角幡唯介「アグルーカの行方」2回目の感想!

正月明けてからまさかの探検家本、3冊連続(笑)

すごい。すごかった。2回目に読んだ時の方が楽しめたかもしれない。すごい本だなー。3〜4時間 x3晩で読んでしまった。

思えばグリーンランドにハマって、資料の一環ということで植村直己とか読み始めて、あれこれ調査して、角幡さんのブログを発見し、この本に出会って、すっかりハマり、角幡さんの本を読みあさり、同じ早稲田探検部の先輩である高野秀行さんとの対談本を読み、続いて高野さんの本も3冊読み、今、またこの本に戻ってきた(今、ここ)。

しかしよくよく調べてみれば文学界で角幡さんってすごい大型新人(っていうかすでに巨匠の貫禄)であり、ものすごい評価されている人なのよね。まったく普段自分が接触しない文学界…知らないことが多すぎる。今やっとハマった自分は一般の、本読む人から3、4年遅れてる感じかも。ひどいねぇ… わたしも普段、自分に関係ないことにはまったく興味を感じない偏った人間だからな。

それにしても毎度思うことだし、角幡さんも似たようなことを本の中だかインタビュー記事だったかで話していたけど、プロジェクトは調査したり調べたりしている時が一番楽しい!! ケルトだって北欧だって「これは面白い」って発見して、そこからあれこれ資料を揃えて本読んだり映画みたり音楽聴いたり知らない人に会ったりする段階が一番。その文化というかそのエリアにたいする理解を深めて行く段階が一番ロマンチックだ。一方で、実際企画がかたまり、それをスタートさせ、ツアーなんて始った日には辛いことばかりで、まったく楽しくない。あぁ、ホントこの仕事は深い!

特に新しい企画をやることで、新しい人脈と出会う。新しい発見がある。そして最終的に分かるのだ。人間は時間や空間を超えて、すべて同じ事考えてるんだと。昔の探検家たちが、角幡さんと相棒の荻田さんが、実は自分と同じものを追求していた…というのを発見した時の喜びったら! そう幸せとは、人と分かち合って始めてリアルになる(Happiness is only real when shared) 

人は本の中に自分を発見する。「だから誤読を恐れない」って角幡さんも本エッセイの中で言ってたな。本当に本は素晴らしい。音楽もそうでなくっちゃいけない。グリーンランドみたいな辺境で生まれた音楽が、日本に住んでる私たちと共鳴する。そんな素晴らしい事が起きるんだよ、この地球上では!!

なんで人間は自分の生きている意味を追求したがるんだろう。ただメシくってウンコしてるだけじゃダメなんだよね。多くの探検家が、それを追求していた。それを求めて極地に行ったのだ。あぁ、気持ち分かる!! この本を読んでいると北極に立ち、カナダの不毛地帯にたち、そこで夕日を眺めてみたい…とか思っちゃうわけだ。(いや、行かないけどね。荒川土手で充分です、オイラの場合…)

2度読んでみて分るのは、やっぱりこの本の構成力は尋常ではない、ということ。一度目の読書感想で、私も書いているし、その後、高野さんとの対談本や、あらゆる記事やブックレビューを読んでいて発見したが、多くの人がこの構成力に感嘆している。これぞ角幡ワールド! すべては構成力の勝利だ、としか言いようがない。

あと高野本から移動してくると余計感じる事だが、文体が最高に文学的である、ということ。高野さんのめっちゃ人なつっこい文章も素晴らしいのであるが、角幡さんの方が圧倒的に文学的というか格調高い。そしてそれだけではない。ユーモアのセンスも抜群である。そして読ませる。

っていうか、こういうのを文章が上手いって言うんだろうな。今までわたしがこの人の文章凄いな…と思った人は何人かいるが…角幡さんの場合はとにかく群を抜いている。音楽業界にもこのくらい書ける人がいないもんかとマジで思う。文章力、みんなもっと考えた方がいいよ!! するどい分析を説明するだけじゃなく、もちろん情報だけじゃなく、ホントに読ませるすごい文章力。すごい文章力が欲しいんだ。

さて読書に1日3、4時間使えるのも今日で終了。これからはもっと早く寝て早起きして通常ルーティンに復活しないと。この後は厳しい企画書書き(&経理)という時間に戻る。そしてもうすぐ1年を切りそうなグリーンランド企画に頑張らないと!! 待ってろ、お客さん、あと半年後にはこなぜこの音楽を日本で住んでる人々が聴かないといけないかという意味を、力強くここで語ってみせる!

単純に言ってしまえば、ポップなのにヘンなリズムチェンジがあるところがナヌーク(from Greenland)の最大の魅力。プログレっぽい展開をみせたSumeの影響が大である。フレデリックの声と、ちょっとオールドスクール的なギターのエフェクトの使い方もいい。