高野秀行「またやぶけの夕焼け」を読みました


なんと高野秀行さんの、読んでみればフィクションである。ノン・フィクションじゃないよ。つまり架空のお話。でもこれ、高野さんの話だってすぐ分かる。この物語は高野さんだ。弟さんのゆーりん君もいい感じ。お母さんのため息。そして悪ガキチームとのあれこれ。八王子の山奥ののどかな風景。

今さら、って感じだと思う。現在のざきは高野さんの本を全部制覇すべく片っ端から読んでいる。なので何年も前に発売されたこれを最近手に入れたのだった。(もともとは2012年の作品である)

いや〜 これは感動だ。それにしても高野さん、ホントにこんなに詳細に覚えているのかしら。こんなにヴィヴィドな子供の頃の思い出は私にはないなぁ、と、羨ましく思った。そして終わり方もいい。そう、こういう時代は長くは続かない。幸せは長くは続かない。でもその時間が心の中で一生の宝物になる。

そして高野少年は、この心を持ち続けたまま大人になったのだった。これ読んで、好きな高野本ベスト5がまた変わっちゃったかも。そろそろ「西南シルクロード」「ソマリランド」あたりの硬派な作品をもう一度読むか…。でも高野さんの魅力は探険の危険さなどではない。何にでも興味を持つ好奇心なんだ。人を見る視線の暖かさなんだ。

ほんわりと感動したい人。この本読めば、もう直球ですよ。1つ1つのエピソードがちょうど読みやすい長さなので、お風呂の中で読むとか、そういう人(私だ)にもぴったり。もうスーパーオススメです! あぁ、まったくもう!! 高野本は素晴らしすぎるぜよ。