて、この世にはどこにもない。

こういう視点って、すごく大事だと思う。特に音楽の仕事していれば。音楽って、そりゃあ聞いてて楽しい気持ちを分かち合うものかもしれないけど、私は持論があって、人は寂しいから音楽を聞くんだと思うんだ。少なくとも本当に音楽が好きな人はそうだと、私は思う。いや、あくまで持論ですよ。ほら、たとえば友達と話をしている時、美味しいものを食べている時、本当に嬉しい時、音楽なんか聞こえてこないでしょ… ほんとに寂しい時、落込んだ時、そこまでマイナスな気持ちにならなくても日々のウサを脱却したい時、そういう時に人は音楽を聴くのだと思うし、私がプロモーションしている音楽はそういう時に聞いてもらいたいんだ。で、聴く人に元気になってほしいのだ。音楽ってそういう存在だと思うから。というか、私がそう信じたいから。

だからフィンランドの事をこんな風に理解しないと、私がプロモーションしている音楽は理解されないと思う。確かに、フィンランドは、ある程度くだらない社会問題については解決を見たように見える。だからこそ、それでも発生する彼の地の人の悩みとか、それでも起こる日々の大変さとか、そしてもちろんさらなる日々の葛藤と努力とか…そういうところを理解しないと、少なくとも私がプロモーションしている音楽の本当の部分は伝えきれないと思うんだよね。ちょっと日本の社会にくたびれた「かもめ食堂」みたいな気持ちになりたいだけの人に、ウチの音楽は響かないと思うんだよ。

フィンランド人はすごい国を作ったから偉いんじゃない。それはあくまで結果でしかない。フィンランド人は努力家で勤勉だ。すごい悩んで努力して、試行錯誤しながら、自分でいろんなことの責任を取りつつ、それでも前向きに進んできたから偉いのだ。そして結果はそうやって努力していれば、個人であっても国家であっても自然についてくるものだ。だから上手く行っているのだ。外野の私たちがフィンランドから何か学ぼうとするときに、素敵な結果ばかりをみていては本当に大事なものを見失う。私がボヤボヤしている間にフィンランド人は、もうすでにさらに高次元の悩みや問題に向ってすでに戦い始めている。

あとは、まぁ、何度もここでも書いているけど日本は人口が多いのがそもそもダメなんだと思うけどね。北欧やヨーロッパの決断力も機動力のある国を見ているとホントにそう思う。

そして、これからも、ますますフィンランドは進化していくだろう。彼らから学ぶべきところは、ホントに多い。超お薦め!



PS
とか書いていたら、デンマーク大使館さんからこんなFB投稿が。ものすごく大事なことを言っていると思う。やっぱり北欧から学ぶことは本当に多い。

PPS
かもめ食堂の舞台になったカフェスオミ。オーナーが変わったと思ったら店員は全員日本人なんだそうな…ちょっと笑える。フィンツアーさんのツイートより

2015年7月23日木曜日

「アイロハシュー太陽の息子」シアターX(カイ)にて上演

 昨日は昼間はフィンランド大使館の文化担当さんの退任ご挨拶パーティがあり…

北欧らしいこんな素敵なケーキも。ミッコさん、本当にお世話になりました。そしてまたどうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

…っていうか食べ過ぎた…。ご馳走様でした。このケーキの味とともに、ミッコさんにお世話になったことは、ずっと忘れません。本当にありがとうございました。
 と、感動的にバイバイしたのもつかの間。夜にまたミッコとフィンランド大使館の皆さんに再び会っちゃった。というのも、ノルウェー大使館でノルウェー国立サーミ劇場の皆さんのレセプションパーティがあったからです(笑)

左のサーミの衣装のコミカルなお父さんがホントにいい感じ。
真ん中のプロデューサーの方は日本語も担当。早稲田に留学してたんだって。左の方は演出家。ちょっとアルト・ヤルヴェラを思わせる。フィンランド人だそうです。

ヨイクをたっぷり聞かせていただきました。

ヨイクについてはハーモニーフィールズさんのこちらのページが詳しいです。自然界と交流するための魔法の音楽。ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、ロシアにまたがる北極圏の文化。私も先日のRiddu Riddu Festivalで体験してきたばかりです。それが、子の週末、東京で体験できます。

このステージはこちらに詳しい事が掲載されているのですが、サーミの文化の復興と広がりに多大な貢献をし、また日本にも何度か来日したこともあるというニルス・アスラク・ヴァルケアベー(サーミ語ではアイロハシュ)の人生を紹介したもの。

今回はノルウェーとフィンランドの俳優/制作陣でお届けするそうです。

自然と交流するヨイク、まさにこのギラギラする夏にぴったり!


ってなわけで、せっかくレセプションに呼んでいただいたのだから、しっかり宣伝しなくっちゃ(笑) 

最近イヌイット、サーミ…いろんな民族の芸術が、妙に心に響きます。

どうぞ皆さんもお出かけください! 詳細はこちら。私もなんとかかけつけたいと思っています。

ちらしの拡大版はこちらでご覧いただけます。












 ミッコさんのこちらの本もチェキラ!ですよ。

2015年7月22日水曜日

建長寺:その場で費やされた大量の祈りのパワー

 オレは権威にはなびかない!!というのを身上としているのであるが、それでも建長寺さんみたいな修学旅行とかでも行きそうな有名なお寺で演奏できる、という事を人に話すと、「それはすごい!」っていろんな人に言ってもらえる(笑)

建長寺さんに今回チラシを作るにあたって写真をいくつか借りたので、その紹介をせっかくだからしておきたいと思います。最初の4枚の写真のコピーライトはすべて建長寺さん。

1枚目のこれ、いいよね。朝の建長寺かな… 
それにしてもお寺、しかも建長寺みたいな権威のあるところは、みんなビビるかもしれないけど、実はホントはすごくフレンドリーな場所だと思う。ご住職様はとっても親切だし、今もハラールのビザ関係の書類などを揃えているのだが、建長寺さんはいつも誰よりも事務作業が早い。そして下手なライブハウスよりも、よっぽど仕事がしやすい。プロ中のプロ! 固いところだと思ったら大間違いですよ。

ま、でもよく考えたら、そうだよな、お寺だからイベントについては慣れてるんだよな…きっと。

そんな素敵な建長寺さんだが、建長寺さんみたいな場所でコンサートやることにおいて、1つだけビビる要素があるとしたら、それは、やっぱりその場で費やされた大量の祈りのパワーだ。

あの場で、いったいどんな人が、だれだけの人数が、どれだけの思いで祈ったのだろうか。それを思うと、やはり心が引き締まる思いだ。いろんな人のありとあらゆる願い、祈り…思い。お寺コンサートはそんなわけで、とてもスペシャルなものがある。

この建物(法堂)で行われます。














ここからは私の写真。こんな風に天井が高いから音が響く。床は石なので、これまた音響効果抜群。

写真はテイモ・アラコティラ先生。














 アルト・ヤルヴェラ先生! 
そしてヴェーセン。弦の音は特に…夢弦の響き…

天井の竜も良い感じです。

こんな場所でこの音楽聞いたら、泣いちゃうわな…

このプロモ映像,字幕作業自分でやりましたー 大変だったので(笑)一度皆さん,ご覧くださいませ〜 野崎の苦労がしのばれる(…ってそんなの関係ないわな…)


ハラール・ハウゴー建長寺公演詳細はこちら。10/31(土)です。17時開演。入場料6,000円お申し込みフォームはここです。

2015年7月21日火曜日

ポール・ブレイディ「THE VICAR STREET SESSIONS VOL1」入荷しました!!



はい、入荷しました。2015年来日記念盤! 一般CDショップでの販売は9月までないんですが、ウチの通販はとっとと販売開始しちゃいます。

ヴァン・モリソン、ボニー・レイット、シネイド・オコナー他、豪華ゲストをフィーチャーした伝説のライブがついにCD化。主催者であるポール・チャールズおよびポール・ブレイディ本人によるライナーノーツを五十嵐正さんが、とっても丁寧に翻訳くださっています。

それにしても圧巻はやはりヴァン・モリソンとのIrish Heart Beat、そしてボニー・レイットも最高に素晴らしいです!! 最後のメアリー・ブラックらが参加するディランのカバーも必聴。

1. I Want You To Want Me
2. Baloney Again (feat. Mark Knopfler)
3. The Soul Commotion
4. Nobody Knows (feat. Gavin Friday and Maurice Seltzer)
5. Believe In Me
6. In This Heart (feat. Sinead O’Connor)
7. Irish Heartbeat (feat. Van Morrison)
8. Not The Only One (feat. Bonnie Raitt)
9. Don’t Go Far (feat. Curtis Stigers)
10. The Long Goodbye (feat. Ronan Keating)
11. Last Seen October 9th (feat. Eleanor McEvoy)
12. The World Is What You Make It (feat. Bonnie Raitt)
13. Forever Young (feat. Mary Black, Moire Brennan, Maura O'Connell)

アイルランド盤/主催者およびポール・ブレイディによるライナーを五十嵐正氏による翻訳/帯付き
¥2,500(税抜)2015年来日まで消費税、送料サービス中!

通販はこちらへどうぞ〜


こういうパッケージング作業は無心になれるから結構好きです。昔は1人で3,000枚パッケージとかよくやったよなぁ!

2015年7月20日月曜日

NOTHING BUT THE SAME OLD STORY

ポールの手書きのセットリストでは、時々NBTSOSと書かれてる(笑)名曲。

コットンクラブさんに公演のPVを作るにあたってポールの代表曲を選んでください、2曲でもいいですと言われ、うーん、どうしたもんかと悩んだ。トラッドのレパートリーもいいんだけど、やっぱり代表曲なとなると自作曲だよな、と。でも何を選ぼうか…

で、Twitterでつぶやいたら、この曲はどうですか?と言ってきた来た人が何人かいて、なるほど、と思った。そうだね、この曲はすごい。そして毎回ポールがこの曲を「演じる」たびに曲の印象ががらりと変わってしまう。今回の来日中、この曲は合計5回(東京4回、京都1回?)、毎回それぞれまったく違うNothing but the same old storyが聞けるんじゃないか、と期待してしまう。


I was just about nineteen
When I landed on their shore
With my eyes big as headlights
Like the thousands and thousands who came before
I was going to be something . . .
Smiled at the man scrutinising my face
As I stepped down off the gangway

Came down to their city
Where I worked for many's the year
Built a hundred houses
Must've pulled half a million pints of beer
Living under suspicion
Putting up with the hatred and fear in their eyes
You can see that you're nothing but a murderer
In their eyes, we're nothing but a bunch of murderers

Hey, Johnny, can't wait till Saturday night!
Got a thirst that's raging . . .
Know a place where we can put that right
Wash away the confusion
Hose down this fire inside
But look out!
'Cause I'll tear you into pieces if you cross me.

I'm sick of watching them break up
Every time some bird brain puts us down
Making jokes on the radio . . .
Guess it helps them all drown out the sound
Of the crumbling foundations
Any fool can see the writing on the wall
But they just don't believe that its happening.

There's a crowd says I'm alright
Say they like my turn of phrase
Take me round to their parties
Like some dressed up monkey in a cage.
And I play my accordion
Oh! but when the wine seeps through the facade
It's nothing but the same old story
Nothing but the same old story

Got a brother in Boston
Says he'll send me on the fare
Just wrote me a letter
Making out that he's cleaning up out there
Two cars in the driveway.
Summer house way down on the Cape
And I know he'd fix me up in the morning

I've been thinking about it
But it seems so far to go
People say in the winter
you'd get lost underneath the snow
And there's this girl from my home place
We've been planning to move back and give it a try
So I never got around to going
That's why I never got around to going

Written by Paul Brady

そしてもう1曲はメロウで感動的なバラードとしてのLong Goodbyeを選んだ。Long GoodbyeとNobody Knowsは超名曲だと思う。

で、こんなPVが出来ました。コットンクラブさん、ありがとう!!! かっこいいです〜

ポール・ブレイディ、コットンクラブでの公演は10月10日(土)、11日(日)です。ちなみに担当の方にさっくり集客状況を教えてもらったところ、やはり土曜日が早く埋まってしまいそうな感じでした。なので土曜日希望の方はお早めに。コットンクラブさんに行ったことがない、という人のためにビギナーズ・ガイドを作ってみました。東京の小屋って場所によって、それぞれなので、初めて行く時は結構勇気がいりますよね。でも大丈夫。コットンクラブはこういうところです。  週末の公演で1回目なんか5時開演だから、すごく行きやすいと思う。また東京駅の真裏だから、遠くから来られる方にもほんとに便利です。是非是非皆さん、かけつけてください!

そして京都公演はウチの制作で磔磔でやります。こちらもどうぞよろしく。

すべての情報はこちらへどうぞ。



ドーナル・ラニーとのこれ、超かっこいいっす。

2015年7月19日日曜日

自然は凄いけど、人間の方が面白い! 角幡唯介の2冊を読みました

これが角幡本にも出てくる有名なシプトンの雪男の足跡。

今回、出張の友として角幡唯介の「空白の5マイル」「雪男は向こうからやって来た」の2冊をiPadのKindleに入れて出掛けた。

結論から言うと、旅の間に読む本としては最高の2冊だった。読んでてストレスがない、出張中忙しくてしばらく間があいて前後のストーリーを忘れていても、充分楽しめる、など旅の友としては最適だ。でも読むなら一晩集中して一気読みが楽しくていいだろうな、と思う。2度3度読みたい。そういう内容の本だ。

とにかく文章力が半端なくすごい角幡唯介の2冊。すっかりファンになっちゃったよ、角幡さん!

そして今回の出張の結論と、この本たちの結論がシンクロして、私にとってはとても感慨深いものとなった。その結論とは…「自然は凄いけど、結局のところ人間の方が俄然面白い」というものだった。詳しくは、また時期が来たら書くけど、確かに白夜とか、迫力ある山とか海とか岩とかフィヨルドとか、それこそフェスティバルとか音楽とか……いろいろあるんだけど、やっぱり一番面白いのは人間模様であり、それぞれの考え方や悩みや生き方である、ということなのだ。そして人間はどこで生きていようが、たいして変わりはない。

「空白の5マイル」で、筆者はチベットの謎の滝を探して秘境に乗り込み、必死で冒険してマジで餓死とかしかかるなど大変な目に遭う。チベットってのがいい。秘境中の秘境…そして中国政府に見つからないように不法入国そのままに、とにかくハラハラ… テンポもよくグイグイあっという間に読ませる。「雪男」の方は、冒険的には大きくドラマチックな展開はないものの、雪男に魅せられた多くの探検家の話が盛りこまれ、ものすごく深くていい本だった。角幡さんの3冊の中では私は「雪男」の本が一番好きだ。

「雪男」が書かれたのは角幡さんが朝日新聞を辞めた直後、ライターになろうとした最初の時だ。伝えようとする気持ちが丁寧で、この本ほど心に響くものには、なかなか出会えない。書かれたのは「雪男」が先でも、世の中に出た順番は「空白の5マイル」の方が先だった。「雪男」は「空白の5マイル」が賞を取ったので日の目を見た、というわけだ。

でも「空白の5マイル」が先に出たのも、なんとなく分かる。というのも「5マイル」の方が内容がショッキングだし著者本人が冒険してるから、説得力がある。出版社としては、そっちの方が魅力的だったのだろう。

とはいえ「雪男」のこの深みはどうだ。こっちの方こそホントに素晴らしいし角幡ワールドの真骨頂だろう、と思った。探検がない分(最後に多少やっているけど)、筆者は人間観察に集中しているし、それを丁寧に描くことにも成功している。実際わたしもこの本を読み終わって思ったよ。雪男は絶対にいる、って。そして自分は雪男に会えるのだろうか、って。そう、この本のタイトル通り、雪男は探しに行って会えるものではない。向こうからやってくるものなのだ。

とにかくどちらもパワフルな本。どちらもお薦め。1冊だけ読むなら「雪男」。でも以前読んだ「アグルーカ」も最高に素晴らしかったし、順番を無理矢理つけるとしたら「雪男」「アグルーカ」「空白の5マイル」かな…。とにかく角幡さん、ものすごいよ。すっかりファンになった。

それにしてもこの本の結論づける(というと断定的になっちゃうけど、角幡さんも相当迷っているし)こととリンクしてくるのは、結局グリーンランドの本を私もたくさん読んだのだが、結局得られる知識といったらたかが知れてる、という事なのだ。近い将来、彼の地に行くことが出来たとしても、おそらく知れることはほんのわずかだろう。それよりも面白いのはやはりそこで生きている人間たちの悩みや苦悩や試行錯誤や、それでも前向きに生きようとする、そんな話をシェアする事だ。昨日書いたイシグロの白熱教室じゃないけど、心情をシェアすること。何をやるにしても、それが大事だ、ということ。グリーンランドとか、チベットの秘境とか、そういう地域では自然は恐ろしくパワフルで、驚異的で、圧倒的だが、自然は自然。面白いのは人間の方だ。そして、それがどこに住んでいても変わらない人間の共感を生むのだ。特にグリーンランドなんて、それこそ1万年前の生活習慣やダンスが、いまだにそこに残っていて… そんなものが時空を超えて私を引きつけるのだ。そして感じたいんだ、人間は同じなんだよ、と。みんな同じように悩んできたんだよ、と。

ロリーナ・マッケニットが名作「パラレル・ドリームス」のライナーで言っていた。人間が生きて行くのに必要なのは、いつの時代、どんな場所でも「愛、自由、そして一体感」なのだと。「一体感」「共感」みたいなものをもとめて私たちは音楽を聞き、本を読む。



PS
しかし角幡さん、ホントに文章のパワーがすごいよな。やっぱり新聞社で何年もやってたからかなー。構成力もすごい。本人はニュース配信のぺったりした文章ばかりやってたから…みたいなことどこかで書いていたけど、その経験や反動がなかったら、こんな風に書けてないと思う。本当にすごいね。いや、ホント自然はすごいけど、おもしろいのは人間の方ですよ、絶対に。

PPS
という中で、家族もいるんだし危険は冒険はとっととやめてルポルタージュみたいなものに集中した作品を出してみればいいのに…とファンは勝手に思ったりもするが、現在角幡さんはグリーンランドを拠点に北極点を横断中(笑) どうかお気をつけて!

2015年7月18日土曜日

カズオ・イシグロ「文学白熱教室」を見ました

英国タイムズ紙の「1945年以降最も重要な英文学者50人」にも選ばれているベストセラー作家、カズオ・イシグロ。1989年「日の名残り」でブッカー賞を受賞。今年3月、10年ぶりの長編「忘れられた巨人」を発表しました。

で、ETVで放送になった「文学白熱教室」、すっごく内容が良かったので、ここに自分用のメモも兼ねて番組の内容を書き記しておきます。(なお番組を録画し、それを見ながら書き起していますが、私の理解に間違いがあったらすみません)


「なぜ読者は小説を読みたいと思うのか」「なぜ我々は小説を書くことをするのか」

文明にとって文学は大切な物だと認識されているが、私たちが暮らしている現代にとって本当に重要なものなのか? それを問いたいと思う。エッセイやノンフィクションでもないのに、小説はいったい何かの役にたつのだろうか?

自分が小説家になった経緯、その動機を話そう。私は見た目は日本人だが、振る舞いは欧米人だし、英語で話をしている。今60歳だが、5歳までは九州の長崎に住んでいた。当時は日本語しか話さなかったし、住んでいた家も畳がある典型的な日本家屋だった。5歳になって両親の仕事でイギリスに移り住んだ。そして15歳になるまで自分はいつか日本に帰るものだ、という前提で暮らしていた。それが両親の予定だったからだ。

それもあって自分が日本と呼ぶところのイメージがいつも自分の頭の中に存在していた。それが自分の幼い頃の記憶だ。そこにはイギリスで読んだ日本の話や、両親に聞かされた話などが混ざっていると思う。そして実際の日本の現実とは、まるでかけ離れていたと思う。

私が小説家になろうと思った動機は、22、23歳ごろ、自分がそんな風にずっと頭で描いていた日本を本に書きしるしたいと思ったからだ。現実の日本をリサーチする気はさらさらなかった。私はこの秘密裡に残してた個人的でかけがえのない日本を、紙に書き記しておきたかった。小説に書くことが、私のこのイメージの中の日本を安全に保存する方法だったから。

「遠い山なみの光」戦後イギリスで生きる日本の女性が過去を振り返り必死に生きる。長崎が舞台。

なぜ小説なのか? フィクションの世界とは? 小説ならば自分の世界をそこに保存できる。小説ならば自分の情緒的日本というのを止めることが出来る。そこが私の出発点だった。自分の心や頭の中にある内なる世界を、人が訪れることが出来るような具体的な世界にして外に出すという方法だ。
それで私は自分が安心できると考えていた。

だから私の最初の2冊は日本が舞台だけど、それは自伝的な小説ではなかった。むしろ私より両親が体験したことに近かったかもしれない。私は最初から自伝的な小説を書くことには興味がなかった。むしろ自分が覚えている世界を具体化することに重点を置いた。空の色や路面電車の音とか… 色や感触や食べ物など……体験したことよりも感覚的なことを保存したかった。

質問「もし20代の自分に会えるとしたら、どんなことを言いますか?」

いろんなことを言いたいねぇ… でも不思議なことに今の自分は20代の自分を称賛するだろうな。今だから分かることだが、今の書き方と当時は全然違う書き方をしている。今の自分は作風をすごく意識するようになったし…今の方がテクニカル的にはすぐれていると思うが、若い頃の、若い作家としての自分を、どこかうらやましいと思う事がある。当時の自分にはわき上がるように膨らむパワーがあった。それは年々失ってしまったものだ。

この2冊のあと、私の初期の目的は充たされた。それと同時に気付いた事があった。私の小説は欧米で良く読まれているせいか、読者は“なるほど、これは日本の事なんだ”という認識で私の作品を読むことが多かった。1980年代は日本の文化はまだそれほど広く知られていなかった。だから人々は日本は異国情緒あふれる不思議な国だと認識していた。

私はこれは問題だと思い始めた。うぬぼれた言い方をすると「これは自分の独特なスタイルだ」と自分で信じていた才能を、読者はすべて日本のことだ、と受け止めてしまった、ということなのだ。私は(日本だけではなく)人間と人間性の普遍性についてつづる作家として認識されたい、という欲求にかられた。

外国特派員とかジャーナリストとか、そういう観点で日本のことだけ書いているんじゃないのだ、と。そして舞台が日本ではない小説を書こうと決意した。当時は読者は私が日本のことをよく知っているからこそ、特別私にその役割を授けたんじゃないだろうか…と思っていた。そして私がその役割を放棄したら興味をもってもらえなくなるかも、という怖れもあった。でも私の決意は固かった。

そうして、書いたことは前作の「浮き世の画家」とほぼ変わらないのに、「日の名残り」は世界に広く受け止められ、私が世界的に知られるきっかけとなり映画も制作された。

2015年7月17日金曜日

ハラール、旧古河庭園公演 楽しみです!


平日の昼間公演って、ぜひウチはシリーズ化させたいと思っているのだけど、なかなか実現にはいたらず…

でも今回もハラールの公演では、あの古河庭園の洋館がまたブッキング出来た! 木曜日の昼間公演です。実は企画書の段階では、あれこれハードルがあって「これ、きっと無理だろ」と思ってたのだ。でも出してみるもんだね…企画書! なんとか通った、素晴らしい。良い音楽企画には、音楽の神様が味方してくれるのかも? そもそも公演があるこの週はバラがちょうどピークで一番旧古河庭園が混む時期なんです。

というわけで、無事に普段は滅多に借りることができない古河庭園の洋館を借りることが出来たわけです。なおご来場くださった方には簡単なデンマークのお土産も考えていますので、楽しみにしていてください。

コンサートが行われる洋館は見学するんだって大変手間がかかる場所なんですよ。往復ハガキで事前に申し込んだりしないといけないし、入場料も800円かかる。それがコンサートも聴けて5500円ですから! これはお得!(と自分で言ってしまおう)

早くあの底抜けに明るい音楽が聞きたい。



下記はインタビューもあるプロモ映像。3:57くらいのところでおそらく親しいんだろうインタビュアーさんに「歳をとって周りに感謝できるようになりましたか?」と突っ込まれて、笑うハラールが可愛い。ちぇきら!



旧古河庭園は京浜東北線の上中里(東京駅から13分/上野からは6分)、もしくは南北線西ヶ原(永田町から15分)から徒歩で7分です。すでに北区の会員の方で結構売れているようなので、発売日には速攻でお求めください。本日24時にここからリンクが開きます

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2015年7月16日木曜日

無印良品BGM+8と12 ノルディック・トゥリー/ヘレーネ・ブルム発売!

じゃーん、本日サンプルも届いたし、無印良品のネットストアではすでに発売になっているので、情報公開します。

BGM+という海外の素晴らしい音源を紹介する新シリーズ、第2回のラインアップが決定しまして、今回はノルデイック・トウリーとヘレーネ・ブルムが選ばれました。どちらも北欧の伝統音楽を代表するスーパー名盤です。

CDはこちらで購入できます。








音の感じは、このブログをご覧いただいてる皆さんにはもうおなじみだと思うけど、一応紹介しておきます。

ノルディック・トゥリー。フィンランド人二人+スウェーデン人のトリオ。これはね、もう天国の音楽ですよ、天国の… また聞きたいなぁ! 本当に素晴らしいと思う。一流の音楽。


ヘレーネの歌はこんな感じ。夫のハラールはもうすぐ来日しますね。ホントに素敵。


猫の言葉社から新刊!「人形劇で遊びましょう」

またもや稲垣美晴さん率いる猫の言葉社さんより、すばらしい新刊が。「人形劇で遊びましょう」 同封されたメモには「野崎さんにぴったりの女子本」とか書かれていて、うふふ、と思う。確かに女の子なら、こういうの大好きなはず! 特におタク系の女子。

ちょっと「大草原の小さな家」を思わせる表紙
 人形劇のあれこれが詳しく解説! 確かにこれは小学校高学年くらいの女の子とか、そのくらいの子供を持つお母さんには嬉しいかも。

でも何でも時間に余裕があったら自分で作ってみるべきだよね。(あ、また「べき」とか言っちゃった…。でも高価な材料をそろえる必要もない。そんなこともこの本は教えてくれる)
 植物も利用してシーンをセッティングします。この絵本のレビューを書いている人がいて、その人が「絵本というより実用書」と書いていて、確かに、と思う。
かなりマニアックな創作プロセスも…これはマリオネットのコーナーだけど、他にも紙人形、指人形、じゃがいも人形、棒使い人形、影絵など、制作プロセスが紹介されています。

またとセッティングもテーブル劇場、外で楽しむ人形劇等、ホントに細かく図説されてる。

さすがフィンランド! とにかく人形だけじゃなくって生活の知恵やDIYの楽しいヒントがたくさん詰まっています。フィンランド政府文化普及賞受賞作品。

この本はこちらで購入いただけます。