ICE STATION講座 第16回:和田静香さん(1)

さていよいよ真打ち! R.E.M.といえば日本ではこの方。音楽ライターの和田静香さんの登場です。和田さんが打ち合わせを終えられたところを見計らって、小川町にお邪魔し、夕方の早めの時間の居酒屋に入り会話が始まりました。

文字にしちゃうとおもしろさが伝わらないかもしれませんが、私たちすごい勢いで、めっちゃ盛り上がっています…。きっとうるさかっただろうなぁ…(笑) それにしても和田さんはすごいです。もうライター人生そのものがR.E.M.。R.E.M.とともにすべてがあると言っても過言ではないでしょう。

しかし人生とともにあるバンドってこういう感じなんだな、と本当に思いました。

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 和田「(ゴメス・ザ・ヒットマンの」山田さんの話とかどうだった?」 

のざき「面白かったよ。名古屋でサインもらった話とか…。マイケル・スタイプ大好きみたいだね」 

和田「私もマイケルが一番好きなんだけどね… もう、それがすべてでございます」 

のざき「いやいや、そこで終わらないで、もう少し語ってくださいよ。熱い気持ちを!(笑)」 

和田「そのCDとDVDのライナーにすべて書いてあるので…。役立つかなーと思って厳選して持ってまいりました」 

のざき「うわ〜、助かる。ほとんど外盤で手に入れちゃったのでライナーを読んでみたかったんだ〜。最近、R.E.M.レコ社を移籍したんだよね。で、最近ユニヴァーサルさんの『OUT OF TIME』のリイシューにともなってレコード屋でICE STATIONのキャンペーンやってもらおうと思ってCDショップに看板とか納品したりとかしているんだけど、どうなることやら…。なかなか今の時代に音楽を売るのは難しいわ…」 

和田「コンサートでR.E.M.のこの曲をやります、って事が事前に分かれば良いプロモーションになるのにね」 

のざき「《Rockville》は、ほぼ間違いなくやるけどね…。それ以上確約はできないしなー。せっかく楽しくやろうとミュージシャンみんな楽しみにしているから、あまり演奏内容にあれこれ言いたくないし。しかしホントにR.E.M.の武道館に行ったお客さんの1%が来てくれればいい話なんだけどね」 

和田「武道館かぁ…あの時はレコード会社もプロモーションを頑張ったなぁ。ワーナーも媒体たくさん取ってきたし、私もたくさん取って来てたくさん書いたし、チラシとかも何種類も作ってさ…。やりきった感があったよ。私たち、公演は大阪とかも全部行って楽しかったけど、疲れちゃった… 国内より海外行った方が疲れないかもね」 

のざき「当時媒体で誰がR.E.M.を応援していたとか、有名ミュージシャンで誰かが好きだったとかって情報ある?」 

和田「Bump of Chickenっているじゃない? 若者の絶大に人気のある… あの藤原くんって子がR.E.M.大好きだったよ」 

「2001年の同時多発テロの直後にニール・ヤングがやっているBridge Benefit Concertっていうチャリティ・コンサートにR.E.M.が出るから、っていうので、私は能地祐子さんと2人で命がけで見に行ったのね。その時、初めてR.E.M.に会わせてもらえて、その時に私、日本のCDを何枚か持っていって……ピーターにあげたんだけど何枚かあげた中の1枚がBumpで、もう1つ友だちの知り合いでPealoutっていうバンドが《世界の終わり》のカバーをしていたから、それをあげて…」



和田「…あともう1枚はなんだったかな…とにかく3枚あげたのよね。で、のちにBumpの人たちに会う機会があったので、その事を話したら“ウッソー,マジー、スゲーーっっ”とか言ってすごく喜んでいた」 

のざき「へぇ〜。ホームページ宛にでも “ピーターとマイクが来ますよ”って連絡してみようかな。そういや(ゴメス・ザ・ヒットマンの)山田さんも和田さんがピーターにCDを渡してくれて、それを渡す時にピーターがジャケットを観て、タイトルをつぶやいたって話をして、えらい感激した様子だったよ」 

和田「そうなのよね、みんな日本のバンドはすごくそれを喜ぶよね」 

のざき「で、ピーターも新しいバンドの音楽を聞くのが好きだからね」 

和田「そうね、ピーターにあげるなら絶対にCDよね。聞いたことのない音楽をあげたいと思うわぁ〜」 

のざき「それは素晴らしいですよ。山田くんはそのことがすごい励みになっているみたいよ」 

和田「自分の尊敬しているアーティストに聞いてもらえたら、それは嬉しいだろうしね。Pealoutの近藤智洋さんも喜んでたなぁ。日本のバンドが《The End of the world》をカバーしてるんだ、って伝えた時はピーターも喜んでいたし」

 (ここで食べ物があれこれ運ばれて来て中断) 

和田「毎年サンフランシスコの奥の方でやってるチャリティコンサート、Bridge Benefit Concert には、2001年に行ったんだけど、この時R.E.M.が出たのね。パール・ジャムとかも。ワーナーにチケットを取ってもらって行ったのだけど、最初は見に行くだけのつもりだったら、会わせてあげるわよと言われて、“マジ〜っっっ”て発狂して、ご飯食べられなくなるくらい興奮して… それまで一度も会ったことはなかったから。私ホントに会ってみたかったの。他のジャーナリストや雑誌編集者は、すでにその時点で結構本人たちに会っているんだよね。ライブは日本で95年の武道館を観ていたんだけど、そうやって初めて会ったのは2001年。ちょうど『リヴィール』ってアルバムが出ていた時期。私は『リヴィール』が一番好きなアルバムだから、このアルバムの時のR.E.M.を観たいという事もあった。だけど、それは911の事件の直後で…。ちょうど1ケ月後だったんだけど、正直何が起こるか分からなくて飛行機に乗るのすら恐い中、よく行ったよね。飛行機にはあの時30人くらいしかお客さん乗ってなかった。初めて飛行機にのって“お好きな席におすわりください”って言われたよ!」(爆) 

「すごいガラガラで、窓際行ったり、飽きたから後ろに行ったり、好きにしていた。スチュワーデスも暇すぎちゃって、“何をしに行かれるんですかぁ?”って(笑)。だって普通のお客は全然乗っていないんだもの。みんなビジネスで仕方なく嫌々行く人たちだけでさ」

 のざき「そんな時期じゃ。仕事で行くにも家族にも反対されたりするだろうしね」 

和田「一方の私たちはチャラチャラしているわけで、そのせいでスチュワーデスに不思議がられてね。しかも1ケ月後くらいだったから入国も甘くて“よく来てくれた!”って。すべてが超ウェルカムだった。で、その後だよね、入管が厳しくなっちゃうのは…。会えた時は嬉しかったなぁ。一緒に写真撮ったりして…」

 のざき「今もその写真ある?」 

和田「私,物に対する執着がないからさ、どっかすっ飛ばしちゃったよ…」 

のざき「わかる、わかる、私もそう!」(爆) 

和田/野崎「ははははははははははは」(爆) 

和田「でもすごく嬉しかった!! あ、そうだ、その時にバカな話で、本当に死ぬかもしれないって思ったから、遺書を書いて部屋に残していったんだよね。そして、それ以上にマイケルにせっかく会えるのだから自分の思いを伝えたい、って強く思ったの。こんな時期にわざわざ見に行くのだからって。だから通訳の染谷さんにお願いして、ファンレターを英訳してもらったの!」(爆) 

のざき「うわ〜(爆)、なんて素敵! っていうか、染ちゃんともその頃からの付き合いなんだね」 

和田「で、そこに私が一番好きな曲が《Find the river》なんだけど、この曲が好きだからここまで来たんです、って書いておいたら、なんと!!翌日やったの!」(爆) 

のざき「きゃーーーーー! うわ〜、手紙、読んでくれたんだねー、それやばいでしょー」

 和田「そう、やばいよねー」

 のざき「やばいねー」

和田「それが最高の思い出だね」



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ピーター・バックとマイク・ミルズが来日するICE STATION、開催までもうすぐ。渋谷と京都で公演があります。現在チケットは「当日精算」で受け付けております。

2月7日 京都 磔磔
2月9日 渋谷 WWW
2月10日 渋谷 WWW

詳細はこちら http://www.mplant.com/icestation

with ナヌーク、カート・ブロック、ピーター・バック、スコット・マッコイ、マイク・ミルズ、リンダ・ピットモン、スティーブ・ウイン















和田さんの名著の数々。どれもおすすめですよ!