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2018年3月31日土曜日

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』に感激! なるほど、こりゃー 最高だわ!!



いやーーーー 良かった。これは最高に良かったわ。今ごろやっと見ました。『シェイプ・オブ・ウォーター』アカデミーたくさんとったアレです。私の信頼できる方々が、皆さん絶賛してたので,絶対に良いと思ってたけど… ホント最高でした。超おすすめです!!! 

冷戦下のアメリカ。アマゾンで見つかった「神」だという半魚人と、冴えない中年の口の聞けない掃除係の女。そして次第に恋に落ちて行く二人。実検で殺されそうになる「彼」を救い出す彼女。ロマンチックな愛の物語。正直、えっ、なんでそうなるの?みたいな箇所はあれど、とにかくいいストーリーだった。

そして、これは本当に皆さんが書かれていることだけど、細部が本当に素敵。水とか、彼女の靴とか、緑のパイとか、ゆで卵とか、壊死する指とか、ペーパーバックとか、血痕とか、昔の映画とか、LPとか、水色…ではなく「teal(「鴨の羽色」と呼ばれる、青緑色の一種)」色のキャデラック、適度なエロチックさ、グロさ等々。そしてもちろん最高に効果的な音楽も。これらすべてが監督の素敵な世界観なのよ。あぁ、もう分かるわぁ〜。



俳優さんは全員素晴らしかったけど、これは圧倒的に「作品」「監督」の力だと思ったのも事実。アカデミー賞の賞もそういう賞を受賞している。俳優陣もいいけれど、とにかく作品自体の力がものすごく強いのよ。

あえて俳優陣からベストを選ぶとすればね、あの悪役の彼が最高に良かったねぇ。なんというか、最高に悪役で、もう迫真の演技だったわ!! あそこまで徹底したゆるぎのない悪役ぶりに感動だったよ。トロい主人公を何かと気にかけてあげている黒人のおばちゃんもホントにチャーミングで最高に良かったけど、やっぱり圧巻はあの悪役の彼よね。彼があれだけすごいから、もうそいつが水色じゃなかったなんちゃら色のキャデラックとか買っちゃって、で、それに救出チーム(いわゆる心の優しい人たち)がガツンとバンをぶつけてやる「仕返し」(笑)が、もう最高に生きて来る。もう最高に最高。

ちょっとCGがToo Muchに思うところもあったけど、常に物語は素敵で、画面は素敵で本当にうっとり。 いや〜これは、ホントにいい映画だわ。いい映画だというのは、こういう映画のことなんだわ。エンディングを、はっきりと結論づけず、あぁいう終わり方なのも、もう最高にロマンチックで超合格!!!って思ったよ。

あのマイケル・ムーアをソフトにした感じの素敵で可愛いデル・トロ監督に乾杯。本当に本当に素敵な映画でした。機内放送とかであったら、もう毎回見て涙しちゃいそうだなぁ。





町山解説も秀逸。「ハリウッドにお金出させると口も出されるからイヤ」とかいちいち響きまくり…

ヴェーセンのフレンチ・アルバムが『1993』というタイトルでデジタルで手に入るようになったよ!


ヴェーセンの通称「フレンチ・アルバム」こと『Essence』がバンドの手に戻ったらしく、通常チャンネルで再リリースが決定したようです。良かったね!

そういえば、昨年ノルウェーのワールド・ミュージックのフェスティバルで、とあるフランス人に会った。彼は私が日本でヴェーセンの仕事をしているのを知らず「ヴェーセンってスウェーデンのバンドがいるだろう、彼らのファースト・アルバムは僕の会社で出したんだ」とかなんとか、彼は自慢げに語るのであった。私はへぇ〜と思い、自分が日本でヴェーセンと仕事をしていることをこのフランス人に話そうと思ったのだが、ふと確かあのアルバムの制作にはバンドはあんまり良い思い出がないはずだよなと思い出し、だから何も知らない振りをして「そうなんだ、すごいね〜」なんて口をあわせていた。それに所謂ヴェーセンの「ファースト」はウーロフのソロアルバムであるDroneから出ていたCDだ。確かに世界市場に初めて出たのは、あのフレンチ・アルバムかもしれないが。

案の定、実際、ヴェーセンがフェスティバルのホテルに到着してみれば、そいつはバンドと挨拶をしたり口をきいたりしている様子がまったくないようであった。普通だったら「あの時は世話になったよな」って抱き合って再会を喜ぶよね。この業界、めっちゃ狭い。そして「オレ、誰々を知ってんだー」とか自慢げに言う奴にはろくな奴はいない……というのは日本でもヨーロッパでも共通なのだ。

でも良かった。このCDがちゃんとリリースされるということは、音源の権利がバンド側にきちんと戻ったということだ。(もしくは理不尽なロイヤリティ払わされてないといいけど…)

で、そのフェスティバルの朝ご飯会場で、ほぼ毎朝のようにヴェーセンとご飯食べてたオレは、みんなにさぞ羨ましがられてたことだろう…ふっ。なんたってヴェーセンはあの場にいたすべての伝統音楽のバンドの憧れの存在だったから。「あの謎の東洋人は何ものだ?」みたいな…(笑)。で、この朝ご飯会場でミッケと話したことが、実は……おっと危ない。それはまた別のお話し。時期が来たら、書くことにする。ふっ、ふっ、ふっっ…

というわけで、この名作、本日よりiTunesとかでミッドプライスで手に入ります。まだ持ってないという人は是非。『ジョセフィンのワルツ』の超オリジナル・ヴァージョンが聞けますよ。

ヴェーセン。世界で一番かっこいいバンド。(by マイク・マーシャル)


 AMAZONでデジタル配信してるものを並べたけど、これは、まだっぽいな〜〜

2018年3月30日金曜日

小田嶋隆『上を向いてアルコール 「元アル中」コラムリストの告白』を読みました。

面白かったし、あっという間に読めてしまった。小田嶋さん… うーん、そうだったんだ!というのが、まず率直な感想。

単純な話だが、私はけっこう自分では小田嶋さんのファンだと思っていたのだが、小田嶋さんがアルコール中毒だったとはまったく知らなかった。そして結婚してらっしゃることも初耳だよ!! 

なんだか勝手なイメージは… 小田嶋さんは津田大介さんと並ぶ北区を代表する言論人で、赤羽に住んでらっしゃるから、お酒は適度に楽しみ、あの夜遅く行ってもケーキがちゃんと置いてある駅前の某カフェの常連で、エレカシをたしなむように聞き、実は今だに結婚せず年老いた母親と住んでいる…くらいのイメージでいたよ!! おいっっ! 全然違うじゃないか!

小田嶋さんといえば日経BPの「ピース・オブ・警句」のコラムだ。本当に毎回毎回秀逸。時事問題でイライラする心にじっくりしみ込む笑いと、かつ明解な分析。ネットメディアも雑誌も定期的に読む場所は、ほとんどなくなってしまった昨今。私ですら更新をほぼかかさず楽しみにしている。


しかしこのアル中本を読んでびっくりした。小田嶋センセイは、30代のほとんどはアル中ですごしたのだという。「アルコール依存症」というと言い方がやわい、とセンセイは言う。とにかく「アル中」だ、と。

確かに赤羽に朝10時ごろ行くとパチンコ屋の前に開店を待つ、ギャンブル中毒の皆さんがいて、心が痛くなるのだが… 依存とは怖いものだ。だが、人間は少なくとも何かに依存しないと生きていけないのだ、ということを非常に感じた1冊だった。

まずいことにこの危ない感じは、私もめちゃくちゃ実感している。私も仕事に依存していないだろうか。仕事を取ったら、もう何もすることがなく、生きる意味がなくなってしまうのではないだろうか。あとSNSも。このブログにも。もしかしたらめっちゃ依存していないだろうか。本当にやばい。

小田嶋さんが指摘していることが面白い。実はアル中から抜け出す時に一番問題なのは「時間」なのである、ということ。 確かにそれほど飲まない私ですら(通常はワイン2杯で超ご機嫌)友達と飲み始めると、夕方6時とかに集まったのに終電近くまで飲むことになる。仕事以外で何かをするのに5時間なんて、そんなに長い時間を費やすことが他にあるだろうか! それなのに、お酒を飲んでいると5時間なんて短いくらい。とにかくあっという間だ。怖すぎる。

まさに角幡唯介さんが『アグルーカの行方』で指摘してた「生きるということは不快に耐えてやりすごす、時間の連なりに他ならない」。そのとおり!! 人生とは、どうやってこの果てしなく長い時間をなんとか楽しいことで気を紛らわせてやりすごすか、という、それに尽きるのだ。とにかくお酒があれば、5時間でも7時間でもなんとなく(ほとんど無駄に)過ぎていく。ぼーーーっと生きてないで、自分を飽きないように楽しませること。ホントにこれが生きて行く上で一番大変な作業なのだ。しかも私の場合、たちが悪いことに、一生懸命自分で働いて満足いく結果が出せないとハッピーにはなれない。言ってみりゃ、要求が高い女だ。物を買ったり、海外観光旅行に行くだけで幸せになれる人がホントに羨ましい。あ、あと美味しいものを食べる、というのは一番楽に時間がすごせる最良の方法だな…。言ってみりゃ、それが手っ取り早いか…

あと小田嶋さんのアル中をなおしてくれた医者の先生が言ったという「インテリだからあなたは治るかも」という言葉にも響いた。依存を辞めるということは「忍耐」でも「我慢強さ」でもなく、それにかかわっていた生活を意識的に組み替えることだ、とセンセイは説明する。生活のプランニングを1からすべて組み替える。それは知性のない人間にはできない、と。うーむ。

そしてアル中が酒をやめるのは4LDKの部屋に住みながら、2部屋だけの中で生活をしている、という感覚なのだ、という説明も腑に落ちた。つまりあっちの2部屋にはやばいもんがいっぱいある、それをそこに押し込めて近寄らないようにする、そういうイメージ。そうやって一生を過ごしていかなくてはいけない、その感じ。

「翼をもがれた鳥」というのもいい表現だ。アルコールを辞めた自分は翼をもがれた鳥だ、とセンセイは言う。もう翼はないものとして生きて行くしかないのだ。そういう感覚は、おそらく一生つきまとう。ただそれでも生きていかないといけないのだ、アル中だった人は。

これがタバコみたいに物質だけで、時間をさほど取られないものであれば、比較的簡単にニコチンを辞めるだけで済む、と小田嶋さんは言う。でも酒を辞めるこということは、やはり「依存」であり、「それに費やす時間」への依存であり、それを克服することは大変難しい、と。だからお酒をやめると… 暇で暇でしょうがないとセンセイは言う。そしてAAとかに言って意味もなく時間をすごすのだが、この「時間をすごす」というのがアル中には大事で、そうやっている間は飲まずにすむ、という環境を組みたてるのが重要なのだ、と。

それはインテリにしかできない。

ちなみにダイエットも同じだと小田嶋先生は言う(ドキっ)。食べる、という事に依存する、その感じ。そして世間の3割くらいは「オレ、考えるの嫌だ」という人で構成されているのだとも。それが物事の極端な単純化を望む、と。だから多くの人はリバウンドしてしまうのだ。肥っている人はダイエットが嫌なのではなく、考えるのが嫌なのである、ということ。食べるということに、いかに依存しているのか。そして、単純な指針をいかに誰もが欲しているかという…。あー、ホントに怖すぎる。

そして恐ろしいのは「スマホを忘れたときの心細さは、アル中時代の焦燥感と同じ」というのにも超やばいと思った。SNS中毒だ。中毒であり依存だ。しかも本当の敵はSNSではなく、その先にある「コミュニケーション」なのだ。しかもこのコミュニケーションは、あらゆる時間という時間をがんがん吸い取っていく。これはホントにやばい、ということ。確かに、SNSにかまけて時間がたってしまった感覚は、お酒で無駄に時間をすごした感覚とすごく似ている。

スマホを見ていると…そのときは自発的な思索を辞めてしまっているのだ。外部に情報を求めるということは、自分の頭で考えないこと、そのもの…とセンセイは指摘する。うーん、ごもっとも!

あぁ、やばい。こうやってブログを書いているのも、ホントは自分はコミュニケーション中毒なのかも?と思う。いや、文章を書くこと自体は自発的に考えている行為だから、大丈夫なのか? あぁ、ホントに人間って弱すぎる。ホントにやばい。



PS
人生をどうアーキテクトするか。例えばこういうのも…上手くやれば結構自分をマネジメントすることは難しくないと思う。そして理想の自分に近づけるのか…な?(笑) 例えばこんな小さな事も。

2018年3月29日木曜日

ケヴィン・クロフォード インタビュー ルナサ新作『CAS』について その3

さて、忙しいアメリカツアーの中、ルナサのケヴィンが私がメールで送った質問に答えてくれました。ケヴィン、ありがとう。 いや〜、意外な内容の回答も多く、すごく興味深いです。是非、もうすでにCDを手に入れられた方も、まだの方もお読みください。

その1、その2へのリンクはここ (その1) (その2)

 ★ ★ ★ 

続くメアリー・チェイピンのトラック『Irish Girl』。ごめんね、長くしゃべりすぎだよね…ははは。でも実は僕はこのトラックが一番気に入っているんだ。なんといっても、このトラックのトラックのサウンドが最高だ。ルナサの録音史上を見ても、音響的にもっとも最高のものが録れたと思っている。ギターとダブル・ベースが最高に美しい。トレヴァーのベースが本当に素晴らしいんだ。毎回聞くたびに涙が出ちゃうよ。特にセカンドバースに入るところとかコリンのフィドルの旋律が入ってくるんだけど、もう最高だろ? 僕が今までに聞いた歌の伴奏における最高のヴァイオリンのフレーズだと思う。 本当にこのトラックを聞いていて、このチーム全体を本当に誇りに思うよ。キリアンのパートもめちゃくちゃ素敵だし、僕はほとんどの場合、ホイッスルでシンプルな旋律を吹いていただけどね。

グレアム・ヘンダーソンがキーボードを加えてくれたんだが、実はグレアムがダブル・フルートの旋律を書いてくれたんだ。僕らがやってる演奏のカウンター・メロディーみたいだろ? それはいつもとはまったく違うメロディで、僕が絶対に自分自身では演奏しないタイプのフレーズなんだ。結果、めちゃくちゃ素敵なものになったと思う。まるで全体を補完する… というか下から支えるような感じで、グレアムの手法が僕たちの演奏をささえてくれている。

あとさ、ちょっとボシー・バンドっぽくもあるだろ? この2つのフルートがやってることが、すごくボシーっぽいと僕は考えるんだ。このボシーな感じが、このトラックにまったく違う味わいを加えている。僕にとっては、このトラックがこのアルバムの中で、もっとも洗練された楽曲だと思う。本当にこのサウンドが素晴らしい出来だ。どの楽器も本当に素晴らしい。

あとメアリー・チャイピンの、ヴォーカルの繊細さがいいんだよなぁ。あの高音に行く時の繊細さというか、もろさというか。彼女が苦労してその高音を出しているということではなくて、あのヴォーカルの手法だよね。彼女のすばらしい創造力の1つだと思う。そこに彼女のエモーションがこめられているんだ。こうやって繊細さと、壊れやすさを表現することによってね… 本当にすごく美しいトラックだ。

そうそう、彼女が歌うのをこの曲にしようといったのは、実はまた僕なんだ。ジューン・テイバーのレコーディングからアイディアを得た。僕は彼女の大ファンだから。いつも彼女の歌は素晴らしいと思っていた。例えばシリー・シスターズのアルバムとか。

(ジューン・テイバー。『Irish Girl』がなかったので、このへんを貼っとく)



(シリー・シスターズも、ご紹介がてら貼っておきましょうかね…。そういやマディ・プライヤは何度か来日してるけど、ジューン・テイバーは私が知るかぎり来日したことがないな…)



(それからメアリー・チェイピンも。メアリー・ブラックがカバーしたこの曲、大好き。今のMe Tooムーヴメントにあうんじゃないかしら)



そんなわけでこの曲を収録することになった。『Irish Girl』はそうやって出来上がった。

ここで、インストルメンタルトラックに参加してくれた素晴らしいミュージシャンについても紹介しておくね。

レオン・ハント
レオン・ハントの参加は最高だろ? ラリー・レイノルズのためにトリビュートのトラック。彼はエド・ボイドの友達だったんだ。エドが彼がこのチームに連れて来た。このトラックに、こういうブルーグラスっぽい、リズミックなバンジョーが欲しかったんだ。2曲のリールを通して演奏されるこういったタイプの演奏がほしかった。

グレアムは、また言うけど、信じられないくらい…なんというか、あったかいブランケットをバンドに提供してくれたと思う。なんというか、とても才能があって、絶妙な匙加減の魅力を付け加えてくれてるんだ。彼の耳は本当に素晴らしくて、彼のアレンジは絶対にチーズ臭く,ダサくなったりしない。とにかく音楽的な人なんだ。僕らは彼がこのレコーディングのためにスケジュールをあけてくれて参加してくれたことをとても嬉しく思っている。

 あとトレヴァーのプロデューサーとしての立ち場も本当に素晴らしかった。彼がこのアルバムに費やした時間、どんな音が必要かとか突き詰めて、いろんな音を加えたり、すべての作業を進めたり…それを思うと本当にすごいと思うんだ。ラップスティールみたいなブズーキとか…。

でも、本当に正直言って、いつもいつもびっくりさせられるのだが、やはり彼のベースラインなんだ。あのベースには、本当にいつもいつも感激させられる。トレヴァーの演奏がバンドに持ち込む音楽的貢献度は、ホントにすごいと思う。彼の音はいつもそこにあって、いつも迷いがない。彼がこのレコーディングにもたらしたすべてを聞いていると、彼のベースラインと、彼の気持ちの動きとか、グルーブとか、彼がベースの音で行く新しい境地とか、いつもその先が想像できないのだけど、本当に素晴らしいと思う。このアルバムは、ベースの演奏においてルナサの『Otherworld』(1999)以来の、ものすごい作品だと言っていいだろう。このアルバムのトレヴァーのベースを、ずっとずっと聞いていたいくらいさ。本当に本当にすごいと思う。

(お互いに尊敬しあう、ホントに素晴らしいバンド…ということで、カッコよすぎるので、こんな写真でも貼って、落としておきましょうか…/笑)

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全体のミックスも今回はすごく良いし、このアルバムには、現在ルナサである僕らがみんな参加した。(アメリカツアーを手伝ってくれている)コリンの曲も今回は収録したし、そういう新しいことがバンドに良いバランスをもたらしている。そして才能あふれるフィドル奏者のショーン・スミスとコリン・ファレルの両方がレコーディングに参加しているのも聞きどころさ。

コリン・ファレル
例えばオープニング・トラックは、ダブルのフィドルの旋律から始まるんだが、これはショーンとコリンが一緒にフィドルを演奏している。他のトラックにもフィドルが両方入っているのがある。それは本当に素晴らしいことだ。

それから僕らの新しいギタリスト(パトリック・デューシー)が参加してくれたのも嬉しい。パトリックは、今,ルナサでギターを弾いているエド・ボイドがフルックなどで忙しいときとか、主にアメリカを手伝ってくれているんだ。パトリックは僕らの新しいルナサ・ファミリーの1人だ。彼ら全員が今のルナサがルナサであるための重要な人たちだ。ルナサの30年目の時代を形成する重要メンバーだよ。本当にこのアルバムの結果には、とても満足している。

ルナサの新作『CAS』は、THE MUSIC PLANTのCDショップにて好評発売中。どうぞご利用ください。


2018年3月28日水曜日

ケヴィン・クロフォード インタビュー ルナサ新作『CAS』について その2


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ルナサのケヴィンが私がメールで送った質問に答えてくれた音声を、日本語に起こしたものをご紹介しております。シリーズの2回目。その1はここにあります。

★ ★ ★

『Paddy's Green Shamrock Shore』を歌ってくれたデリー・ファレル。彼は僕のレーダーにもうすごく長い間ひっかかっていた人なんだ。もう注目して4、5年たつかな。ずっと気になってたアーティストの1人。だからこのレコーディグの成果をめちゃくちゃ気に入っているよ。彼は素晴らしい情熱の持ち主で、信じられないほどのスピリットを歌にそそぐ。

彼のことはずっと見て来たんだけど、特に彼のブズーキの演奏は信じられないくらい素晴らしいんだ。例えばアンディ・アーヴァインやポール・ブレイディといったものすごい人たちと同じレベルの才能を持っている人だと思うんだよね。いわゆる素晴らしいシンガーで、同時にギターもブズーキの演奏も素晴らしいっていう…。70年代とか80年代の素晴らしい人たち。まさに僕らが聞いて育ったような素晴らしい音楽。そういう才能なんだ。素晴らしく輝ける灯台みたいな光さ。遠くからでも見つけられるような。しかもめちゃくちゃいい奴で、いつも元気で明るくて一緒にいて楽しい奴さ。

(確かにすごいです、この歌、このブズーキ)



曲の選曲についてなんだけど、選択は実は僕がした。2、3曲、フランク・ハートの曲を提案したんだ。で、このヴァージョンはフランク・ハートのヴァージョンをもとにした。歌詞もそこから取っている。でももちろん僕は彼に他の曲も提案をしたし、彼にも何か提案するように求めたんだ。結局この曲になったけどね。でも僕ら両方とも、この曲が一番の選択だと思ったんだよ。バンドのサウンドにもあっているし、楽器編成もぴったりだ。僕らがアルバムに入れたいと思うような曲にも非常に近かった。

しかしレコーディングはちょっと複雑だった。スケジュールがなかなかあわせられなくて仕方なかったんだけど… まずデリーがダブリンのトレヴァー(ベース)のスタジオにデモを取りに行った。その音源がアメリカにいる僕とキリアン(パイプ)そしてコリン(フィドル)のところに送られてきたんだ。僕らのパートをいくつか録音して、それをまたトレヴァーに送りかえした。これらのパートを聞きながらデリーは再び歌のトラックを録音。同時にブズーキのラインを作り上げた。これらが再びアメリカに送られ、キリアンと僕とコリンはテキサスのフェスティバルにいる間に、さらにレコーディングを重ねた。その部分にいたってはなんとホテルの部屋で録ったんだよね(笑)

だからこのトラックがアルバムの収録曲の中で一番オーガニックなトラックではないかもしれない。でも最近の技術は素晴らしいよ。こういうことが実現出来ちゃうんだから。というわけで、これがダリー・ファレルのレコーディング。本当に彼が参加してくれて嬉しく思っている。

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さて、今回のアルバムの中で、一番みんながびっくりしただろうトラックは、ブルース、ゴスペル、アメリカーナのシンガーであるエリック・ビブのトラックだと思う。『My Lord What a Morning』

エリックは、僕らのマネージャーだったスチュワート・オングリーの友人で、スチュワートはエリックとも仕事をしてたんだよね。ベースのトレヴァーは、エリックのベース奏者として何度もツアーに参加していた。ルナサもフェスティバルで何度も一緒になったことがあるんだ。僕らはとても仲が良くって、いつも何か一緒にやろうよ、という話をしていた。だからこのアルバムを作ろうっていうことになった時、エリックに声をかけるのは自然のことだったのさ。

エリックみたいな声、彼みたいなバック・グランウンドを持つ人がアルバムにこういう曲を提供してくれるなんて本当に素晴らしい。なんていうかゴスペルっぽいっていうか… 

しかしこのコラボにはちょっとした努力も必要だったよ。というのも、彼が歌うタイプの曲は、僕らの音楽とはなかなかフィットしない。この曲を選んで来たのは彼の方で、彼がこの曲を送ってくれて、これなら僕らにも何か出来るぞ、という結論にいたった。

実際のレコーディングは… 彼は今、スイスに住んでいて、レコーディングのための調整が非常に難しかった。このレコーディングもすごく変なんだが、エリックがまず彼の奥さんのオリカをバッキング・コーラスに従えてスイスでこの曲を録音した。もちろん彼の素晴らしいギターも一緒に押さえたんだが、これが素晴らしく際立っていてね。歌同様にこのギターが彼のサウンドの要だな、と思ったよ。そしてそれが僕らのところに送られてきたんだ。大変だったのは、この時点でスケジュールがすごく押していてね。フィドルのショーンとコリンが、このトラックに何かを付け加える時間がなくってさ。でも僕らはフィドルはこの曲には必要ないんじゃないかな、って思ったんだ。で、ホイッスルをゴスペル・クワイヤに見立てて、エリックと一緒に歌わせるってのがいいんじゃないかというアイディアに行き着いた。なんというか、チャント風というか… 

で、僕とキリアンは、頭のダブル・ホイッスルのパートを録った。これを3回、幽玄なサウンドを重ねることで、歌が始まるとはとても思えない感じを醸し出している。ところが、そこにまるで共鳴するようにしてエリックのギターが入ってくるのが、ちょっとした驚きだろ? で、ちゃんとしたリズムに乗ってエリックの歌が始まるんだ。さらに僕らはバースとバースの間とか,最後のところなんかは、ダブル・ホイッスルのハーモニーを、長い音を演奏して重ねていく手法をとっている。そして真ん中のホイッスルは曲のメロディに捕われずに僕らの自由な解釈で演奏した感じになっている。基本的にホイッスル、そしてロウ・ホイッスル、そしてエリックだけのトラックであることは事実だ。それからトレヴァーが最後にブズーキをこのトラックに付け加えた。

(エリックってこんな感じのサウンド。確かにルナサとはだいぶ世界が違いますよね)



その3へ続く。

ルナサの新作『CAS』は、THE MUSIC PLANTのCDショップにて好評発売中。どうぞご利用ください。


豊田耕三さん、ソロアルバム発売。そしてレコ発ライブもあるよ〜

クリックで拡大します〜
O'JIZO、そしてケイリーバンドでもおなじみ、日本のアイルランド音楽シーンを牽引する豊田耕三さんがソロ・アルバムをリリース。そしてレコ発記念のコンサートを行ないます。

今回のアルバム、とってもユニークです。なんと1つながりになってるのだ…。ちょっとマーティン・ヘイズの世界よね。ご本人もインタビューで答えてらしたけど。

是非、皆さんもチェキらっっ!!!!!(ゼノギアスのコンサートがあって、私は行けない。悔しい!)


2018年3月27日火曜日

ケヴィン・クロフォード インタビュー ルナサ新作『CAS』について その1

さて、忙しいアメリカツアーの中、ルナサのケヴィンが私がメールで送った質問に答えてくれました。ケヴィン、ありがとう。

いや〜、意外な内容の回答も多く、すごく興味深いです。是非、もうすでにCDを手に入れられた方も、まだの方もお読みください。



★ ★ ★

今、アメリカツアーの最中なんだ。タイプするより早いから音声で回答するよ。質問をどうもありがとう。

まず質問の最初にあった、今回のヴォーカルトラックそれぞれについて説明するよ。

With Natalie Merchant from Lunasa fb page

ナタリー・マーチャントのトラック『The Bonny Light Horseman』だけど、この楽曲は、実は僕が彼女に提案した2曲のうちの1つ。他には『Donal Og』とかも提案した。

『The Bonny Light Hoseman』は、確かにドロレス・ケーンのヴァージョンが有名だけど、僕が彼女に聞かせたのは何年も前に録音されたアンディ・アーヴァインの歌うプランクシティのヴァージョンだ。





でもナタリーはそのヴァージョンに捕われることもなく、いつものようにまったく新しい彼女のヴァージョンを作り上げてくれた。出来上がったものは、プランクシティもドロレスも感じさせないまったく新しいものだったね。

彼女の歌の解釈はいつも強い信念に基づいている。歌い方も非常にダイナミクスが大きく素晴らしいものだ。僕らはこの曲のアレンジも彼女と一緒にスタジオに入って、一緒に仕上げていった。確かに事前に音源を送り合ったりもしたが、ちゃんと完成したのはスタジオの中だ。

レコーディングは、ニューヨークの郊外にある素晴らしい彼女がいつも使っているスタジオで2日間に渡って行なった。ウッドストックにあるDreamland Studiosというところだ。すごく素敵な場所なんだよ。だからすべてがとても素晴らしい経験だった。

最高の環境で録音されたんだが、CDから聞いてもらえるのは、完全なライヴ・ヴァージョンだよ。1発で録った。それが彼女のやり方なんだ。僕らは同じような経験を彼女の作品『Leave Your Sleep』で経験済みだ。だから同じように作業をしたんだ。みんなで丸くなって座って、何度かトライして、「よし、これで出来た」ってね。それが僕らのやり方なんだ。僕らは彼女がこのアルバムに参加してくれたことを、とても名誉なことだと思っている。

With Tim O'Brien from Lunasa fb Page
 ティム・オブライエンのトラック『The Water is Wise』。(ティムと最初に共演したのは東京のケルティック・クリスマスの時ですか?と聞いたら)確かにティムとバンドとして一緒に演奏したのは東京が初めてだったんだけど、僕たちのそれぞれがティムとはすでに演奏経験あった。 この曲はツアー中に生まれたものだ。2年前のアメリカツアーだった。

ティムには今回のツアーにも頭と最後のところで参加してもらっている。3、4年くらい前にティムが書いた曲で、今,話題の女性シンガーでマルチ・インストルメンタリストのサラ・ジェロースとの共作だ。



すごく元気があって、ブルーグラスのオールドタイムな雰囲気がある曲で、すごくリズムがいいだろ。僕らのアイリッシュのメロディもフィットしやすい。ライブでやってても、すごく楽しい曲なんだ。だから今回この曲を録音するのは僕らにとっては、とても自然なことだった。

これはナッシュビルでレコーディングされた。 録音したのは、だいたい1年くらい前かな。1年くらい前、やはり恒例の3月のアメリカのハードなツアー中にオフの日が2日あったんだ。だから僕らはみんなでナッシュビルに移動してジョニー・キャッシュが昔よく使っていたスタジオを押さえた。小さいけどすごく豪華なスタジオで、Butcher Shopって言うんだけど、そこでホントに朝のうちにレコーディングされた。 またもや曲を何度か通しただけで、まるで呼吸するようにして2テイク録って、それで終わりさ。難しいことも大変なことも1つもなく、とても楽しんでレコーディングできたよ。2テイクのうちの気に入った方に、ティムのパートナーのジャンが、バッキング・ヴォーカルを後から加えた。あとでトレヴァーがちょっとブズーキとかギターとかダブリンのスタジオで加えたみたいだけど、でもほとんどがここであっという間に録音されたものさ。僕らはスタジオの時間が大量にあまってしまったので、ここで数曲インストルメンタルの曲も録音した。『The Dregs of Birch』とか、スローな曲をね。おかげでだいぶ経費が節約できたよ。これは助かったね。以上が『The Water is Wise』の裏話。

その2へ続く。

ルナサの新作『CAS』は、THE MUSIC PLANTのCDショップにて好評発売中。どうぞご利用ください。


2018年3月25日日曜日

マイケル・ブース『限りなく完璧に近い人々〜なぜ北欧の暮らしは世界1幸せなのか』を読みました。

さすがだ。めっちゃ面白い。日本を食べ回ってた英国一家のパパ、マイケル・ブースによる北欧人論。メモっておきたい、いろんな言葉がたくさんあった。結構長い本ではあるのだが…

実は読むのにすごく時間がかかった。冒頭のデンマーク論を呼んで、その後、絶対に読まねばならない仕事の関係本がたくさん出て来てしまい、途中ほおっておいたのだ。で、やっと先日全部読み終わった。めっちゃ面白かった。さすがの内容である。翻訳も素晴らしい。前の「英国一家〜」もこの先生だったかしら。(調べたら違う人だった)マイケルさん、あいかわらずいろいろこの本にも自虐ネタを盛り込んでいるのだが、きっとチャーミングな人に違いない。この本を読んで、北欧の人たちはすごいと思うと同時に、ホントに英国人とはマニアックで、深く、あれこれ共感できるすごい人たちだよな、と思う。ま、それはさておき…

最近世界に吹き荒れる「北欧・最高に素晴らしい論」には、私も少々辟易している。そんなに手放しで感嘆して良い事なのか。北欧の素晴らしさは、彼等が悩み、考え、試行錯誤の上で得られた素晴らしさだ(石油が出たノルウェーはラッキーだったとして。それにしたって彼らの日々の勉強と努力があるからこそバランスを失わずに正気をたもっていられるのだ)。選挙にもいかない国民が無責任に羨ましがるんじゃねぇ!と思うのは、私だけか。と、まぁ、知れば知るほど分かる「幸せになるには、こんなに努力しないといけないのか」って。そして、知るのだ。この地球上に安直な楽園など,存在しないことを…

ウチが最初の北欧のアーティストを手がけてたぶん15年くらい。そんな中で、自分も多くのサンプルを知っているわけではないのだが、それでも北欧の知り合い/仕事仲間は、普通の日本人に比べたら、やはり多いほうだろう。私が仕事上で北欧の人たちと接していて思う事と、照らし合わせ、また新しい発見もあり、とにかく面白く読めた。

例えば冒頭のデンマーク。私はそんなにデンマーク人を知っているわけではない。おそらく…全部で合計10名にも満たないのではないだろうか。いや、10名はいるか…。あ、あとグリーンランドに住んでるデンマーク人もいるから… 20名くらいは合計でいるかもしれない。その彼等に共通していること。それは「すごくいい人たち」だということだ。おそらく… おそらく性格の良さで言ったらデンマーク人は、どの国民性と比べてもピカイチではないだろうか。いや、私もいろんな国を知っているわけではない。でもこれとは別の本にも書いてあった事だが、外国人が道に迷い、行く先を訪ねる時、ほんとに親身になってくれるのは日本人かデンマーク人だ、と。特にデンマーク人はたずねた人が行った先に無事に到着したか確認の電話まで入れている!?らしい。

心に残ったのは、デンマーク人の幸せ度は北欧の人なら誰でも持っている「人生あきらめ度」みたいなものがベーシックになっている、という事。ひたすら謙虚であれと説く「ヤンテの掟」。そしてその上で自分たちは「幸せでならなければいけない」と思っている、ということ。デンマーク人は明るく、年齢、社会的階層、人生観にかかわりなく人と仲良くなれる才能を持っている。人間関係の密度が高く、みんながみんなをよく知っていて、お互いをとても信頼している社会だからこそ、それは可能なのだ。

しかし私も初めて知ったことだけど、意外なことに一般的なデンマーク人は実は年収の3倍にあたる負債をかかえているという。これはポルトガルやスペインの2倍でありイタリアの4倍。貯蓄をしたがらない(またその必要がない)という性格(状況)もあるのだろうが…。そしてデンマーク人は怠け者でもある、という話にも笑った。先延ばしの名人でもあるというところにも…。確かにそうかもしれない。そして54%のデンマーク人が「死ぬのは怖くない」と考えている、ということも。とにかく幸せな社会。彼等にとって平等ということは非常に重要で、平等な社会の実現に努力を惜しまない。実際、不平等な社会が生むリスクは計りしれないと考えている、など(これは確かに納得だ)。

そして国は変わって、私はほとんど縁がないアイスランド。アイスランドにいたっては知っている人は二人くらいしかいないかも… フェローを(本国ではなく文化が似ているという事で)アイスランドの方にくくれば、そこに2人追加かな。こここそ、それこそとても緻密で緊密集団をなす北欧の国である、とマイケル氏は説明する。が、そこにアメリカからの影響というものが入って、奇妙なハイブリット社会を形成している、とも。これもなかなか面白かった。

そしてノルウェー。ノルウェーは、私は4、5回行っているかもしれないが、自分はよく知っているとはとても言えない。サンプル数は10名以下といったところか。しかもノルウェー男性はたった1人しか知らない。だからその私が何を言う?という感じなのだが、ノルウェーに対する私の印象といったら「とにかくお金持ち」に尽きる。そして物が高い。それは他の北欧諸国からみても群を抜いている。ノルウェーは石油が出ることで奇妙なバランスを見いだした国だ。昔は貧しくて田舎だった。この本を読むまで知らなかったが、油田獲得も実はけっこうなデンマークとの攻防が繰り広げられたらしいし、ある意味間一髪だった、という部分もあるらしい。そして最終的に運良くノルウェーがゲットした北海油田は、常に「もうすぐなくなる」とか言われながらも、新しい鉱脈を発見され、当分安泰のような様子を醸し出している。かつてはデンマークそしてスウェーデンから支配されていたノルウェー国民。彼等は自分たちの国を愛し、建国記念日には、みんなが民族衣装を着て盛大に祝うという。(一度も占領されたことのないスウェーデンはそんな恰好をするには自分たちはモダンすぎると考えているし、フィンランド人は静かにテレビでも見てすごすだけだ)一方で、あのオスロ出身の人種差別主義者による無差別テロが起きた時も「より開かれた民主国家になる」と宣言した首相は立派であった。ノルウェー、えらい!!

それにしてもこの本に言われるまでもなくノルウェーの金持ち度はすごい。世界最大のファンドを持ち、それも国民1人あたりではなく絶対額においても世界1。アブダビを抜いて今なお成長を続けていて、ギリシャ政府の債務を2度精算してもおつりがくるほどの規模だ。だがしかし、ノルウェーが偉いのは、真面目に今日にいたるまで経済学者の忠告をまもり、国内で使う額を4%にとどめ、それ以外をすべて国外に投資している、という事だ。それがホントにすごい。ノルウェーは貧しい国だった。そこに奇跡の1発あたってしまったが、それでも正気をたもっている、というのは本当に賞賛に値する。しかし一方で、クリーンなエネルギーで国を作りたいというノルウェーにとって、油田は大きな矛盾の源でもある。うーん。

そしてフィンランド。フィンランドについては私はこれらの国の中で一番友人や知り合いが多く(もしかしたら100人以上いるかもしれない。数えたことないけど!)、抱えているバンドもたくさんいるし、もっとも大好きな国の1つだ。フィンランドのいいところだったら、私もたくさん語れる。合理的なところ(ある意味、適度にドライでそれも気持ちがいい)。そして努力家なところ。これはほんとに見習うべきだ。一方で、マイケル氏に教えられるまで、これは知らなかったことだが、銃の所持率が世界で3番目に高く、自殺が本当に多い(が、これもここ10年くらいで克服しつつある)ということ。そしてマイケル氏もカウリスマキの映画が大好きなようだ。そしてフィンランド人のサウナへの熱い情熱(笑)。またなぜフィンランド人の口数が少ないのかについて、マイケル氏は「フィンランドのようにハイコンテクストな国では、人びとはみな同じような経験、期待、背景を持っている。遺伝子まで似ている。だからわざわざ言葉によるコミュニケーションを取る必要がない」と説明している。なるほど! 逆に饒舌な人は返って信頼されないとまでいう。お酒を飲んでハメを外す人が多いのもフィンランド。そして「スィス(Sisu)」(フィンランド根性)の話などなど。

歴史観も勉強になった。ナチスと手を組んでソビエトと戦ったことなどは、今から考えれば褒められることがないかもしれないのだが、あとから振り返って批判するのは簡単だ、とマイケル氏はフィンランドを擁護する。フィンランドはその時点で自分たちの自由を守るために、一番役に立つ相手と組んで戦って来た、ということなんだよ、と。そして戦後アメリカと組まなかったのも現在の成功の秘訣だ。これはとても重要なことだ。

あ、あと面白かったのは、数年前にフィンランドの国際的イメージをアップするために、フィンランドの有識者が集まって国のブランド化委員会が結成されたのだという。 そこでなんと登場してくるのが、私もよく知っているMusic Export Finland(今はMusic Finlandという)のポーリナ・アホカス(私たちはパウリーナと読んでいたが本ではこのように表記されている。現在は確かすごい音楽ホールの館長さんに就任されているはずだ。堂々としたかっこいい女性だ)そしてさすがパウリーナ。発言がふるっている。「もし、今ゼロから1つの国を作ろうと思ったら、それはフィンランドになるでしょう」「フィンランドは奇跡です。でもそのことを誰も知りません」「フィンランド人の握手は世界で1番信用できる握手です」(マイケル氏に飲酒の話題を持ち出されて)「たしかに飲酒問題は(国のイメージの向上のための活動の)足をひっぱってますね。でもクレイジーでいながら信頼もされるって、嬉しいものですよ」と。いいぞ、パウリーナ!

しかしこの本では、フィンランドの飲酒問題はことの他、強調されている。ちょっと擁護のために言っておくと、ウチのミュージシャンや関係者にお酒の問題がある人はまったくいない。というか、数人いるが、その人たちは現在は完全にお酒を辞めている。それにしてもフィンランド人は、私が知っている中で、もっとも日本人に近く、素敵な国民だと思う。そして酒癖が悪いと聞くと,やっぱり日本人に似ているよな、と思ってしまう…

もちろんフィンランド国内でいまだに強い力を持つスウェーデン系の人々についての言及もあり。フィンランドとスウェーデンは実はお互い完全になるために、お互いを必要としているのだ、と話すおじさんの話はおもしろかった。フィンランドは国境を守って来た。フィンランド人の真面目さや地に足のついた生き方を、スウェーデン人は羨ましく思っているはず。スウェーデンは逆境にさらされた経験も少なく、しかも現在スウェーデンで活躍しているアーティスとや作家はみな移民で、いわゆるダイナミズムにかける社会になってしまっている、と。スウェーデン人は気取り屋で自分たちの手を汚さない。フィンランドをけしかけてロシアと戦わせて、自分はボスニア湾の対岸からハンカチを振っているだけだ、と。そしてフィンランドとスウェーデンの陸上大会では「フィンランドが勝つこと」よりも「スウェーデンが負けること」それを多くのフィンランド人が心待ちにしているという(爆)。あ、あとフィンランドは、女性が強い社会である、ということについても言及されてました。確かにそれは事実だね(笑)。私が感じた中でも政府系の大きな組織の重要ポスト、政治家、会社の重役… ホントにかっこいい女性が多い。

本はもちろんスウェーデンについても語っている。私は、スウェーデンについては、実はよく知らないのだ、結局のところ。知ってるのはヴェーセンの3人だけで、それに付随する奥さんや元奥さん、彼女や元彼女たちしか知らない。あ、Music Swedenの人と、Droneの創業者も知ってるな… そのどちらも男性だけど。何度か訪ねたことがある国だけど、なんかイメージ的に「薄い」のよね… ガムラスタンは可愛い町だけど。で、スウェーデンといえば、やはりポップ・ミュージック。スウェーデンは音楽の輸出においては米国と英国についで世界第3位。スウェーデンには薄っぺらいティーン向けのポップスを乱造する才能に恵まれた作曲家やプロデューサーがたくさんいる。(これ、マイケル氏の選んだ形容詞、です。私じゃないよ/笑)

あと登場したスーザン・ソンタグ女史のスウェーデン論が面白い。「スウェーデン人は不器用で人を信用しない。規制にとらわれた人たちで、言うまでもなく人間ぎらいのアル中だ」ってのにも笑った。「合理性にも間違いなく欠陥がある」と。ソンタグ女史の耐えられなかったスウェーデン人の資質は、彼らが無口で表現力に乏しく内気なところ。しかし彼らは常に相手の話を熱心に聞く、聞き上手である、とも説明している。言ってみれば、衝突を回避しようとする文化だという部分には、非常に納得した。例えば大企業において大勢の人間が長期間にわたって同じ方向で頑張る、という状況にスウェーデン人の性格はとても向いている。だからスウェーデンの大企業は世界的に成功を収める。一方でデンマークは機敏で反応の早いリーダーにひっぱられた中小企業が成功するパターンが多い、というのには、なるほど、と唸った。

あと笑ったのは、スウェーデン人の家に呼ばれた時、果たして靴を脱ぐか問題。「自分の足の状態が他の人と同じかどうか確認できるまでは玄関より奥にすすんではいけない」ってのには、爆笑。確かに。また時間に遅れることは絶対にいけない。乾杯の時、グラスとグラスを当ててはいけない…など。時間に遅れないのは、確かにヴェーセンの場合、絶対にありえない。でも乾杯の時、グラスをカチンとあわせたかな… もう記憶にないや… でもヴェーセンの3人しか知らないのに、こう言ってしまうのは何だけど,スウェーデン人は何かと私にあわせてくれて、彼らの来日中はホントに私は自然体でいられるのだ。これは他のミュージシャンでは絶対に不可能だ。だいたい海外から人がくれば、ついつい自分の視線も外国側によりがちになり、自分の中のすべてが「アーティスト来日中」というギアに入るのがわかる。アドレナリンが出る、とも言うべきか…。でもヴェーセンの場合、私は私のままでいられる。それってすごい事なのだ。ま、ヴェーセンの話はこのくらいにしておいて…

話がそれた。あとエレベーターの実検にも笑った。スウェーデンでは、エレベーターには1人で乗りたがる人種だ、と。しかし電車に乗る時は、何故か非常にお行儀が悪く、人を押しのけてでも載らないといけない、ともあった。そして移民の話もおもしろかった。1党による政治(スウェーデン民主党)が続く国。そして極右政権に対する態度も非常に勉強になる。彼らとの距離の取り方。これは、私は一方で「フェアじゃない」と思いつつも、読みすすめるうちに、このスウェーデン方式の方が実は正しいのではないかと思うようになった。スウェーデンでは、極右政党に自分たちの政策の説明の時間を与えないどころか、CMも流させない(彼等はそれでもYou Tubeなどでがんがんキャンペーンをするのだが)一切メディアでは取り上げないのだという。一方のデンマークでは、メディアはフェアでなければいけないと考え、彼らにも彼らの主張の発表の場を与える。機会の平等や真の民主主義とか…という観点で、つまりどんな意見でも、一応意見を聞こうというスタンスなのだ。一方のスウェーデンは、彼等の存在自体を許さない。いろいろ思うところはあれ、これはもしかするとスウェーデンの方針の方が正しいのかも…と思った。 そして移民の話題も面白かった。移民がすでに全人口の1/3をしめるスウェーデンは、北欧の中でも移民の受け入れ度はNO.1だ。しかし一方で、スウェーデンは全体主義国家だ、とする人もいる。これは黒歴史といってもいいのだけど、1922年にウプサラに出来た人種生物学研究所では金髪青い目の人以外は不妊手術をうけさせられたという話もある。あとトランスジェンダーで新たに獲得した性で認められるには、不妊手術をしなくてはならない等々。この法律はなんとビックリすることに、2013年まであった等々。しかしいろいろあるにせよ、スウェーデンにおいてはとにかく自己完結や自立が重要。ドゥクティ(賢くきちんとしている)ということは非常に重要。人の助けはいらない、という感覚。それを国が後押ししているのだ、という話。本当に興味深かった。

あと面白い事にマイケル氏もスウェーデンにはレディファーストがない、と驚いている。これは実は、私もスウェーデンに初めて行って感じたことだ。扉を開けておいてもらったり必要以上に親切にされる必要はまったくない。でもそれがめちゃくちゃ気持ちいい。というのも、私たち女性は、この社会では充分自立しているのだから(笑)

そして最後のマイケル氏は「北欧幸福論においては、やはり人生を主体的に生きられるかどうか。自分の運命を自分で決められる贅沢があるかどうか。親とは別の職業を選ぶ自由(流動性)があるかどうか」だという事を強調している。アメリカでは残念ながら本当の「アメリカン・ドリーム」は実現していない。が、スカンジナビアにおいては、自分の生き方を決める自由、そして職業の流動性などが存在する。ここに「アメリカン・ドリーム」があった、という事だ。これは認めないといけない。


久々に音楽業界に前向きな風?


いいねぇ〜

これ、めっちゃ分かる。最初に「やる」って決めるのよ。そうするとやれちゃうのよ。いつぞや友人が教えてくれた、ジブリの鈴木プロデューサーの発言だという「退路を断つ」というのと一緒だな。「退路を断つ」。やるって決めないから、みんなウダウダしてるんだな。

上司(この場合はアメリカ)の説得? そんなの着実に歩んだデータを見せれば説得できる。みんな無責任にものをいってるだけなんだから。(参照「上司は思いつきでものを言う」)

社員とか契約社員とか、自分は分からないけど、それでも家族がいる人だったり、組織で働いている人には必要なことなんだろうか。そこは理解できないが、それでもリーダーの役割は組織の力をなるべく多く引き出すことなので、それが実現できているのであれば素晴らしい。頑張れ、ユニヴァーサル・ミュージック! 音楽業界というか、大きなレコ社の社長がこういう考えを話すのは,非常に意味がある。というか、すごいと思う。いいぞ!

それにしても、日本には欧米型の成果主義はあわないんだね… なんとなくいろいろ考えるよ。

先日も実は東京の職場を定年退職され、まったく新規事業にかかわるというおじさんの集まりに参加し、そこで後ろ向き発言を連発する爺さんに頭に来ていたところであった。なんであんな事をわざわざ口に出して言うんだろう。言葉には気をつけてほしい。

そして、また、こんなのにも要注意。すごく考えさせられた。「正論は人を幸せにしない」というのと一緒に覚えておきたいね。

さて、今日は日曜日。でも自営業は働くのです。久々に事務に集中できる1日。張り切って行きましょう!

あ、あと、こんな動画も紹介しておきます。ミニ・リズ・キャロル(笑) すごいね。

2018年3月24日土曜日

フランスな週末〜

パトリックと打ち合わせ。こんなのゴチになった❤ さくらの香り、春の味〜

春のガレット。いつも新宿のブルターニュ屋さんにて。

アンスティチュ・フランセではフランス語圏の国々を集めたお祭りが

スイスのラクレット他




よく知らない食べものや飲み物がたくさん

雑貨も楽しい!!

スイスの男女デュオ。もちろん、フランス語で歌うよ



ウチの「江東フランス祭」も、チラシおいていただいてます〜


子供にせがまれてドラエモンを書いて上げたイラストレーターさん




そうか、チュニジアもマリもフランス語圏

ほんとはのんびり来てワインとチーズでゆっくりしたいところでしたが…

急いで帰宅して、また仕事。お花見もゆっくり出来ないな〜

しかし改めてフランスってすごい国だな、と思った。ポーランド勉強しても何しても、フランスがすべての文化を受け入れ、サポートしてきた。それは、もちろん植民地趣味みたいなものも含まれていたのだろうけど、改めてフランス、すごいよなぁ、と思うわけです。

で、ウチの江東フランス祭。詳細はこちら。

ちなみにこのチラシの右に写っているシードルの写真は、ブルターニュ屋さん(神楽坂店)にて私が撮影したもの。

2018年3月23日金曜日

2018年3月22日木曜日

リアム・オフリン物語(CD2タイトル、ショップに入荷しました)

リアム・オフリンはパイプをセッションからコンサートホールへと導いた人、そしてレオ・ロウサム、ウィリー・クランシー、シェイマス・エニスからの伝統を引き継いだ人。

キルデア県キルに1945年、クレア出身のお母さんのメイジーと、ケリー出身のお父さんリアムの元に生まれた。2人とも音楽好きだった。お母さんはとにもかくにもクレアの伝統でつながれている人だった、とリアムは回想する。彼女はジュニア・クリハン(有名なフィドル奏者)の従姉妹で、音楽的に故郷とつながっていたばかりではなく、親戚同士すごく仲が良かった。ホリディというとクレアのミルタウン・マルベイに繰り出し、そこでお母さんはピアノを弾き、またかつ彼女は素晴らしいシンガーでもあった。リアムは弟のミホール、そして妹のモーリンとともに伝統音楽が大好きになる。

父はケリーのトラリーに住んでいた人で、彼は彼でディングルととても強いコネクションがあったという。お父さんはフィドル奏者。お父さんのお父さんもフィドル奏者。そういう家系。リアムのおじいちゃんは学校の先生として働いていたそうで、Traveling School Teacher(timire Taisteal)とリアムは説明する。その息子であるリアムのお父さんは、国家試験を受けて、正式な学校の先生になり、それでも休日には音楽の演奏が楽しめるようなライフスタイルだったそう。

ダブリンのフィドル奏者トミー・ポッツや、キルデアのパイプ奏者ショーン・デンプシーなど、毎週毎週、家にはミュージシャンが集ってセッションするような環境。子供のころから家の台所で行なわれているセッションを少年リアムは、ベットルームの扉をあけてベットの中で楽しんでいたのだった…

少年リアムは、また同じ年の子供たちと同じようにラジオ・ルクセンブルグにも夢中になる。でも伝統音楽は常に彼の心をとらえて離さない。ティン・ホイッスルが彼の最初の楽器となったのだが、それは6歳か7歳ごろの話。

ディングルからニューブリッジに引っ越した一家。リアムはそこでパイプに出会う。それはニューブリッジの警察官トム・アームストロングというお父さんの友人。そして10歳か11歳ごろリアムは最初のパイプを手にする…

リアムはパイプの巨匠レオ・ロウサムと出会います。お父さんが、クリスマスプレゼントに、とリアムにレオのレッスンを経験させてくれたんだって…。そしてそのレッスンはリアムが17歳になるまで続いたのでした。

「あんなすごい巨匠が自分の最初の先生だったとは、僕はラッキーだったとしか思えない。おそらくレオ・ロウサムは、20世紀最高のパイパーだっただろう。いや、もしかしたらすべての時代においても最高のパイパーだったかもしれない。とにかく完璧な先生だった。リードを作るのもとても上手だった。とにかくパイプは複雑な楽器だったので、レオのような先生に学び、矯正されることは非常に重要だったんだ」

「パイプは演奏するのが難しいと同時に、リードや数々のメンテナンスもあって、パイプは本当に大変な楽器なんだ。本当に自分のすべてをそこに捧げないと物にすることが出来ない楽器。ちょっと演奏して、またしばらくのブランクのあとに戻ってこれるような楽器でもない。とにかくすべての時間、すべてを捧げないといけない楽器だ。レオは本当に僕にすべてを教えてくれた」

「伝統を次の世代に引き継ぐというのは非常に重要な仕事だ。僕たちは先生と教え子という関係だったけれども、かしこまった関係ではなかった。それは僕が受けていたピアノのレッスンとはだいぶ違っていた。まるで僕らは父親と息子のような関係で、僕は彼が先生でうれしかったし、彼も僕のような熱心な生徒を持ってうれしかったようだ。レッスンは毎週金曜日の夜6時から7時まで行なわれたが、レオはラジオの録音もあったので、いつも練習用ではなくフルセットのパイプを持ってきてくれていた」「僕はこのレッスンをさせてくれた両親にとても感謝している。特に父はこのために僕を車にのせて送り迎えをしてくれていた。僕はレッスンに行くのが大好きだった」

「クラダーレコードの創始者のガレス・ブラウン(ガレスの事は「チーフタンズ物語」も参考にしてみてください)のことはよく覚えているよ。彼はパイプの大ファンでね。RTE(アイルランド国営放送)のブロードキャスターがガレスと一緒にいて、ガレスが、このブロードキャスターに僕を録音するように強くすすめたんだ。それが僕の最初のラジオでの演奏になった。僕はまだ12歳くらいだったけど、この時はコンペティションに参加していたんだ」「自分の演奏が翌週の日曜日、ラジオで流されて、僕はすっかり舞い上がった」「このブロードキャスターのキーランは、僕をいろんな伝統音楽のミュージシャンたちに紹介してくれた。彼は誰が世界1のフィドラーで、誰が世界1のパイパーかなどと自分の考えを押し付けることもなかった。気取ることもなく、本当に素晴らしい人だった」

またリアムのクレア州へのコネクションは、ウィリー・クランシーというまた別の素晴らしいパイパーへとつながっていった。ウィリー・クランシーはすぐれたパイパーであるというだけではなく、アイルランド伝統音楽の文化を担ったアイコンのような存在だった。「ウィリー・クランシーは本当に最高の人だった。とても優しくて思慮深かった。ユーモアのセンスも抜群で、彼のことを悪く言う人など誰もいなかった」現在ミルタウン・マルベイは、ウィリー・クランシーのサマースクールが開かれ、毎年世界中から多くの生徒が音楽を学びに集まってきている。

17歳頃、リアムはのちのバンド仲間となるドーナル・ラニー、そしてクリスティ・ムーアらに出会うことになるプロスペラスという町のPat Dowling's Pub、そしてDowning houseの地下室に通うようになる。そこでは伝統音楽の最強のセッションが繰り広げられていた。ここで、まずリアムは第3の師匠であるパイパーのシェイマス・エニスに出会うことになる。 シェイマスは当時ラジオで伝統音楽を紹介していたりしたので、シェイマスがパブにやって来るというニュースを聞いた少年リアムは伝統音楽の巨匠に会えるのを楽しみにしていたのだ。

「パイプの奏法には2種類あると思う。いわゆるスタッカートなCloseと呼ばれるスタイル。もう1つはレガートな、オープンなスタイル。エニスは、この両極端な2種類の演奏をうまくミックスさせて演奏していた。彼のスタイルは彼より古い世代のパイパーたちをすべて合成させたスタイルだ。彼自身もそう説明していた」

「シェイマス・エニスは素晴らしいミュージシャンだったか,同時に音楽の背景に対する敬意を忘れない人だった。40年代、50年代に彼はたいへんな量の伝統音楽を採集した。30年代から50年代にかけてイーリアン・パイプの演奏家は本当に減少してしまったが、それでもこの楽器は、レオ・ロウサムやウィリー・クランシー、シェイマス・エニスたちのおかげで生き残ることが出来たんだ。68年「イーリアンパイプ協会」が設立され、それはこの楽器が生き残るために非常に重要な組織となった」

「シェイマスはパイプが生き残るためにはCCEよりも小さい独自の組織がパイプの演奏者たちだけによって組織される必要があると分かっていたんだね。彼は正しかったと思う」

シェイマスが演奏していた130年前の楽器は、のちにリアムに引き継がれることになる。そしてリアムはPubや地下室で一緒に演奏していた仲間たちとプランクシティとなるべきバンドを結成するのだった。これは、また別のお話(笑)

プランクシティのその後についてはこちらにも少し書きました



泣ける。ドキュメンタリー。3分ごろに出て来るのはお父さんのリアム・オフリン。このとき、まだご健在だったんですね… 



プランクシティのドキュメンタリー。



R.I.P. リアムありがとう。



リアム・オフリンのCDはこちらで販売しております。
OUT TO AN OTHER SIDE
THE PIPER'S CALL 

2018年3月21日水曜日

トム・ムーア R.I.P.


トム・ムーアは、アメリカ人。アイルランドに移住してきて、アイルランドでバンドを結成した。よくメアリー・ブラックが「私たちは何百万人とアメリカに送りこんだ。アメリカはたった1人、こっちによこした。それがトム」と紹介していたっけ。

メアリー・ブラック、ヒット曲の1つ「カロリーナ・ルー」を書いた人。



イメルダ・メイとチーフタンズ(笑)が同曲をカバー。



名曲Still Believing。70年代、トムはアイルランドでMidnight Wellというバンドを結成した。



この曲はモーラ・オコンネルのカバーがいい。



Still Believing。名曲だ。



もう1コ、トムの70年代のバンド、パンプキンヘッド。こっちはよく知らないけど…



それにしてもMidnight Welはアナログ盤を手に入れて,当時よく聞いた! この曲とか大好きだったなぁ。



2004年の記事。 あれから30年。今でもトムは信じてる… Down on my knee again,  Still believing...

2018年3月20日火曜日

バルトロメイ・ビットマン、CDジャーナルさん、ラティーナさんに掲載いただきました!

CDジャーナル/大谷隆之さん ありがとうございました!!

ラティーナ/原典子さん、ありがとうございました〜
皆さん、ぜひ読んでくださいね!
2人のパブリシティは、5月頭まで、まだまだ続きます〜 


ジョアンヌの新しい映像、到着 ゼノギアスの思い出



この馬、ホントに自分の馬らしいんですよね。いいよぁ、かっこいいなぁ! もうすぐジョアンヌがやってくる。先日コンサートのセットリストをプロダクション・チームから送ってもらったのだけど、もうそれみただけでウルウル… 皆さん、泣いてください! っていうか、光田さんが一番泣きそうだなぁ(笑)大丈夫かなぁ、みっちゃん。泣き過ぎて、目が溶けちゃうんじゃないかしら。

ゼノギアス、20周年コンサート。本当に楽しみ。20年前か… 私のコーディネイトとかいって、もう全然なってなかっただろうから、光田さんにはいろいろ迷惑かけてたんだろうな、と思う。そしてそれが20年後にまた戻ってくるとは思わなかった。素晴らしいよね。

20年前、ジョアンヌは光田さんのご指名で、私は単にマネジメントに連絡を取って、交渉しただけだった。それ以前アイオナというか「イオナ(ポニー・キャニオンはそう表記してた)」については、よく知らなかった。レコーディングのためにジョアンヌは、自宅(ベルファーストの近く)からスタジオがあるダブリンにやってきた。 前日の夜にダブリンに到着し1泊して歌って,その日のうちに帰る、みたいな日程だったように思う。

何年かたって私がレーベルをはじめてしばらくたった時、「おっ、アイオナが新譜出してる」って思って、そのCDを輸入して売ったら、ものすごく売れた。で、これはほおっておくのは申し訳ないと思って来日を決めたんだ…。なんか1人でレーベルやってて1人で儲けるのも居心地悪くて(笑)。で、その出来た予算でバンドを呼んだ。それは私の初めてのロックバンドの来日だった。初めてキーボードとか、ドラムとか手配して、ビビった(笑)舞台監督の海老原さんが手取り足取り全部教えてくれた。で、ジョーは「(他のメンバーより)1日早く日本に行く!」って言って、張り切ってみんなよりも1日早く東京にやってきたんだけど、あの時、1人目の子供の妊娠が分かって、つわりで超具合が悪い(笑) それでも2人で鎌倉に観光に行ったっけ… 不安定な時期だったと思うのだけど、ジョアンヌはツアーをキャンセルしないで来日してくれた。本当に日本に来たかったんだと思う。その日の夜、日本に到着したバンドのメンバーに「妊娠した」って報告するのに、私も偶然立会ったのだけど、みんな一瞬シーンとなって(バンド、どうしよう、みたいな感じだったのかも…)、それでもトロイが即座に「おめでとう,Great News」って言ったのが良かった。そこから男の子たちは、ジョーを腫れ物を扱うかのように気を使った。ま、ほんの4日間くらいのツアーだったけどね…。楽しかったなぁ。ジョーは具合が悪くて可愛そうだったけど。

と、まぁ、そんなのは最初のツアーの思い出。アイオナも今はもう活動を辞めた。ま,これ以上続けても、あのバンドはどこにも行かなかっただろうから、正しい決断だったと思う。よく2回も日本に呼べたよ。そして今回のジョアンヌの来日。楽しみ! 桜には間にあわなかったけど、天気がいいといいね。

あ、あの時の「ゼノギアス」のレコーディングで思い出した事がもう1つ。ダブリン滞在中、私は「おっ、ジョン・マクシェリーがライブやってる」と思って、前年にクールフィンで出会ったジョンに会いに、皆を引き連れてハーコート・ホテルにSean Smyth Trio Featuring Micheal McGoldrick and John McSherryというコンサートを見に行った。かっこよかったけど、私は疲れていたのでコンサートの途中でホテルに戻った。光田さんは瞳をウルウルさせながら「このバンド、すっごくかっこいい!!」って言って、1人で最後までこのバンドを見ていったのよ。

それから1年くらいたってルナサのマネージャーから「このバンド、新しく始めたんだけど、ぜひ日本に紹介してくれないか」とルナサのファースト・アルバムが送られて来た時、「あれ、このバンド、あの時のバンドだ」と思ったのだった。光田さんはすごい。さすが持ってる耳が違う。私はこの時のコンサートはそれほど記憶になし…(笑)ここからまた新しいストーリーが始まったのだった。ま、それはまた別のおはなし。こうやって人生には、いろんな道が用意されている。どれも誠意をもって追いかけていれば、いつかは実るということか…



さて今日も張り切ってまいりましょう〜〜

アンナ・マリア・ヨペック&クローケ来日中

ポーランドを代表する女性シンガーのアンナ・マリア・ヨペックがクローケを伴って来日中。彼女はパット・メセニーとの共演がよく知られているかな…



私はポーランドのジューイッシュ・バンド、クローケの方にどちらかというと興味があったのだけど、彼女のパワフルな歌声にしびれました。いや〜、良かった。



トップクラスのシンガーだったし、トップクラスのバンドだった。セットもよく練られていて、あっという間の1時間。まだ火曜日の今日も公演があります。18:30〜 21:00〜
詳細はこちら!



しかし同じ伝統音楽バンドでもクローケとウチのバンドじゃ、全然違う。というか、クローケ見てたら、ウチのバンドのキャッチ・フレーズは、やっぱりこれにしよう、と決まった(心の中で)。ウチのバンドに比べたら、クローケとかいって、めちゃくちゃ洗練されているわ。ウチのバンドの来日は来年の6月です。

いや〜しかし良かった。世界広しといえども、これだけ歌える人は、そんなにいないね…

2018年3月19日月曜日

フィンランドで生きていくには…


フィンランド大使館がやってるこの「大使に質問」シリーズ。いいね! で、ちょっと前に大使館が、これ用の質問を募集していた時、吉祥寺のカフェ・モイの店主さまがこんな質問をあげていた…
さすが! めっちゃいい質問である。

しかし時々思うのよね。たま〜に、区とか地方自治体とかの公の機関で主催されている「大使に聞こう」「大使館職員来場」みたいなイベントに行くと、そこは暇をもてあましている後期高齢者の巣窟になっており「私はどこどこに移住したいんですけど、どうしたらいいでしょう」みたいな不躾な質問が飛ぶ時…

おいっっ、みんな自分のことしか考えてないだろ!?(笑)自分は働いて退職金もらって引退して、それでも老後(あと何年あるんだ?)が不安だから、福祉が充実した国に行きたいと、その国の税金払ってるわけでもないのに不しつけな質問を投げる。つまり、自分が何を得られるかが重要で、その国に対して実際自分が何が貢献できるのかまったく考えてない! まぁ、爺さんたち(そう、圧倒的にそういうのは男性が多い)だからしょうがないのか…とも思うが、なんとも…である。

大使館の人にそんな事を直球で聞くなよ、と半ば呆れながらも、職員の皆さんはそつなく質問に回答する。厳しい事言う人なんかいない。みんな大人だよなぁ。もっともそれが外交官の仕事と言えば、それまでだけど、私にはそういう仕事は絶対に無理!とか思っちゃう。

日本は地震の恐怖を感じながらも原発が50以上もあって、今だに死刑はあるし、政治家は汚いし、ほんとにホープレスだから、外国の方がよく見えるのは当然である。確かにヨーロッパ、特に成熟した社会を獲得した北欧に行けば、日本いると感じるみたいなストレスは感じなくてすむだろう。が、だからといって、この地球上に天国など存在しないのは、その北欧諸国がまざまざと見せつけてくれているのだ。

ま、そんなことはさておき… とにかく外国に住むということは、その国をよく知っている人ほど「私には無理」って思うのではないかと思う。(やっぱりそれを超える「愛」が必要だよな。嫁にいくのなら、まぁ考えられなくもないのかもしれないが)

ちなみにフィンランドで暮らしていくのに必要なこと。それを私が大使に代わって回答すると、「諦めること」「自分が他人よりすぐれていると思わないこと」だと思う。というか、もっとちゃんと説明するとしたら「謙虚になること」。いや、ほんと、それ大事です。日本に住んでいととしても。しかしおそらくオレのようなガツガツした人間にはきっと北欧は無理である。とはいえ、謙虚、謙虚といいながら、彼らはやるべきことはちゃんとやっている、ものすごい努力家な人たちである。もっともらしい企画書を書いて、補助金や税金をいかににして自分たちに有利に使うかということについては、非常に長けている。対して実力もないのに、そういう作業が得意な人たちが、ある意味これらの国では有利なのも事実だ。それも、なんだかちょっと???と思ったりもする。が、それが国というシステムの基本ではないかと言われれば、それはそうね。正しいよなと思う。でもオレにしてみたら、やっぱりなんか違うと思う。

ま、どこに住んでも一長一短。でもホントに小さくて機動力のある国が羨ましい。日本は人口が多すぎるのが、そもそもダメなのだ。フィンランドとかいって、人口は北海道くらいしかないのに、かたや北海道、かたやフィンランドである。問題はどこに住むかではなく、自分が何をするか、だ。フィンランドはしかし北欧の中でも、私は大好きな国です。とにかく彼らは努力家だ。コツコツした小さな努力は決して無駄ではない、ということを、国をあげて説明してくれてる。問題は、それを自分がどう取るか…だ。

こんな記事も。


 そしてこちらも必読。「民主主義のお客様」。まったくその通り。

映画『聖なる鹿殺し』を見ました。謎は深まるばかり…


不思議な世界観の映画でした。これを「ホラー」と世間では呼ぶのだろうか。でもニコール・キッドマン、そしてコリン・ファレルと好きな俳優さんたちが出てたし、若くて不気味な少年役を演じる彼は、これまた最高に不気味だった。サイコ・スリラーは大好きだから見たけど、正直私の理解できる映画じゃなかったかも。謎が謎を呼び、謎だらけで何ひとつとして理由が解明されない。なんで、そうなるの、ちょっとっっ?みたいな連続。

そして、2時間たって、謎は解明されないまま終る。というか、はっきりした回答が欲しいわけじゃないんだけど、あまりに見たあとの達成感がなさすぎる。終ったあとは、ひたすらドヨーーーンという感じです。どよーーーーん。

でも俳優陣はみんなこの世界にガッツリと、とけ込んでました。ということは、やっぱりすごい監督だし、すごい世界観なんだと思う。画面はひたすら美しく… そう不気味な美しさをたたえている。 こういうの好きな人は相当好きなんだろうなぁ、きっと。

映画の日だったから払ったのは1,000円だけだったけど、どうにもこうにも謎の映画でした。すみません、やる気のない映画評で… でもニコール・キッドマンの背中は背筋がかっこよかったです。でもって、この映画の感想をググると、ギリシャ神話がどうとか、なんとかがなんとかのメタファーでなんとかだとか…Again 好きな人はハマるんだろうなぁ、という感じ。

うーん、自分が馬鹿になったような気がする。だが、好きになれないのだから、しょうがない。そして、見終わって、数日たった今の方がジワジワ来ているような気がする。すごい。すごい世界なのは間違いないです。

ちょっと思った解釈は、頭がおかしいのはコリン・ファレルの演じた医師のほうで、すべてが彼の頭の中で起きていること…というもの。そして犠牲になったのは… うーん、やはり分からない。 ポップなところがまるでない映画だった。でもそういうスキの無さが素晴らしいのだと思う。さすが、だ。

2018年3月18日日曜日

楽しかった! いろいろ買ってくださった皆さん、ありがとうございます。

アイルランド弁当! S野さんのお友達の差し入れ。ありがとうございました。

これ、おもしろそう!! まだ見てない人は是非!

プレゼン上手なプランクトンのK松くん。いつもありがとうございます。

本日の戦利品。卵たてはファーブルさんのアンティーク、キャンドルはストーさん

お買い物してくれた皆さん、応援してくれた皆さん、ありがとうございました!!
芳一の耳まんぢう、およびアイルランド焼菓子が全部売れて、ほっ… 食品は廃棄するしかなくなっちゃうんで、良かった。

2018年3月17日土曜日

この週末はI LOVE IRELAND FESTIVALに参加しております


本日I LOVE IRELAND FESTIVALに出店。アイルランドの焼菓子や…


みみなし芳一の耳まんぢう、小泉凡さんの『八雲のいたずら』他、松江から届いております〜


フルックのチケットも売ってるよ!!(金曜日から発売したばかりなので、まだ良い番号ありますよ〜)

CDバーゲンボックス

こちらも。

本日、結構売れちゃったので新しい商品を明日追加しますので、品揃えはまちまちです。

松井ゆみ子姐さんよりアイルランド土産。 TAYTOグッズが充実しております。

プランクトンさんのブース。ケルクリ、ホットハウスフラワーズなどのチラシ、出来てますよ!!


松江他、チラシもたくさん配布しております〜

こちらアルテスさんの「アイリッシュ・ミュージック・セッション・ガイド」

大島先生の本も売ってますよ〜

リフレ〜(でも土曜日のみ)

山下直子さんのガイドブックも販売中!

差し入れいただきました〜

ウチらはC−6というところにおります。


なお明日の11時より、プランクトンさん、そのあとウチのトークイベント(という名の宣伝活動?)があります。

スパイシーおにぎりもいただいたよ!! 明日も頑張ります。

I LOVE IRELAND FESTIVAL詳細はここ。
私たち「ケルト市」の出店メンバーのリストはここです。











さすが写真がかっこいい、ファーブル・アンティーク・プロカントさんの投稿を埋め込んでおきます〜