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2018年1月8日月曜日

「芸を追え」とは言いますが…

かなり前になるが業界のおじさんが主催する勉強会があり、興味深いお話を伺った。講師は俳優/演出家の方。私が主催する勉強会ではないので、あまり詳しくはあかせないが、興味深かったことを自分用にメモっておく。

お話すっごく面白くて、俳優の仕事とは、無意識でやっていることを意識化する事だって、おっしゃった。興味深い。確かに、俳優という職業をひと言で表すとそういう事になるのかもしれない。

ちなみに先生によると俳優は今、4万人くらいいると言われている。そのうち俳優業で食べていけているのは400人くらい。他は何らかの副業を抱えている人が多い、とのこと。(同じ統計が「ミュージシャン」でも取れないかな。でも似たような数字なんだろうな)

「仕事を追うな、芸を追え」と言われる世界。好きなことやってるんだから、お金は関係ないだろう、という世界」だと。(音楽と一緒だね…)

また、マスコミで生きてきた俳優さんと、舞台で生きてきた俳優さん… ギャラの概念がまったく違うということ。これも一緒だ! イメージを高級にして高く売る音楽家(時々実態がないこともある)、そしてライヴ活動中心でリアルがちゃんとある等身大の音楽家。全然お金の概念が違う。これは私の感想だが、本当にヘルシーな人は両方の概念が理解出来る人だと思う。私自身もそうありたい。…話がそれた。(もっと話がそれるがギャラの話を自分でできる音楽家は信用できる)

その他,心に残ったこと:「人間はものを作るときに、取り入れたものをつなげる本能がある」心の中で構築したものを伝えて行く本能がある。それをちゃんと伝えていこうとするのがアートである。自分の中に貯めたものがないと、人に伝えられない… うーん、良い事言う!

しかし現在、舞台の世界は厳しい。仲間うちでチケットを買いっこして、なんとか回っている感じ。お客の半分が実は関係者みたいなイベントがホントに多い。きっと自分たちは一般の人には「もう一度見たい」という感覚を与えきれてないんだろうな、と悩む。

それ痛いほど分かる。ウチのアーティストたち、みんなすごく音楽がいい。演奏がいい。少なくとも私はそう信じている。でもきっとお客さんがリピートしないのは、それが物足りないんだろうな…と。

なんか、このヘンの問題は音楽の仕事と一緒だよね。時々思うのだけど、例えばポール・ブレイディなんて、ホント有無を言わせないくらいのライブを毎回やっているのに、なぜか「もっと聞きたい」「もう一度行こう」という事にならないのか。お客さんがなぜ増えないのか。本当に悩む。いや,こっちの問題ですよ。こっち側の問題なんですけどね…。こちらとしても、ものすごくいいものを見せてきたという自負はある。でも今まで来た人にもう一度来てもらうには、どうしたらいいのか。考える。とても難しい。

が、これは私の意見だが、だからこそ… 何かに惹かれて来てくれた新しいお客さんはやはりとても有り難いのだ。で、その何かは何なのか… 私にも分らない。他の主催者たちも分っていないだろう。音楽や映画、演劇、芸術は言葉では説明できない何かを運ぶ。それが誰かにリーチして、それが動員になる。

音楽関係、舞台関係やってる方は、みんな同じこと考えてるだろうな。ま、何はともあれ張り切って参りましょう。

そして、この映画も同じだ。70年代、グリーンランドの自治権獲得に大きく貢献したバンドなのだが、本人は「世界は音楽では変えられなかった」と思っているだろうところが、非常に興味深い。

マリク、まだ早いよ、結論を出すのは。グリーンランドは70年代からあまり変わっていない、と多くの人は言うだろう。が、おそらくあなたたちのおかげでグリーンランド語は残る。70年代、デンマーク語で行なわれていた教育が、自治権獲得後の現在はグリーンランド語で行なわれ、高等教育のも国内で可能になった。そして今でも島に住む90%以上がグリーンランド語を話す。今、世界の消滅危惧言語を見渡してみれば、これだけその国で、その国のオリジナルの言葉が話されている場所はない。地球温暖化が進み、氷がとけて犬ぞりや狩猟文化は北極の地から消えるだろう。形あるものはすべて消える。それは時間の問題だ。でも、それを思えば、言葉が残ること、それこそがグリーンランドの本当の勝利と言えるんじゃないか。そして、あなたたちの音楽はやっぱりグリーンランドを勝利に導いたんじゃないか。

音楽って時々,そんな風に意外な伝わり方をする。それはアーティスト自身にはコントロールできないし、もちろんスタッフにも。そこがロマンチックだし、予想できないし、だから誰にもハンドルできないんだよな、と思う。それがこの仕事の面白いところでもある。

東京は1/12(金)21:00より ユーロスペースにて。どうぞよろしくお願いいたします。




PS
越塚ハムの人も開発当時は、まさかコンビーフがこんな食べ方をされることは思いつかなかったのではないか。それが文化。肉の脂をあますことなく食すには、これが一番。炒めたらもったいない。