フルック もうすぐ来日です〜

フルックの映像。かっこいいねぇ〜 



ブライアンの方をキッとみつめて演奏するセーラの集中力がすごい。そういやブライアンは、いつもそんな風に「バンドの番頭」に恵まれている。Kanの時のエイダンもそうだけど、エイダンもブライアンから目を離さないように、ずっとブライアンの方を見て演奏している。良いねぇ,バンドって。

10年くらい前、ロビン・ヒッチコックがバンドで来日した時、R.E.Mのピーター・バックが、ずっとロビンの方を見て演奏していて、その姿をかっこいいなぁ!と思ったのだった。ミュージシャンシップというかね。バンドマンシップというかね。

特に日本のバンドを見ていると分かるんだけど、日本のトラッドグループの多くはメンバーがお互いがお互いを聞いていないと思う。お互いを聞くこと。そこからバンドの音楽は生まれる。

彼らのバイオグラフィーにも書いたけど,今やルナサですら代打のフィドラーやギタリストやベーシストでツアーをするようになったのに、ファースト・アルバムからメンバーが変わらず活動しているのはフルックしかいない。(もっともファーストが出る前のライブアルバムの段階ではフルート3名+エドだったわけだけど)

そもそもバンドって、有機的なものだから、誰かが代わりに入ったところで成り立つものではない。フルックは、メンバーがずっと固定しているということで大変な時期もあった。でも4人で乗り越えて来た。いわゆる英国のフォーク・マフィア陣からは気に入られる存在じゃなかったから、フルックは最初のBBCを取るまでにずいぶん時間がかかった。でも日本のファンはファーストの頃からずっと応援してくれてるよね!

私が彼らのライブを最初に見たのは、おそらくファーストを出してまもなくのころ。スコットランドで一度観た記憶があるんだよね。しかもものすごい僻地で。あの頃はわたしも若かったし、知らない町に行くことにも喜びを感じていたから、わざわざそういう僻地にメンバーを訪ねていったんだと思う。2度めはおそらくもう来日させよう、と決めた頃で、なぜかライターの五十嵐正さんと一緒にマット・モロイズで見たような記憶がある。あれって経緯はなんだったっけ? でも五十嵐さんとずっと一緒に行動していたというわけではなく、しかも翌日それぞれまた別の方向へ旅をしたような記憶がある。もう記憶がない…

そのあとフルックをロンドンで見たとき、「あぁ、フルックってロンドンのアイリッシュバンドなんだな」とちょっと思った。セーラがロンドン在住だってのもあるけど、エドはバース、ジョン・ジョーはマンチェスター、そしてブライアンは北アイルランドのアーマーの出身だ。そんないろんな場所から集ってきて、ロンドンで一緒になったメンバーって感じがする。

彼らのライブは、初期の頃はもしかしたらそれほどすごいものではなかったかもしれない。でもアンサンブルを重ねるうちに、バンドはどんどん演奏が良くなっていくんだよね。彼らはぐんぐん上手くなった。そしてCDはファーストの「フラットフィッシュ」からセカンドの「ルーバイ」への飛躍が本当に素晴らしかった。そして続く「ヘイヴン」も完成度が高かった。そしてアルバムはいまだにこの3枚しか出ていない。再結成した時セーラが「新作を作るかもしれない」みたいなことを言っていたし、実際作り始めたんだろうけど、それはいまだに日の目をみていない。

ファーストの頃は、バブル経済は終わっていたとはいえ、今に比べるとうんとCDも売れていたし、ウチなんかそのCDで得た利益を持って、ライブの赤字補填にあてるような経営状況だった。1つのツアーを作ると50〜100万くらい赤字になったが、それはCDの宣伝費ということで私の中で良しとされた。雑誌に広告を売ったり、店頭ディスプレイにお金をかければ,その程度の金額はすぐに終わってしまう。それよりも来日させてライブを作った方がミュージシャンとの人間関係もできるし、ミュージシャンとお客さんとの人間関係も出来るし、良いと思ったのだ。

一方で,そんな風にわたしがバンドに投資しているのを知りながら、こちらに断りもなく勝手に現地の別の卸し屋からCDを入れて勝手に販売しているレコード店にはホントに頭に来たものだった。私も若かったしね。しかもそういうゴキブリみたいな連中は、こっちが一所懸命宣伝しているのを分かっていて、プライドもなく、人ンチのプッシュものに便乗してくる。事業の初期はそういうのがものすごく気になった。実際、それを気にしてゴキブリたたきに夢中になっている同業者もたくさんいた。でも、自分の事業を続けているうちに、私は自分はそんな足下のことに気持ちを取られてはいけないと思うようになったのだ。プロデューサーたるもの、足下のゴキブリも含め受け入れていかねばならぬのだ、と。(ってかくとかっこいいけど、単なるやせ我慢、とも、諦め、とも言う/笑)

長くやっていれば、いい時期も悪い時期もある。良い事も嫌な事も同じくらいある。まぁ、でもそれでもバンドと長くこうして一緒に続けていられることは本当に幸せだよなぁと思う。もしかしたら、結婚とかもこういう気持ちになるんだろうか? いろんなことに一喜一憂してた頃から比べたら、ちょっと自分は落ち着いちゃったかもしれないけど、それでもなんだかバンドと私と、それを取りまくすべてに今は感謝している。

というわけで、フルックの来日までもうすぐ。詳細はこちら。チケットはそろそろ輸送時間を考慮し、通信販売は締め切りたいと思っているので、お早めにご購入ください。

北とぴあはソールドアウトが近い。もうほとんどチケットないんだけど、今日PA席と関係者席を整理して、少し席を増やしました。でもこんな感じ。斜め線は予約が入って着金待ちのもの。それをのぞくと、あと12席。詳細はこちら。こちらもお早めに。