中野京子『「怖い絵」で人間を読む』を読みました

「人間こそ怖い…」まったくです。怖いのは幽霊ではなく人間なんですよ。残酷なのはインターネットではなく人間なんです。

こういう好奇心を刺激する本には惹かれます。読まずにはおれない。

いや、絵画などを見て,または聞いたことのない音楽を聞いて、自分がなんの前提もなくシンプルに感じる直感的なことをそれとする…って事でいいと思うんですよ。

でもやっぱり専門家や歴史の情報があるとその感想が深まる。そしてよりその芸術作品が自分に近いものとして感じられることも事実なんです。うんと昔に描かれて,いまだに賞賛される絵画、うんと昔に生まれて,いまだに愛されるメロディ。それが生まれた背景がなんだたのか…と。

新書なんだけど、カラーページが多く、絵画が大きく掲載されていて分かりやすい。それぞれの絵の不気味な感じ。そしてどうして不気味と感じるのか、絵がかかれた時代背景やモデルの情報など、講義形式の語り口調で書かれているから、とても読みやすいです。

というわけで、ついつい読んじゃった。 このシリーズ。トイレに置いておいて、1つの章だけ読むのもいいかもしれません。さすがヒットしているだけあって、面白いです。

しかしアマゾンの書評はひどいね… 確かにちょっと「こうです」と解釈を押しつけてくる印象はあるかもだけど、読者が絵の専門家でもないかぎり、それでいいのではないだろうか。これ、音楽とかでもそうだけど、説明する側が迷っていたのでは、なにも説明できないのよ。子供に話すときも迷っちゃいけないって言うけどさ。そもそも書いた本人やその時代に生きたのではない限り、断定することは誰にもできない。その上で、こういうのを読むと面白いって、そういう事なんだよ。そういう事でいいと思うけどね。