映画『アイ、トーニャ〜史上最大のスキャンダル』


機内放送で観ました。面白かった! 単に時間つぶしのために観たんだけど、めっちゃ楽しめました。とにかく謎が謎を呼び、それでも、これが確かにそれぞれの言い分なんだろうな、という納得できる話に仕上がっている。すごい、面白い映画。『アイ、トーニャ〜史上最大のスキャンダル』

トーニャ・ハーディングとナンシー・ケリガンの94年のスキャンダルは覚えている人も多いと思う。当時インターネットもなかったから、こういう話題を深く検証する報道もほとんどなかった。こういうのって、検証されて、さらに映画になるには、結構時間がかかるよね。いろいろ意見はあれど、これがほぼ事実…というか、取材して、出来る限り裏を取って作られた作品なんだろうと想像する。ちなみに主演の彼女はプロデューサーも勤めているようだ。こういうパターン最近は結構あって、世間はプロデュースと簡単に言うかもしれないが、私はこれはすごい事だと思う。つまりは演じるだけではなく、自分で作品全部に責任を持つ、ということだ。

上のトーニャのがっと足を広げた姿が彼女のバックグラウンドを語っている。いい写真だ。アメリカの病める白人貧困層。下品で、暴言と暴力の世界の中で生まれて育った彼女。思ったことをそのまま口に出し、お互い必要以上に傷つけあう。すぐ結婚し、すぐ離婚する。一方、フィギュアスケートとは、アメリカの、選ばれた上流階級の上品なお嬢ちゃんたちの世界なのだった。なるほどね。 わたしゃ、全然分ってなかったよ。自由の国アメリカ。その病める部分。根深い部分。絶対に是正されない不公平感。

脚本のテンポがいいので、2時間があっという間。アカデミーを取ったという、このお母さん役の女優さんが、めっちゃすごいので必見です。(この彼女の普段の写真を見て、驚愕。全然違う!! 女優さんってなんてすごいんだ!!)

まぁ、面白かったよ。すごい世界だったけど…。が、彼らは強かに生きて行く。一応自分たちでは自分は善人として生きていると信じている私たちなんかよりもよっぽど迷いがなく強い。彼らは完全にフッキれてる。いや,彼らだって心の中は迷いだらけなのだろうが…

そして思うのだ。いつもテレビや雑誌やいろんなメディアで、いろんな事件の報道を見るたびに、事実は報道されているように単純な話じゃ決してないんだろうな、と思うんだ。でも、この件も、今になって2時間の映画観て、自分が当時思ってたことと全然違ったな、と思ったよ。いや〜、すごい映画だった。

いや、真実は分らない。トーニャが言うとおり真実って、いったいなんなんだろう。当事者たちだってよく分ってない。それに尽きると思う。



赤尾美香さんのレビューが秀逸だから是非読んでください。リンク貼っておきます。



この東端さんのツイートも「まさに!!」って感じ。 ケチャップとフライドポテト。言い得て妙。素晴らしい。


PS
町山解説発見。面白い。