「祝福〜オラとニコデムの家〜」を観ました。うーん、重い。


重い。が、結局は子供にまかせるしかないのだろうな…とは思う。いつか誰かがやってきて、彼らを生活の厳しさから救ってほしい。それこそ無理矢理介入していかないと、こういう問題は難しいのだろう。「祝福〜オラとニコデムの家〜」試写で拝見いたしました。ありがとうございます。

ポーランド、ワルシャワの郊外の街で、14歳の少女がお父さんと弟と暮らす。お父さんはアル中で、弟は自閉症。お母さんは家をでて別の男と暮らしている。その男との間に生まれた赤ん坊もいる。狭い家の掃除から弟の面倒まで、すべてが少女の肩に重く重くのしかかる。

民生委員?らしき職員が訪ねてきて少女に何か問題はあるか聞くも、「大丈夫」と答える少女。うーん、こういうの観ると、辛い。単純に親を攻められない自分もいるわけで… 私だって子供がいたら、自分のこと優先して、こういう親になっているかもしれない可能性は大きい。しかし、この親である。親がどんな親でも子供は家族として親を観てるんだよな。そして一緒にいたい、って思ってくれてるんだよな。それはすごいことだと思うわ… ホント。そしてそんな健気な子供のためだというのに、人生をやりなおせない親にホントに呆れる。が、こういう親はきっと治らないんだろうな、とも思う。そしてまた彼らを攻められない自分もいる。

それにしても、少女と弟の未来が明るいといいな、と思う。っていうか、子供の未来は全部明るいよね。そう信じるしかない。

で、すごいのは、これがドキュメンタリー映画だということだ。ほんとに家族の中に入り込んで撮影しているのだ、このアンナ・ザメッカという女性監督。すごいとしか言いようがない。うーーーーん、いろいろ考えるわ。ちなみに監督も子供時代は、似たような感じだったという… 子供なのに大人になることを要求されるような家庭に育ったのだという。

また監督は当初短篇ドラマを撮る予定だったのだけど、家族を観ているうちに長編ドキュメンタリーに辿り着いたのだという。そしてドキュメンタリーといえども、ストーリーがないとだめだろうということになり、弟のコミュニオン(初聖体式。洗礼を受けた後、キリスト教徒である子供が、ある程度、理解できるような歳(だいたい小学校2年生くらい?)になり、自分の意志でキリスト教を選ぶということを誓う儀式。カトリックの国では重要視されることが多い。ポーランドやアイルランドでも同様だ)に家族を再び連携させる、という少女の頑張りに焦点があてられた物語りとなった。70分ほどで、あっという間に終ってしまった。最後はなんとなく希望がもてなくもない…。

山形国際ドキュメンタリー映画賞大賞、ヨーロッパ映画賞最優秀ドキュメンタリー賞など、数々の賞を独占。都内はユーロスペースにて6月下旬よりロードショー。これは注目。


COMMUNION by Anna Zamecka (trailer) from OtterFilms on Vimeo.