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2017年10月11日水曜日

映画「永遠のジャンゴ」を観ました


映画「永遠のジャンゴ」を試写で拝見いたしました。ありがとうございます。

予告編を観ながら、しかしジャンゴを説明するのにジミ・ヘンやサンタナの名前を出さないといけないものなのかな…と疑問に思いつつも日本での知名度はそうなのかな…とも思うご存知ジプシー・スイングの神様、ジャンゴ・ラインハルトの生涯の、戦争をまたいだ時期にフォーカスした映画。

私はこれでもジャンゴけっこう聴いていたんですよ。なんたってキングレコード時代はあの東京ホット倶楽部バンドの宣伝もやっていたし。いや、実際ちゃんと分かって宣伝していたわけではなかったけどね… 懐かしいよなぁ。皆さん、元気かなぁ。小林さんと船山さん以外は、皆さんもうコンタクトが途絶えてしまったけれど…。

さて話を映画に戻して…この主演俳優さんは本物に似ているのであろうか…、最近の伝記映画って、クリソツさんが出ることが多いけど… とにかく登場人物ほぼ全員がタバコをプカプカ。観ているだけでゲホゲホしそうな映画だった。時代だよねぇ。

ホットクラブが英国ツアー中に、第二次世界大戦が勃発し、ロンドンに残ったグラッペリとは反対にジャンゴはパリに戻って来た。そこで…なんとなくのほほんと気紛れなアーティスト生活を送っていたら、どんどん戦争で状況が深刻化し、最終的には難を逃れてスイスへ逃げることになる。が、この下りも細かい話はどこまでが実話なのか、どこまでがフィクションなのかが、はっきり分からない。

実際の彼がこんなに気紛れで時間にルーズで、お母さん、愛人、妻と女性たちに手取り足取りすべて面倒みてもらっているようなミュージシャンだったのかも疑問だ。でも、ジプシーって男社会の割には、女がいろんな意味で家庭の中心だよね。一方、映画の中で自立していてかっこよくて美人の愛人ルイーズは架空の人物らしいけど、お母さんはギャラをあげろと騒ぎたて、妻は愛人の存在を知りながらもジャンゴに付き添う。とにかく女が強いジャンゴ回りなのであった…!

最後の最後にかかるジャンゴのペンによる壮大な楽曲には心を打たれる。あとパイプ・オルガンのエピソードはいいよねぇ…。そしてナチスのミュージシャンに対する無理難題も(ソロは5秒だけとか、テンポはどうこう、ブルーズはダメ、とか)、ホントにこんなだったんだろうなぁ、と思いは巡る。音楽でドイツ軍たちの注意を引きつけている間の脱走激とか、一つ一つのエピソードにハラハラドキドキ。

ジャンゴの生い立ち全部追ったりするよりも、この時期に物語を絞ったことで、凝縮された良い内容の映画になったと思った。それに、なんといっても、この素晴らしい音楽だ。サウンドトラックはローゼンバーグが担当しているという。それだけでも必見/必聴である。

あとは、まぁ、ホントに時代だよ。「ジプシーは戦争をしない」という劇中の主人公の言葉も重かったが、資料でいただいた監督インタビューにあった「ジプシーには領土がなく、所有という感覚もない」というのも妙に響いた。「自分のもの」という「欲」がないから、戦争はしなくていいのだ。それって、めっちゃ基本じゃない〜

最後の最後には「レクイエム」というジャンゴが作曲した楽曲をオーケストラが演奏し、ずしんと重い感覚に覆われる。この曲は一度しか演奏されなかったのだという。見つかった楽譜は未完で、その曲に遺族の許可のもとウォーレン・エリスが補作し、映画で流す楽曲を完成させたらしい。

しかし主演のレダ・カテブ、ギター演奏、頑張ったね。彼はこの映画以前にギターを演奏した経験がなく1年かけて猛特訓を受けたそうだ。でも「20年練習したってジャンゴのようには弾けないでしょう」と話しているそう。



これぞ数少ないと言われている動くジャンゴの映像かな…



こちらはフレアークと来日したりして、一緒にツアーしたことあるオランダのシンティ・ジプシーのバジリー一家。かっこいいねぇ… 彼らはローゼンバーグと並んでもいいくらいのすごいバンドなんだけど… 実際は難しいね。トゥッチィ(フィドル)なんかは、ほとんど今、弾けなくなちゃったし。でもトゥッチィもバジリー兄弟も、演奏は本当に素敵だった… また会いたい。



映画「永遠のジャンゴ」は11/25より、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて。