イングリット・バーグマン生誕100年記念 監督トークショーと映画上映

今日はブログが多い。でもレポートは早く書いて告知して、少しでも案内してくれた方にお礼しなくちゃ、というわけで、頑張って書きます。

今日はスウェーデン大使館さんへ行ってきました。イングリット・バーグマンの映画のPRのために来日したスティーグ・ビョークマン監督をゲストに迎え、彼が制作したベルイマン監督のドキュメンタリー映画「しかし、映画は私の愛人」の上映会があったのです。


あっ、一番はしっこにオレも写ってる! 下をみているのは一生懸命メモを取っているからで、寝ていたりポケGOやってたんじゃないよ!(笑)この映画、すごく良かった! というか、この映画、ベルイマン監督ファンだったら、絶対に必見でしょうね。これ今回のこの1回でもう上映しないのかな。日本語字幕もついているのに、もったいない… 



ベルイマン監督は自分が亡くなる前に映画のメイキング的テープや、アウトテイクなど、あれこれ記録していたものをスウェーデンの映画協会に寄附しておいたんだって。そのアーカイヴをこのスティーグ・バーグマン監督が8本の映画から選んで編集。ベルイマン監督を敬愛する8人の映画監督たち(ウッディ・アレンとか、マーティン・スコセッシとか)のコメントをはさみ、紹介していくというもの。1時間ほどのドキュメンタリーでした。「仮面/ペルソナ」(1966)、「リハーサルの後で」(1984)、「夢の中の人生」(1980)、「秋のソナタ」(1978)、「サラバンド」(2003)、「ある結婚の風景」(1973)などなど。(あれ…6本だな。あとの2本誰か分かるかたはご指摘を!→追加情報:スウェーデン映画祭さんが教えてくれました。一番下を参照のこと

真ん中がビョークマン監督
監督によると、残っていた映像は、長いものでは「秋のソナタ」の3時間ほど、短いものでは「ある結婚の風景」の10分だったそうで、それを編集することになった。で、さて、これを編集して1本のドキュメンタリーを作るとして、どうしたら良いだろうと考えた時、現在活躍中の8人の監督のコメントを挟んでいくことを思いついたそうで、これらの映画監督たちのコメント、本来は映像もあって撮影もちゃんと行っていたのですが、使う段階になってベルイマンが残した映像の空気感を損なわないためにも、映画監督たちは声だけの出演にしたんだって。

タイトルは「演劇は私の妻であり、映画は私の愛人である」というベルイマンの有名な言葉から取ったのだけど、ビョークマン監督は出典や発言の前後関係については失念してしまったそう。(ちなみにベルイマンは生涯で最低でも結婚を5回しているのだそうです。最後は1人者で島で隠遁生活してたんだよね…かっこいいなぁ!)ベルイマンは生涯とても多作な監督だった。演劇作品は60本、映画も60本近く残している。この言葉をビョークマン監督の解釈としては、ベルイマンは「演劇作品はどちらかというとシリアスなもので妻のようなもの、一方の映画はもっと楽しいもので愛人みたいなもの」ということを言いたかったのではないか、と理解しているとのことでした。

8人の監督については、すでに彼らがベルイマンの崇拝者だということは知っていたし、全員の連絡先も知っていたので、撮影はやりやすかったとのことです。みんな快く参加してくれた、と。

取り上げた8本の映画の選択理由は、たくさん残っているメイキング映像、撮影風景映像の中でもっとも興味深いもの、ということを優先したらしい。ビョークマン監督としては特に「サラバンド」のメイキング映像が好きだそうです。というのもベルイマンがけっこうな高齢なのに監督して現役感バリバリだから。

そして映画として好きなのは「仮面/ペルソナ」だそう。とても実験的で過激な作品だから。「夢の中の人生」も同様の理由で監督のお気に入りなんだって。

ちなみにこれらの映像が残っていたメディアは? ほとんど16mmですか?という会場からの質問に答えて。監督がアーカイブから映像資料をもらったときはすべてDVDでもらったので、オリジナルがどういう状態かは分からないのだそうです。でも確かにほとんど16mmで、一部,初期の映画では8mmもあっただろう、と想像します、とのこと。ちなみに音はほとんど入っていなくて無声のものが多かったそうです。なので、それに映画のオリジナルの音声や音楽、8人の監督のコメントを入れたりして編集していったのだそうです。また後半の「秋のソナタ」や「サラバンド」になれば、音ももう普通に入っていたのだそうです。

ビョークマン監督によれば、ベルイマンはこれらのメイキング映像などを人に見せる予定はなかったのだろう、と。これらは、もともと自分でプライベートに楽しむために持っていたにすぎない。でも亡くなる時にこれを国のアーカイヴに寄附しようと決めた。確かに例えばベルイマン監督は「ファニーとアレクサンデル」などは自分で撮影のドキュメンタリーを制作しているし、自分が歳をとって、これらのフィルムを見返してみて、これは面白い、ちゃんと残した方がいいだろう、と判断したのだろう、とのこと。

ビョークマン監督はベルイマンのすごいところは撮影風景を見ていると,現場の楽しい感じが伝わってくるところだと言っていました。70年頃,ビョークマン監督はベルイマンにインタビューしたことがあったそうですが、その時、ベルイマンが強調していたことは、どんなにシリアスなシーンを撮影していても、撮影の現場では楽しく撮影しなくてはいけない、と。その点をすごく強調していたのだそうです。で、確かにこれらの残された映像をみていると、現場での楽しい感じがよく伝わってくる。ベルイマンは活発に歩きまわり、俳優とあれこれ相談している様子が分かる。彼のやり方やスタイル、そのすべてが生き生きしているのが分かる、と。

最後に会場からの質問で、ベルイマンにとって映画は愛人だったわけですが、監督にとって映画とは?と聞かれて、ビョークマン監督「passion」と答えていらっしゃったのが印象的でした。情熱。いいですね!

以上、監督の発言は私のメモなんで、間違ったこと記録してたらすみません。でも私の理解はこんな感じでした。

というわけでビョークマン監督の作品「イングリット・バーグマン〜愛に生きた女優〜」の上映は文化村のル・シネマ他で絶賛上映中。しかしイングリット・バーグマンってこういう人だったんだ。全然知りませんでした。映画観に行こうかな…



あとこの9月17日から、スウェーデン映画祭があるのですが、そちらからも告知がありました。これも楽しそう! 特に「フレンチアルプスで起きたこと」は必見ですよ!



しかしベルイマン監督はベルイマン(Bergman)、イングリット・バーグマン(Bergman)はバーグマンなんだから,日本語カタカナ表記、面白い。あ、イングリット・バーグマンは、ハリウッドで活躍したって事で,そういう理解で良いのか。ま、別にどっちでもいいのだけど。

PS
追加情報です。スウェーデン映画祭さん、ありがとうございます。